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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2024年11月11日
こんにちは、平島です。
ようやく気温も下がってきて走りやすい季節になってきました。
患者さんたちも診察室で話していると、運動をやっていこうという気持ちが出ているような方が増えています。
運動することは、
○肥満の予防
○足腰の筋肉強化
○血管の動脈硬化の予防
○ストレスの解消による心の安定
○心肺機能の上昇効果
などなど良いことだらけですので、是非やっていない方は今ぐらいの気候の良い季節から始めてみてください。
私は、運動の一番の効果は
ストレスの解消による心の安定
だと実感しています。
1日の始まりの朝にランニングすると、
体温が上昇し、交感神経が優位になり、やる気に満ちあふれてきます!
仕事終わりの夜にスイムをすることにより
身体がリラックスして、仕事で疲れた身体が元に戻る感覚になります。
仕事や家事などで疲れてストレスが溜まったときほど、
軽い運動をするとストレスが解消することが医学的に証明
されています。
是非是非、疲れたときこそ軽い運動をするように心がけてみてください。
9月26日に発売した書籍
「タンパク質と腸の新常識」
が10日で重版しました。
書店でも売り切れになるほど、好評を頂いており、うれしい限りです。
タンパク質と腸内環境の関係などを中心に書いておりますので、是非一度読んで頂けるとうれしいです。
さて、
年末にかけてアルコールを飲む機会も増えてくることが予想されますが、
アルコールと腸内環境はどのように関係しているでしょうか?
アルコールは日常生活において社交の一環として楽しむことも多く、
その適量摂取は一般的には問題ないとされていましたが、
最近の研究によるとアルコールを1滴でも口にすると、
がんや心血管系の病気のリスクが正比例的に上がること
が分かってきました。
さらに、
長期間にわたる過度な摂取や習慣的なアルコールの摂取は、
腸内環境にさまざまな悪影響を及ぼすこと
が研究によって示されています。
今回は、アルコールがどのように腸内環境に影響を与え、健康リスクを引き起こすかについて解説します。
腸内には
100種類以上の腸内細菌が共存し、
腸内フローラと呼ばれるバランスが健康維持に欠かせません。
この腸内フローラは、
免疫機能の調整、
栄養素の吸収、
腸壁のバリア機能を保つ
など、
重要な役割を担っています。
しかし、
アルコールの過剰摂取は腸内細菌叢のバランスを乱す
ことがわかっています。
アルコールが腸内に入ると、
その代謝産物である
アセトアルデヒド
などが腸壁に影響を及ぼします。
これにより、
有害な細菌の増加とともに、
善玉菌(例:ビフィズス菌、乳酸菌)の減少
が引き起こされ、
腸内環境が悪化します。
この変化は、腸内の炎症や腸壁の透過性(リーキーガット)を高め、
いわゆる
腸漏れ
ですね。
結果的に全身に悪影響を及ぼすことがあります。
アルコールは腸壁のバリア機能を損なう要因の一つです。
腸壁は正常であれば有害物質や病原体が体内に侵入するのを防ぐ役割
を持っています。
しかし、
アルコールの摂取により腸壁細胞間のタイトジャンクションが弱まると、
「リーキーガット(腸漏れ)」
と呼ばれる状態が発生しやすくなります。
腸漏れが発生すると、
腸内から未消化の食物粒子、細菌、毒素が血流に侵入し、
免疫系がこれを攻撃しようとするために
慢性炎症
が生じます。
慢性炎症は、長期的に見ると
様々な健康問題(例:自己免疫疾患、アレルギー、メンタルヘルスの低下)に結びつく
とされています。
アルコールは腸内環境だけでなく、肝臓にも大きな負担をかけます。
アルコールを分解する過程で肝臓はアンモニアを生成し、通常は尿素回路で解毒されます。
しかし、
アルコールの過剰摂取が続くと、肝機能が低下し、アンモニアが血中に蓄積することがあります。
腸内環境の悪化によって腸からアンモニアの吸収が増加する場合もあり、
全身的な毒性が生じやすくなります。
アルコール摂取を完全に避けることが難しい場合でも、適度な摂取を心がけることが重要です。
また、
腸内環境を整えるために、以下のポイントを意識しましょう:
○プロバイオティクスの摂取:ヨーグルトや発酵食品は腸内の善玉菌を増やし、バランスを回復させます。
○プレバイオティクス:食物繊維やオリゴ糖を含む食事は、腸内細菌の良好な成長を促進します。
○水分摂取:アルコールによる脱水を防ぐために、アルコール摂取後は十分な水分を摂りましょう。
○休肝日を設ける:定期的に肝臓を休め、腸と全身の健康を保つようにしましょう。
アルコールとの付き合い方を見直し、腸内環境の健全化を意識することで、全身の健康を維持するための第一歩を踏み出せます。
では、今週も頑張っていきましょう!
この記事を書いた人
平島 徹朗
医師
国立佐賀大学医学部 卒業。 大分大学医学部附属病院消化器内科、国立がん研究センター中央病院内視鏡部など、 多くの病院・内視鏡専門クリニックで消化器内視鏡診断・治療を習得後、2011年たまプラーザ南口胃腸内科クリニック開院。