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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2024年04月01日
こんにちは、平島です。
今週より週に2回福岡院で勤務することになったので、
横浜と福岡を週に
2回往復します!
月、火、金、土曜日→福岡院勤務
水、木、日曜日 →横浜院勤務
となります。
福岡院の副院長が交代したため、暫定的に福岡院での勤務を増やしています。
仕事での出張が多いので、移動には慣れていますし、
移動時間に誰にも邪魔されずにまとめて仕事をするのが好き
なので、
移動は全く苦にしません!
テレビや雑誌を見ていると、野菜は身体にとても大事だし、栄養素としても重要なので
「野菜を中心の食事にしよう」
とか
「野菜は大切だから野菜をきちんと摂りましょう!」
ということを耳にしますが、
野菜だけ食べて生活していくと
栄養学にはどうなるのでしょうか?
ヴィーガン
と言う言葉を聞いたことありますか?
ヴィーガンとは、
1944年にイギリスのヴィーガン協会の設立と同時に生まれた言葉
で
完全菜食主義者
ようするに
野菜しか食べない人のことを指します。
そうなんです、
野菜だけを食べて生活しているのです!
ベジタリアンとの違いは
ベジタリアンには
乳製品も食べる
「ラクト・ベジタリアン」
卵も食べる
「オボ・ベジタリアン」
のうように野菜しか食べないとは限らない点
で違いがあります。
ヴィーガンになる動機で多いのは
動物虐待やそれにつながる人間の食生活や社会の仕組みに問題意識を持ち、
地球環境をより良くしていく
という意識を持った人が多いと言われています。
ヴィーガン(完全菜食主義者)が良いか悪いか
などは人それぞれの考えや価値観の違いがありますので、
是非は人それぞれですが、
栄養学的や予防医学的に野菜だけ食べていたら身体にどのように影響が出るか?
は知っておいた方が良いと考えます。
★ビタミンについての考察してみます
野菜には全てのビタミンやミネラルが豊富に含まれているイメージ
がありますが、
野菜にはほとんど含まれていないビタミンがあります
それが
ビタミンD
です。
ビタミンDには腸でカルシウムを吸収しやすくする働きがありますので、
ビタミンD不足になるとカルシウムが上手く吸収されにくくなり、
骨がもろくなり、
骨粗鬆症のリスクが高くなります。
ビタミンDにはその他にも
○免疫力を上げて、感染症の予防になる
○大腸がんなどのがんの予防につながる
○認知症を予防する
○高血圧症や糖尿病を予防する
などなど数えたら切りがないぐらいたくさんの効果的な作用があります。
ビタミンDは
鮭やマグロなどの魚介類や卵
に多く含まれていますが、
ヴィーガンにとってはNG食材となります。
キノコやキクラゲにもビタミンDは多く含まれています
が、
これが野菜になるのか、どうなのかは議論の余地がありますね。
青野菜だけ食べていたら
確実にビタミンD不足になります。
★鉄について考察します
野菜だけの食事からでは
鉄分
が不足します。
鉄分は2種類に分けられ
ヘム鉄と非ヘム鉄
に分類されます。
「ヘム」というのは血液を赤くしている成分のことで、
イメージ通り
赤身の魚(かつお、いわし)や肉(赤身肉、レバー)、卵、納豆、ホウレンソウ、海苔
に多く含まれています。
野菜だけ摂っている人にとっては
ヘム鉄を摂取することは難しい
と考えられます。
野菜に含まれているのは非ヘム鉄がほとんどですが、
ヘム鉄の方が身体での吸収効率がよく、
非ヘム鉄だけでは十分な鉄分を摂取できない
とされています。
ヘム鉄が不足すると鉄欠乏性貧血になりやすいく、
髪の毛や皮膚や爪が乾燥してパサパサ症状が出やすく、
疲れやすい、立ちくらみがする、息切れしやすい
タンパク質の吸収が悪くなる
などの身体全体に悪い症状が出やすくなります。
★タンパク質について考察します
十分なタンパク摂取ができないと筋肉を分解して、
タンパク質を消費してしまいます。
多くの人は肉、魚、卵、乳製品
などからタンパク質を摂取します。
野菜しか食べない生活ですと、
大豆製品からタンパクを摂取するのが効率的ですが、大量に摂取しないといけなくなり、
現実問題として難しく
植物性タンパク質だけの摂取ですと、
バランスの良いタンパク質摂取は難しい
のが現実です。
白米やナッツ、納豆などで植物性タンパク質を摂取できますが、
動物性タンパクからもタンパク質をバランス良く摂取するのが大切になってきます。
やはり現実的には
野菜だけの食生活だと
ビタミンD、ヘム鉄、タンパク質
などの身体にかなり重要な栄養素が不足してしまうのが現実的で、
野菜だけ摂取する生活は
身体には良いことはあまりない
というのが結論です。
では、今週も頑張っていきましょう!
この記事を書いた人
平島 徹朗
医師
国立佐賀大学医学部 卒業。 大分大学医学部附属病院消化器内科、国立がん研究センター中央病院内視鏡部など、 多くの病院・内視鏡専門クリニックで消化器内視鏡診断・治療を習得後、2011年たまプラーザ南口胃腸内科クリニック開院。