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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2023年01月25日
たまプラーザ南口胃腸内科クリニックの久津川です
今回は、腸閉塞のお話です。
腸閉塞(イレウス)とは腸管の流れがどこかで阻害され、腸が詰まってしまう状態です。原因はさまざまです。癒着性腸閉塞が一番多いです。虫垂炎の穿孔などによる腹膜炎やその手術、婦人科系の手術などおなかの手術をしている方、子宮内膜症がある方により起きます。
食物や水分、消化液、ガスなどが流れずたまってしまい腸管がせき止められてしまうため、嘔吐、腹痛などが生じます。腸管の血行障害が生じると意識障害、血圧低下などが起こることがあります。腸管が膨らみすぎると腸に穴が開いたりすると緊急手術になることもあります。
腹部CT検査などにより、症状の精査を行い、腸閉塞と判断された場合は入院施設で治療を行います。造影剤を注射すると腸管の血行障害がわかりやすくなります。
CT検査;造影剤を使用していないCT画像です。丸いものが小腸です。正常よりも腸管が膨らみ、腸閉塞の状態だとわかります。
腸閉塞の治療は手術を行わない保存的治療と手術治療があります。
➀保存的治療は絶食と点滴治療を行い、イレウス管(鼻から小腸の原因部位の近くまでの長い管)を挿入して腸管にたまっている食物、水分(消化液など)、ガスを吸引します。腸管内の圧を下げることで腸管の穿孔を防ぎます。数日で閉塞が解除されます。そして水分や食事が開始できます。改善されない場合は手術に移行することがあります。
➁手術治療:腸閉塞の種類により異なります。
腸管の原因となる部位を見つけて、それを解除します。腸管が壊死などを起こしている場合は腸管手術を行います。
腸閉塞の予防としては、まず食事に注意が必要です。よく噛んでゆっくりと食事しましょう。食物繊維の多いもの(きのこ、こんにゃく、ゴボウなどの根菜類、サツマイモ、玄米など)を避けるなど注意をしましょう。食べる場合は細かく切るようにしましょう。
大建中湯という漢方薬が術後や腸閉塞後の短期的には有効とされています。長期的な成績はわかりませんが担当医と相談して内服してください。
急激な腹痛、嘔吐、便秘などがある時は、腸閉塞かもしれません。
医療機関を受診しましょう。
この記事を書いた人
久津川 誠
医師
国立熊本大学医学部を卒業。 世界消化器内視鏡学会より国際的優良施設として認定されている昭和大学横浜市北部病院で、内視鏡検査に関する高精度な診断・治療、さらには痛みの少ない大腸内視鏡の挿入法などを研究。 2015年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。