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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2020年06月17日
血便と下血の違いはご存知ですか?
・血便は、鮮血つまり赤い血が肛門から出ることを言います。
→下部消化管出血の可能性あり
・下血とは、黒い便(黒色便、タール便)が肛門から出ることを言います。
→上部消化管出血の可能性あり
医療関係者でもこんがらがって使っているので
一般の方は使い分ける必要はありません‼
どんな色の便なのかを伝えていただければ
どんな検査が必要かを判断させていただきます。
また健康診断などで行われる「便潜血(べんせんけつ)検査」は同じせんけつといっても、「鮮血」ではなく「潜血」なので、目で見てもわからないようなごくわずかな出血という意味合いで用いられています。目に見えないような極微量の血液でも陽性となります。
血便の症状はこんな感じです。
・便に血がついていた
・トイレットペーパーに血がついていた
・便器に血がついていた
・便器の水が真っ赤だった
下血の症状はこんな感じです。
・便が真っ黒
・便の色がいつもより濃い(個人差があります。)
・便が海苔の佃煮みたい
→かなり大量に出血していると、便が固まる前に排出されるためにどろどろとした便が出ます。
血便の原因は何?
原因となる疾患は何個もありますが代表的なものを紹介します。
①大腸がん:進行がんになると出血することがあります。大量に出ることは少ないです。
②大腸ポリープ:相当大きくならないと出血しません。
③潰瘍性大腸炎:炎症性の腸疾患です。大腸内にびらんや潰瘍ができるため、出血します。
病状によっては大量に出血することがあります。下痢を伴うことがほとんどです。
④痔核;ペーパーに血がつく、便器の水が真っ赤と訴えられることが多いです。
⑤アメーバ赤痢;アメーバという原虫の感染で盲腸や直腸に潰瘍ができ、出血します。
⑥細菌性腸炎;下痢が主体ですが、腸管出血性大腸菌、カンピロバクターなどの感染では血便が生じることもあります。
⑦虚血性腸炎;大腸の虚血によって特に下行結腸とS状結腸にびらんや潰瘍ができ出血します。腹痛→下痢→血便という流れの症状が多いです。
⑧大腸憩室出血;憩室という、大腸のくぼんだところからの出血です。腹痛などの症状なく、急に血便が出ます。量が多いため、驚かれる方が多いです。緊急内視鏡検査が必要になる場合もあります。
⑨直腸潰瘍;高齢の寝たきりの方に多いです。腹痛はなく、突然大量の血便で発症することがあります。
下血の原因は何?
①胃がん;早期のものは出血しませんが、進行するにつれてじわじわと出血することがあります。
②胃潰瘍:ピロリ菌やNSAIDという痛み止めの使用によって発生します。胃潰瘍が浅い場合は内服で治療が可能ですが、深くなると血管が露出して出血することがあります。大量の場合は緊急内視鏡検査を行い止血術をすることがあります。
③十二指腸潰瘍:胃潰瘍と同様の機序で出血することがあります。
血便、下血はストレスでもなる?
ストレスでは基本的には血便、下血にはなりません。
上記のような疾患が隠れていることがあるため、「ストレスだろう」と放置せず
消化器内科を受診しましょう。
血便、下血、どうすれば良いのか?
自分で判断するのは危険です!!
必ず医療機関を受診しましょう。
「痔だから大丈夫だろう。」と放置するのは危険です。
大腸がん、胃がんなどが隠れている場合があります。
また、特に下血(黒色便)は緊急性があるため、早急に受診しましょう。
☆3年前から血便を放置していました。家族の勧めで当院を受診して、進行大腸がんが見つかった方です。
☆食欲低下、ふらつき、下血(黒色便)があり受診しました。緊急内視鏡を行い、出血性胃潰瘍を認め、止血術を行いました。)
上部消化管出血を疑う場合は大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
下部消化管出血を疑う場合は胃内視鏡検査(胃カメラ)が
必要になります。
血便、下血がある方は、最初から内視鏡検査ができる医療施設を受診しましょう。