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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2022年03月30日
たまプラーザ南口胃腸内科クリニックの久津川です。
今回は「陥凹型」というタイプの大腸がんについてのお話です。
よくこんな話を聞きませんか?
「大腸がんになるタイプのポリープなので良性のうちに取っておきました。」
「腺腫というタイプでしたので、放っておくと今後大腸がんになる可能性がありましたよ。」
これらはすべて正解です。
大腸がんは大多数が、腺腫というタイプの良性のポリープが成長してがん化していきます。
これは、adenoma-carcinoma sequenceと呼ばれ一番有名ながん化経路です。
*腺腫から一部がん化した早期大腸がん(粘膜内がん)
次に多いのはserrated pathwayというもので過形成性ポリープ(特にSSL、SSA/Pといわれるもの)から成長してがんになる経路です。
そして、最後にde novo pathwayといわれるものです。
肉眼的な特徴としては超早期のものは、ほぼ発見することが困難ということです。
わずかな凹みや発赤しか示さないからです。
肉眼的な特徴以外は、その他のがん化経路より小さいうちにがんが深く進行していくということです。できた時からがんであるためです。
そのため、定期的に大腸内視鏡検査を行い、サイズが小さい早期のうちに内視鏡治療を行う必要があります。
当院で経験した陥凹型の早期大腸がんの症例です。
中央は盛り上がっていますが、辺縁を見ると一段へこんでいます。
数分で日帰り内視鏡治療が終了しました。
この小さな病変でも粘膜内がんという早期がんでした。
病理結果では腺腫という良性部分がなく、全体ががんと診断されました。
(adenoma-carcinoma sequenceでは、腺腫成分が一部観察されます)
この記事を書いた人
久津川 誠
医師
国立熊本大学医学部を卒業。 世界消化器内視鏡学会より国際的優良施設として認定されている昭和大学横浜市北部病院で、内視鏡検査に関する高精度な診断・治療、さらには痛みの少ない大腸内視鏡の挿入法などを研究。 2015年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。