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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2022年11月12日
こんにちは。副院長の東です。
「2か月後再診ですね。」とお話しして、「あ、次回は年明けですね!」と。
師走がすぐ目の前、2022年の目標は達成できていますか?
急性虫垂炎は手術? 抗生剤?
盲腸と呼ばれることの多い、虫垂炎にかかったことのある方はいると思います。
虫垂は大腸の始まりにある腸で、盲端であることから盲腸と呼ばれます。
その盲腸に小さな入り口があり、そこにあるミミズのような小さな腸が虫垂です。
虫垂に何らかの炎症が起きて腫れてしまう事を虫垂炎と言い、炎症が強くなると腸管が破れることがあります。
腹腔内に炎症が広がってしまうと、汎発性腹膜炎(はんぱつせいふくまくえん)になります。
急性虫垂炎の治療はというと、緊急手術か抗生剤による保存的治療(いわゆる散らす)になります。
抗生剤がよく効くようになり、保存的治療で軽快することも多くなっています。
炎症が強い場合、つまりおなかの診察所見で腹膜炎を疑う場合は手術になることが多いでしょう。
腸が破れて腹腔内に広がってしまった膿は、手術で洗浄しきれいにする必要があるためです。
海外の論文を紹介します。
単純性急性虫垂炎に対する非手術治療と虫垂切除術の有効性および安全性を検証した報告がありました。
成人患者で非手術治療と虫垂切除術を比較した無作為化臨床試験8件をまとめて解析しています。
これは系統的レビューおよびメタ解析と言われる手法で、いくつかの論文の結果をまとめたイメージです。
結果は、
手術群と非手術群の30日時点の治療成功率(リスク比0.85、95%CI 0.66-1.11)
30日時点の重大な有害作用の発生率(リスク比0.72、95%CI 0.29-1.79)
に有意差は見られませんでした。
非手術群では、
入院期間が手術群より有意に長い(リスク比1.48、95%CI 1.26-1.70)
累積虫垂炎再発率が中央値で18%
が認められています。
結論としては、
単純性虫垂炎に対して保存的加療は安全ですが、
入院期間が伸びること、18%は再発します。
それを判断材料として手術するかどうか決定することを言っています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35895073/
実際の治療決定には、診察所見、そして入院期間や年齢が考慮されると思います。
虫垂の場所は、「右下腹部」ですので、その部位の痛みが持続したら虫垂炎を考える必要があります。
血液検査、腹部超音波検査、腹部CTができる施設への受診が望ましいです。
治療の基本は手術、保存的治療となるので、多くの場合で入院が必要になります。
この記事を書いた人
東 瑞智
医師
北里大学医学部を卒業。北里大学病院消化器内科で、消化器がんの内視鏡診断・治療、抗がん剤治療だけでなく、難治性逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群などの消化器良性疾患の治療に従事。2020年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。