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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2020年12月29日
こんにちは、昨日から横浜院は冬期休暇に入りました。福岡院は本日で診療修了となり明日から冬期休暇に入ります。今年も12月に入ってからあっという間に時間が過ぎ去って、気づけばあと3日間で今年も終わりですね。
子供の頃の夢に
第1希望 医師になりたい
第2希望 建築家になりたい
とあったのを、この休暇中に思い出し、第1希望の夢はなんとか叶えたので、第2希望の夢も叶えたいとは思うものの、時間的に難しそうなので、それに近いことができないかと休暇中に考えている平島です。
最近、テレビやネットでよく耳にし、目にする
「コロナ病床が逼迫している!」
「医療崩壊に近い!」
という言葉ですが、実はマスコミなどはめったに報じませんが、日本全国にある150万床のベッドのうちコロナで使用できているコロナ対策病床は
僅か1.8%
しかないのです。
これは、
コロナが指定感染症の2類に指定されているのが大きな原因
で、致死率が50〜90%の1類感染症のエボラ出血熱とほぼ同じ扱いをしないといけなくなっています。
このため、
①入院での手間が通常の入院よりもかなり掛かっていまい、医療者の疲弊が強くなっています
②マスコミの煽り報道がかなり激しいので、コロナ患者を入院させることでの風評被害を恐れてコロナ患者を診ない病院が大多数
ということになって、コロナで使えるベッド数が1.8%とかなり少ない数になっています。
そのため、コロナ病床使用率70%などと、あたかも
日本全国の病床数の70%が埋まってきているかの錯覚感を出して報道しています。
コロナをインフルエンザと同じ5類感染症にして、どこの病院でもコロナ患者を診たり、入院できたりしたらよっぽど医療機関の負担が減るのかと思いますが、誰も責任を取りたくないので、このような決定ができないでいます。
2021年1月31日に指定感染症の期限が迫っていますが、12月17日には1年間の延長の提言がなされており、1年間の延長で調整に入ったようです。
最近、
「尿1滴でがんが分かる!?」
というネット記事や報道を目にしませんか?
これは、臭覚にとても優れた
線虫という虫
が
がん患者の尿の匂いからがんを見つけられる
という発想から生まれたがん検査で、
「N-NOSE(エヌノーズ)」
と呼ばれる検査法です。
現在は
15種類のがん種
の可能性を推察できるとのことですが、この検査は
がんであると診断するための検査ではなく
あくまで
がんのリスクを評価するだけ
のものです。
15種類のがん種とは
胃・大腸・肺・乳腺・肝臓・膵臓・前立腺・子宮・食道・胆嚢・胆管・腎・膀胱・卵巣・口腔、咽頭
の15種類です。ほとんどのメジャーながんが入っていますね。
この線虫という虫は目と耳がなく、臭覚がとても優れています。そのため、がんの患者の尿で臨床試験を行った結果(人数が少ないのがまだ課題ですが)、
感度(がんである人を正しくがんと診断できる確率)は約85%
で比較的高い検査です。しかしながら
100人のがん患者さんがいたら約15%は見逃される
という欠点があります。
もうひとつの指標である
特異度(がんでない人を正しくがんでないと診断できる確率)も約85%
となっています。これは
100人の陰性者のうち15人はがんではないのに、「がんですよ」と判定されてしまいます。
1万人の人が検査を受けたら1500人もの人ががんでもないのに、がんだと判定を受けてしまいます。
一番の欠点は
15種類のうち、どのがんなのかは全く分からない、特定できないという点
です。
この検査で陽性と判定されたら、
これらの15種類のがんの全ての検査を行わなければいけない
ですし、
医療費が莫大にかかってしまいます。
15%のがんでもないのにがんだと診断された人はがんの恐怖におびえながら永遠に精密検査を受け続けないといけなくなってしまいます。
2022年度ぐらいには膵臓がんであると見分けの付く線虫を遺伝子の組換えで作っていく予定とのことですので、このようにどのようながんに罹っているかを判別できるようになってきたら、ようやくスクリーニング検査として利用できるようになると思われますので、本当に利用できるようになるのはもう少し先ですね。
それと、この検査で陽性と判定されたら、その後の検査を保険適応で行うことができるのか、それとも自費で行っていき、がんが確定されて治療に移る段階になったら保険適応になるのかの議論もあるのではないかと思われます。
医療費をこれ以上増やさないためにも、がんにならないような生活習慣を行っていく方がよっぽど効率的だと私は強く思っています。
今年も大変お世話になりました。ブログを多くの方に読んで頂き感謝しております。診察室で
「ブログ読んでるよ」
とか
「YouTube見ているよ」
と言われると、本当に力になります。
また、来年も皆様方の健康に少しでも役に立てる情報をYouTubeチャンネルやブログでお届けできるように日々勉強を続けて行きたいと思います。
来年も皆様と一緒に健康で前向きな生活ができるように頑張りたいと思います。
今年もありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。
平島徹朗