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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2024年10月14日
こんにちは、平島です。
だいぶ涼しくなってきましたので、
運動の秋
にいよいよなってきていますね。
患者さんも夏の暑い間は、運動もままならなかったと思いますので、
今ぐらいから運動を再開してみてはいかがでしょうか?
私も、最近仕事が忙しすぎて
運動を疎かにしていた時期があった
ので、
そろそろ本格的に再開していきたいと思います。
普段の診療や内視鏡検査で、
大腸ポリープや大腸がんが増えている
と実感しますし、
大腸ポリープや大腸がんの低年齢化が目立つようになってきた
と思います。
近年、
日本における大腸がんの罹患率は年々増加しており、
女性ではがん死亡原因の第1位、
男性ではがん死亡原因の第2位
に位置しており、
2025年以降は男女とも
がん死亡原因の第1位になる
とされており、
罹りやすいがんの1位は男女とも
大腸がん
となっております。
この背景には、食生活の「欧米化」が一因として挙げられます。
食生活の欧米化とは、
主に高脂肪・低食物繊維の食事が増加
することを指します。
具体的には、
肉類、特に赤身肉や加工肉、バター、クリームなどの動物性脂肪
を多く摂取し、
一方で
野菜や果物、全粒穀物といった食物繊維が不足
するような食事パターンを指します。
日本においては、
戦後の食生活が大きく変化し、
かつての魚や野菜中心の和食から、洋風の食事が一般的
になってきました。
この変化が、健康にどのような影響を与えているのかを考えてみましょう。
○高脂肪食の影響
高脂肪食は、胆汁酸の分泌を増加
させます。
胆汁酸は脂肪を消化するために必要ですが、
大腸内でこれが細菌によって代謝されると
発がん性物質に変わる
ことがあります。
また、
過剰な動物性脂肪の摂取は、体内で炎症反応を引き起こし、
慢性的な炎症が
細胞のDNAを損傷させる
ことでがんのリスクを高めるとされています。
特に、
赤身肉や加工肉(ソーセージ、ベーコン、ハムなど)は国際がん研究機関(IARC)により
「発がん性がある」
と分類されています。
これは、
これらの肉類に含まれるヘム鉄や加工過程で発生する化学物質
が、大腸の細胞に悪影響を与えるためです。
○低食物繊維食の影響
一方で、
食物繊維の摂取が少ないと、
腸内の便の通過時間が遅くなり、
発がん性物質が大腸の粘膜に長時間接触する
ことになります。
食物繊維は
水分を吸収して便のかさを増やし、排便を促進する役割
を持っています。
さらに、
食物繊維は腸内細菌によって短鎖脂肪酸という物質
に変わり、
これが大腸の細胞を保護し、炎症を抑える効果がある
とされています。
これにより、大腸がんのリスクを低減することができるのです。
欧米化した食事は、単に脂肪と食物繊維のバランスだけでなく、
加工食品や糖分の過剰摂取
も問題です。
これらは肥満の原因となり、肥満自体が大腸がんのリスクを高める要因の一つです。
肥満は体内のホルモンバランスを崩し、インスリン抵抗性を引き起こし、
結果としてがんの発生を促進することが知られています。
また、
加工食品に含まれる保存料や着色料などの化学物質
も、大腸がんとの関連が指摘されています。
日本人は欧米人に比べて腸内環境が異なると言われています。
歴史的に、
魚や野菜、発酵食品を中心とした和食は腸内の善玉菌を増やし、
腸内フローラを良好な状態に保つ効果があります。
しかし、
欧米型の食事を長期間続けることで腸内環境が変化し、
悪玉菌が優位になることで大腸がんのリスクが高まる
と考えられています。
また、
遺伝的に日本人は大腸がんになりやすい体質を持つ人も多く、
環境的な要因が重なることで発がんのリスクがさらに高まることが懸念されています。
大腸がんのリスクを減らすためには、
やはり伝統的な和食のスタイルが有効
です。
魚や豆類、野菜、海藻、発酵食品をバランスよく摂取
することで、
腸内環境を整え、
食物繊維や抗酸化物質を十分に摂取する
ことが可能です。
特に
発酵食品に含まれる
乳酸菌やビフィズス菌
は、
腸内の悪玉菌の増加を抑え、炎症を軽減する効果
があります。
また、
青魚に含まれるオメガ3脂肪酸は、
抗炎症作用を持ち、大腸がん予防にも効果的です。
食生活の欧米化は大腸がんのリスクを確実に高める要因の一つです。
特に
高脂肪・低食物繊維の食事は、腸内環境を悪化させ、発がん性物質の生成を助長
します。
予防のためには、
食生活を見直し、伝統的な和食を意識的に取り入れることが重要
です。
大腸がんは早期に発見されれば治癒率が高いため、
定期的な大腸内視鏡検査も欠かさず行うべきです。
食生活と生活習慣を見直すことで、リスクを低減し、健康的な生活を送ることが可能になります。
健康を守るためには、自分の体に合った食生活を選択することが何よりも大切です。
では、今週も頑張っていきましょう!
この記事を書いた人
平島 徹朗
医師
国立佐賀大学医学部 卒業。 大分大学医学部附属病院消化器内科、国立がん研究センター中央病院内視鏡部など、 多くの病院・内視鏡専門クリニックで消化器内視鏡診断・治療を習得後、2011年たまプラーザ南口胃腸内科クリニック開院。