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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2020年06月29日
おはようございます、医師の平島です。
アニサキス
ご存じでしょうか?
アニサキスは寄生虫の一種です。長さは2〜3cmぐらいの白い糸のような線虫です。アニサキスの幼虫は
サバ、アジ、イワシ、サンマ、カツオ、イカ、サケ
などの魚介類の内臓に寄生しています。
寄生している魚介類が死んでしまい時間が経過すると、内臓から筋肉(魚の身にあたる部分)に移動してアニサキスの幼虫自体は生きています。
そのアニサキスの幼虫が寄生している生鮮魚介類を生で食べることにより、人の胃壁や腸壁にアニサキスが刺入して、急激な胃痛や下腹部痛、腹膜炎様の症状が出ることもあります。
運悪く、胃を通過してしまい、小腸にアニサキスの幼虫が到達して腸壁に刺入してしまうと腸に穴が開いてしまい、場合によっては緊急外科的手術になってしまうこともあります。
たいていの場合は胃壁に刺入しますので、胃痛や嘔気・嘔吐が生じます。アニサキスが胃壁に深く食い込む時に強い胃痛を感じますので、特徴としては
数十分おきに間欠的に起こる胃のあたりの激痛
が典型的な症状となります。
生のお刺身は美味しいので、ついつい噛まずにツルッと飲み込んでしまいますが、きちんと噛んで食べるのも予防には重要になってきます。
アニサキス症はいわゆる食中毒に分類されておりますので、生のお刺身を食べるときは
よく噛むことをお勧めします。
最近、クリニックでもアニサキス症増えているように感じます。
私は、18歳まで生のお刺身を食べることが出来ませんでしたが(食べず嫌い?)、大学に進学するのを契機に食べる訓練をひたすら行って、今では大好きになっています。あのとき訓練していなければ今頃はお鮨も食べに行く機会がなかったかもしれないと考えると少し怖くなります。
胃の間欠的な痛みで受診されました。胃カメラで診てみると、胃の出口付近に長さ3cmほどのアニサキス虫体が胃壁に深く食い込んでいます。アレルギー反応で刺入部を中心に大きく腫れて盛り上がっているのが分かります。
胃カメラ治療は鉗子で上手く引き抜いていきます。途中でちぎれないように抜いていくのが重要です。上手く引き抜かないと頭だけ残ってしまうこともあります。
きちんと抜去すると、劇的な胃痛はスッと改善します。抜いた瞬間にキュッと縮こまっていました。胃カメラで診てみると一発で原因が分かりますし、治療も同時に行えますので、一石二鳥ですね。