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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2021年08月25日
たまプラーザ南口胃腸内科クリニックの久津川です。
今回は、「便潜血検査と血便」についてのお話です。
検診の「便潜血検査が陽性」の患者さんが当院を受診された際に絶対に聞く質問が、「排便時に血液が出ることがありますか?」「血便ありますか?」「目に見えて出血がありますか?」ということです。要は肉眼的に血便が認められるかどうかです。
そもそも、便潜血検査は、「大腸がんでは便がこすれて出血する」ことを利用し「目に見えないような微量な血液を検出」し、大腸内視鏡検査を促すための大腸がん検診です。
よって、目に見えるような出血があったなら「便潜血は陽性」になるのを待たずに大腸内視鏡検査を受けるべきなのです。
そして便潜血陽性の患者さんで「肉眼的血便」がある方の多くが「痔だと思っているから大腸内視鏡検査を受けていなかった」とおっしゃいます。
これはほぼ正解なのですが、ごくわずかな方で「大腸がん」「大腸ポリープ」が隠れていることがあります。誰が痔で、誰が大腸がんなのかは大腸内視鏡検査以外では区別できません。
血便があるけど、様子を診ていたが便潜血陽性になってはじめて内視鏡検査を受けた患者さんの症例をご覧ください。内視鏡治療適応外であり、手術を受けられました。
①肉眼的血便が時々あったが放置しており、便潜血検査が陽性になりはじめて大腸内視鏡検査を受けた「早期大腸がん」の患者さん。早期大腸がんでもがんが深く「内視鏡治療適応外」でした。
②排便後に血液がトイレットペーパーに付着していたが放置しており、便潜血検査が陽性になりはじめて大腸内視鏡検査を受けた「進行大腸がん」の患者さん。
血液が診られる方は、便潜血陽性の結果を待たずに大腸内視鏡検査を受けましょう。
*便潜血検査が陰性でも注意が必要です。
進行大腸がんは常に出血し続けているわけではありません、そして出血していても採取した便に血液が含まれていないと便潜血は陽性になりません。
大腸がんがあるのに、誤って陰性という結果になってしまいます。
なんと約20-30%の進行大腸がんは、このような検査結果のために見落とされることがありえます。
便潜血検査が陰性であっても、すでに血便や便通異常、腹部症状などがある場合はご相談ください。また、大腸がんの家族歴がある方も注意が必要です。こちらもご相談ください。
便潜血検査は陰性でしたが大腸内視鏡検査で進行大腸がんが見つかりました。
この記事を書いた人
久津川 誠
医師
国立熊本大学医学部を卒業。 世界消化器内視鏡学会より国際的優良施設として認定されている昭和大学横浜市北部病院で、内視鏡検査に関する高精度な診断・治療、さらには痛みの少ない大腸内視鏡の挿入法などを研究。 2015年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。