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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2022年08月17日
たまプラーザ南口胃腸内科クリニック 副院長の久津川です。
今回は胃がんリスクのお話です。
胃がんのリスクは何といっても「ピロリ菌」です。
健康診断でも、検査が簡単なため血清抗ピロリ抗体検査が組み込まれているものがあります。
「かなり前に、血液検査でピロリ菌陰性と判定されました。」という患者さんに胃カメラをしてみると、明らかにヘリコバクターピロリ胃炎=萎縮性胃炎(ピロリ菌がいそう、もしくはいた胃炎)がある方がいらっしゃいます。
なぜそのような逆転減少が起きるのでしょうか?
ここ数年で、陰性(=感染なし)とされていた中に、陽性(=感染あり)と判断される人がいることがわかってきたため、血液検査の数値の抗体かの陽性と陰性の判定が変更されました。10以上の方が陽性なのは変更ありません。
過去の検査を受けたことがある人は検査結果を見て、確認しましょう。
① Hp抗体価が 3 未満の場合
ピロリ菌に感染している可能性は低いですが、1回は胃カメラ検査を受けて確実にピロリ菌がいないか診断してもらいましょう。
こちらの方も例外があります。こっちの方がリスクが高いので気を付けてください。
*例外;こちらの方は定期的な胃カメラを受けることを特にお勧めします。
・すでに除菌済みの場合
・かぜや何らかの病気で処方された抗生剤が偶然にピロリ菌に効果があり除菌されてしまった場合。
・胃の萎縮が進みすぎてピロリ菌が住めなくなってしまって自然に除菌された場合
② Hp抗体価が 3 以上 10 未満の場合(陰性高値)
以前は、陰性(感染なし)と判断され、胃がんリスクが低いと判定していました。新しい基準においては陽性疑い(感染の可能性あり)と判定されます。
「陰性高値」の例では、10-20%弱の感染者が存在すると考えられています。
ますは胃カメラ検査を受けましょう。
そしてその結果を見て、追加で他の方法でピロリ菌検査を行うのが良いとされています。
最近は、ただシンプルに血液抗体検査を行うよりもABC検診を行うことが多いです。
同じ血液のペプシノーゲン検査を追加しているだけなので簡単に行えます。
またABC検診「胃がんリスク層別化検査」を行ったことがある方も注意が必要です。
A 群(ピロリ菌感染なし、萎縮性胃炎なし)と判定された方の中に、過去にピロリ菌感染のあった方(既感染)や、現在ピロリ菌感染のある方(現感染)が含まれていることがわかってきました。
これらの方は、ピロリ菌に感染したことのない方とは違い、胃がんリスクは低くなく B・C・D 群と同様に胃がんになる方もいるということを知っておきましょう。以前、ピロリ菌がいないといわれたのに胃カメラしてみるとヘリコバクターピロリ胃炎に加え、胃がんが発見されました。
1度は胃カメラ検査を行い、自分の胃をチェックしましょう。
この記事を書いた人
久津川 誠
医師
国立熊本大学医学部を卒業。 世界消化器内視鏡学会より国際的優良施設として認定されている昭和大学横浜市北部病院で、内視鏡検査に関する高精度な診断・治療、さらには痛みの少ない大腸内視鏡の挿入法などを研究。 2015年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。