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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2023年04月23日
こんにちは。副院長の東です。
週末は気温が低く肌寒い気候でした。
ただ太陽が照らせば途端に気温が上がるので、服装の調節が大切ですね。
萎縮性胃炎と胃がん
胃がんの発生に一番関与してる因子は間違いなくヘリコバクター・ピロリ菌です。
ピロリ菌の感染は5歳までの感染の機会に暴露されていたかどうか、
胃内に住み着いてしまうような持続的な環境があったかどうかです。
主に井戸水からの感染と考えられていますが、
感染しているご両親からの口移しの食事、唾液を介した家庭内感染も関与しています。
感染の機会があれば、あとは免疫次第・・・。
5歳までの免疫が確立していない時期に、ピロリ菌を敵とみなすことが出来なければ胃内にとどまります。
ピロリ菌の持続感染が起きるのは少なくとも幼少時代。
ということは、内視鏡を受けて萎縮性胃炎の診断を受けたときには
それなりの期間が経過していることになります。
ピロリ菌感染によって炎症が持続します。
ぶ厚い胃の粘膜が、ピロリ菌による炎症のために表面の粘膜層がどんどん薄くなっていくのです。
大事なポイントはやはり感染から発見までの期間が長ければ長いほど、
萎縮性胃炎の程度がひどくなる傾向が強いことです。
萎縮性胃炎の面積が拡がれば拡がるほどに、胃がんのリスクは高くなります。
それはなぜかというと、炎症によって胃粘膜の遺伝子が傷ついてしまうためです。
「がん」は遺伝子のトラブルで生じる、正常ではない間違った細胞の増殖なのです。
設計図のミスがあれば、当然設計図通りの間違ったものが作られます。
がん細胞は、からだの中の免疫細胞の攻撃から免れるようにひっそりと増殖していきます。
注意が必要な点としては、ピロリ菌感染だけが胃がんになる原因ではありません。
ピロリ菌陰性の胃がん、逆流性食道炎からのバレット食道がんがあるためです。
がんを早期発見するためには、やはり内視鏡検査での定期的な見張りが必要です。
この記事を書いた人
東 瑞智
医師
北里大学医学部を卒業。北里大学病院消化器内科で、消化器がんの内視鏡診断・治療、抗がん剤治療だけでなく、難治性逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群などの消化器良性疾患の治療に従事。2020年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。