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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2022年02月01日
こんにちは、平島です。
最近は益々仕事が忙しくなり、それを言い訳に運動することをサボろうとする自分がいますが、なんとか少ない時間ですが、運動は毎日強制的に行うようにしています。
仕事が22時頃に終わると、このまま帰りたい気持ちで一杯になりますが、
「お風呂だけでもジムに入りに行こう」
と考えてジムに行くとなんとなく
「少しだけ泳ごう」
という気持ちになり、実際に泳いでみると気持ちが良くなって、
気がついたら1.5キロ泳いでいた
というパターンが多いと実感します。
とにかく、少しだけでも良いので運動をしてみると、気づいたら多くの時間を運動に割いていたということになりますので、寒いですが、是非少しの時間でも継続して運動してみてください。
GLP-1
というホルモンをご存じでしょうか?
GLP-1とは
インクレチンという消化管ホルモンの中のひとつで、
膵臓のベータ細胞を刺激して膵臓からインスリンという血糖値を下げる働きのあるホルモンの分泌を促します。
このGLP-1は食事による刺激で小腸から分泌されます。
GLP-1が分泌されると、膵臓のベータ細胞にあるGLP-1受容体に結合します。
結合したときに
血液中の血糖が高いときはインスリンの分泌を促して、血糖を下げる働きを起こします
が、
血糖が高くなければインスリンの分泌を促さない
という極めて便利で都合の良いホルモンなのです。
このGLP-1というホルモンは
2型糖尿病の治療に実際に使用されて効果を上げています。
もちろん保険適応であり、糖尿病の患者さんが自己注射を行うもので、インスリン注射が直接インスリンを注射するのに対して、
GLP-1は血糖値が高いときにインスリンの分泌を促す
というものになりますので、インスリンよりもややマイルドな効果が期待できます。
GLP-1の注射を糖尿病の患者さんに使用していたら、ダイエットに効果があるとうことで、肥満大国のアメリカなどでは広く使用されています。
GLP-1でダイエットできる仕組みとしては
①GLP-1は脳の食欲中枢の機能を抑える働きがあるため、食欲がやや低下します
②GLP-1は胃の動きを極端に抑える働きがあるため、消化吸収が抑えられます
③胃の蠕動が極端に抑えられるので食べ物がいつまでも胃の中に留まるため空腹を感じにくくなります
以上の3つが大きく関与しています。
主に②と③の働きで
食べ物を不消化な状態を作り、
空腹感を感じにくくなり、
体重が落ちるという仕組みです。
ここ1年で
3人ほどGLP-1ダイエットをしている方の胃カメラをした
ことがありますが、
全員が前日お昼に食べた食べ物が胃の中に翌日のお昼ぐらいにまだ大量に残っていました!
これは
消化吸収を極端に妨げている証拠
であり、身体には良くないことだと実感しました。
胃の蠕動を無理矢理抑えて、食べ物を強制的に消化吸収させないで、ダイエットさせるという栄養不足に陥ってしまう
感じになってしまいます。
だいたいGLP-1ダイエットを開始して、3ヶ月でダイエットスタート時の体重の
5〜10%ぐらい体重が落ちる
イメージです。
60キロの女性が3ヶ月で3〜6キロ体重が落ちる感じです。
自費診療ですので、クリニックによって価格は様々ですが、
月に30万円ぐらいかかるクリニックもあります。
ほとんどが美容系のクリニックで、胃の中の状態まで知らない先生が大部分だと思います。
消化吸収されないので、
栄養的にはお勧めできませんが、
どうしてもダイエットができない方のスタートダッシュで使用するのは良いのかなと考えています。
栄養学的にはあまりお勧めはできないダイエット法ですが、どうしても食事の制限や運動が出来ない方で、ダイエットのスタートを取りあえず開始して、
1,まずは少しでも体重を落としたい、
2,体重を落とせたことに自信がついて、そこからは本格的に食事制限や運動をやっていく
という方には良いのかとも思います。
当然ですが、
GLP-1ダイエットで落とした体重は、
GLP-1の注射を止めて通常通りの食事に戻したら確実にリバウンドします。
筋肉を付けずに食事だけで痩せたダイエットは元の体重に戻るときに
筋肉が脂肪に置き換わるので、太りやすく痩せにくい身体になってしまいます
ので、注意が必要です。
何事も簡単にダイエットしようという虫のいい話はないので、地道に頑張っていきましょう!
では、今週も頑張っていきましょう!
この記事を書いた人
平島 徹朗
医師
国立佐賀大学医学部 卒業。 大分大学医学部附属病院消化器内科、国立がん研究センター中央病院内視鏡部など、 多くの病院・内視鏡専門クリニックで消化器内視鏡診断・治療を習得後、2011年たまプラーザ南口胃腸内科クリニック開院。