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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2020年05月27日
こんにちは。医師の東です。
やっと大好きなプロスポーツが戻ってきます!
プロ野球が6月19日に開幕、Jリーグも6月下旬に再開予定される見込みです。
ただし、しばらく無観客試合だったり、入場者数制限がかかると思うので、しばらくはTV観戦になりそうです。
久津川医師が検診シリーズでブログを書かれているので、僕らが呼んでもなるほど!と思うことが多く、勉強になりました。
ということで、僕が次回公開を予定していた「便秘の薬物治療」は1回お休みです。
人間ドックのオプションにあるPET/CTについて僕なりの見解を書きます。
PETとは、Positron Emission Tomography (陽電子放出断層撮影) の略で、放射能を含む薬剤を用いて行う核医学検査の一つです。
そこにブドウ糖代謝の指標となる18F-FDGという放射性薬剤を体内に投与し撮影した画像です。
ここで疑問が生じると思います。PETとPET/CTは違うのですか?
このPET検査と従来のCT検査を組み合わせたものがPET/CTになります。
CTが得意なのは、デジタル技術を駆使することで、体をさまざまな断面で切って解像度の高い高画質画像を作り出すことができることです。
ただし、被爆の問題から通常は部位を絞って検査します(頭部、胸部、腹部など)。
一方PETは、18F-FDGを注射してから撮影しますが、これは主にがん細胞が正常の細胞よりもより多くのエネルギーを使うことを利用してその差を濃淡で表したものです。
全身が一度に写る画像となり、像はボヤけているけど、エネルギーが使われている部位が黒っぽく映ります。
「がん」や「炎症」でたくさんのエネルギーが消費されている部位がわかるのです。
どうして「がん細胞」がより多くのエネルギーを使うかわかりますか?
それはがん細胞自身がより大きくなるため、広がっていくためにたくさんの栄養を宿主から奪い取ります。
そうです、血管をたくさん作ってより多くの栄養を集めるのです。
PET/CTはこの組み合わせで、CT画像にPETのFDG集積情報をカラーにしてあげることで視覚効果を上げたものになります。
本来の目的は、腫瘍の大きさや場所の特定、良性・悪性の区別、転移状況や治療効果の判定、再発の診断などに利用することです。
人間ドックで使われているような「がん」を見つめるための検査ではありません。
保険診療では、以下のようにがん(悪性腫瘍)と診断されている場合しか検査ができません。
「早期胃がんを除く、すべての悪性腫瘍、悪性リンパ腫:他の画像診断により病期診断、転移、再発診断が確定できない時」
注意しなければいけない点は、「がん」が1cm程度の大きさになればPET検査で発見できるといわれています。
つまり、1cm未満のがんは見つかりにくい訳です。
PET検査が得意とし、よく早期に発見されるのは甲状腺がんや大腸がんです。
不得意の代表が胃がん、特に早期胃がんはPETではわかりません。
人間ドックでPET/CTを受けられている方は、早期がんの発見には向かないこと、がんを見つけられる100%完璧な検査ではないことを覚えておいてください。