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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2021年11月21日
こんにちは。副院長の東です。
秋の過ごしやすい気候も終わりが近づいていますね。
朝晩の冷え込みを感じるようになりました。はやく冬に向けてコートを出さなくては!!
HPVワクチンで若年女性の子宮頸癌の発生率は下がります
消化器に関する話題ではありませんが、イギリスから発表された研究論文に興味を持ったので記事にします。
この論文は「Lancet」という医学雑誌に2022年11月、つまり最新号に掲載されました。
ヒトパピローマウイルス(HPV)2価ワクチン(商品名 サーバリックス)接種プログラムの効果を
20歳代の女性の追跡調査データを用いた観察研究です。
子宮頸がんと前がん病変の子宮頸部上皮内腫瘍3(CIN3)の発生率を調べています。
接種時の年齢層別に見た子宮頸がん発生率の相対的低下率
16-18歳で34%
14-16歳で62%
12-13歳で87%
CIN3発生率の相対的低下率
16-18歳で39%
14-16歳で75%
12-13歳で97%
つまり、子宮頸がんも前がん病変も発生率は低下し、注目すべきは12-13歳時に接種した年齢での低下率です。
論文の結論でも
「イギリスにおけるHPV予防接種プログラムは成功、特にワクチン接種時に12-13歳であった場合。そして、1995年9月1日以降に生まれた女性における子宮頸癌をほとんど排除した」
と書かれています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34741816/
日本では数年前に副作用である不可逆性の神経障害が問題になりました。
厚生労働省は2020年10月に、従来までの「HPVワクチンの積極推奨を行っていない」という文言を削除しています。
改正後の文章は、
「ワクチン接種の有効性及び安全性等について十分に説明した上で、対象者等が接種を希望した場合に接種することを周知すること。」
となっています。
ただし、「市町村長は、接種の積極的な勧奨とならないよう留意すること。」とも。
https://www.mhlw.go.jp/content/000727674.pdf
一つ言えること、HPVワクチン接種に関しては世界各国のワクチン接種率は高水準です。
日本は極端な低水準であることは間違いありません。
日本産婦人科学会が「子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために」で分かりやすく解説していますので、
興味のある方はぜひ見てください。
https://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=4
この記事を書いた人
東 瑞智
医師
北里大学医学部を卒業。北里大学病院消化器内科学講師として、消化器がんの内視鏡診断・治療、抗がん剤治療だけでなく、難治性逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群などの消化器良性疾患の治療に従事。2020年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。北里大学医学部消化器内科学非常勤講師。