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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2020年05月25日
こんにちは、医師の平島です。
本日で緊急事態宣言も全面解除される見込みとなっておりますが、諮問委員会で了承されたとの報道があり、本日解除となりそうです。
新規感染者数や増加率などを計算したサイトを毎日見ていますが、実行再生産数(1人のひとが何人の人に感染させるかどうかの指数)が1を切った(1を切ると感染者が減少していき、収束に向かう)のがちょうど4月20日前後ですので、本来は5月6日で全国一律で緊急事態宣言を解除しても良かったのではないかと思いますが。。。
東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/
最近は、この実行再生産数に変わって
「K値」
というものが注目されています。計算の仕方で数値の変動がある実行再生産数より感染者数の増減がグラフで一目瞭然であり、収束の予測まで立てていけるとう便利な数値で、多くの自治体で実行再生産数に変わって行動自粛解除の目安になってきているようです。ついに5月17日の西村大臣による政府の説明でもこの「K値」を参考にしているという発表がありました。
このK値とは、実は単純な計算式で誰でも計算することができます。大阪大学の核物理研究センターの中野先生と九州大学の池田先生が考案した数式です。池田先生は医師ではなく、物理学者ですので、数式や数字に非常に強くこのような考え方を思いついているのでしょうか。
この理論は論文にもなっています。
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.04.25.20080200v2.full.pdf
K値とは
直近1週間の感染者数を総感染者数で割る
という単純な式ですが、グラフにするとどこの時点で感染者数が減ってきて、いつぐらいに収束に向かうか予想がかなりの精度でできるとのことです。
例えば
東洋経済オンラインでのデータでみると
5月16日から5月22日までの1週間の感染者数が249人になります。総感染者数が16362人になりますので、
249人÷16362人=0.015
となり
K値は0.015となります。
世界中の国々の経済活動再開に舵を切ったK値を調べてみると
おおよそ0.05
です。
5月17日の西村大臣による政府発表では4月14日の時点での日本のK値は0.55、5月16日では0.035とかなり低下しており、世界の解除基準を大幅に下回っています。
5月6日に経済規制の緩和策を発表した時点でのドイツのK値は0.044、5月11日外出制限を解除したフランス政府の解除時のK値は0.059となっておりますので、日本はかなり厳格な解除基準で考えているようです。解除してから感染者が増加すると批判の的になるのを避けたい安倍さんや小池さん、黒岩さんの思惑が透けて見えますが、それとは対称的に大阪の吉村知事は責任は自分がとるので早く経済を回していこうと早めに解除に舵をきりました。
中野先生は
「アメリカやイタリアなどの感染爆発が起こった国や地域は、大量の感染源が入ってきたにもかかわらず、それに気づかずに対策が遅れただけのことです。日本に関しても感染率の高い国から、知らないうちに大勢の人が入国しない限り感染爆発は起こりえない」と話しています。
ということは、現在の海外からの入国制限を解除しない限り今回2月から4月にかけて起こった日本のコロナ流行は今後起こる確率は低いのではないかと推察されます。
感染がゼロになるわけではないので、小さなクラスター発生や毎日の感染者はいることは当たり前の様に起こりえますが、
ゼロリスクの社会など存在しない
ので、感染防止を意識しながら通常の生活をしていくのが良いかと思われます。交通事故に合わないために、自動車を運転することを制限するかといえば誰も制限せずに、事故に注意しながら運転をしていますよね。
実は、日本でのこのK値を見ていると3月下旬から確実に低下傾向を示しています。緊急事態宣言をしたから低下したのではないことが見て取れます。これも日本人の模範的で自主的な自粛の効果がでているためと思われます。
昨年のホノルルトライアスロンの写真ですが、本当は今年も5月に出場予定でした。にっくきコロナのせいで中止になってしまいましたが、来年は是非参加できたらうれしいなと思います。