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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2023年05月11日
たまプラーザ南口胃腸内科クリニックの久津川です。
今回は、「食道がんにならないように、今からできることは?」というお話です。
2019年には年間26,382例が「食道がん」と診断されました。
2020年の死亡数は年間10,981人でした。
5年相対生存率(2009~2011年)は、41.5 %(男性40.6 %、女性45.9 %)でした。
性別では男女比が約6:1と男性に多く、年齢は60代、70代に好発し、全体の年代の約70%を占めています。
食道がんには、「扁平上皮がん」と「腺がん」があります。日本では前者がほとんどです。後者は10%以下とされています。
扁平上皮がんは、飲酒と喫煙が危険因子として重要です。両方を行うことでよりリスクが増加します。熱い食事、緑黄色野菜や果物の摂取不足もリスクとされていますが、喫煙や飲酒よりもリスクをあげるほどのものではありません。
お酒を飲んで顔が赤くなるタイプの人、以前そうであった人はリスクが高まります。日本人の40%くらいは、そういうタイプであり注意が必要です。
→➀飲酒と喫煙をしない。飲酒をやめれば、リスクは下がります。また喫煙によってもリスクは下がります。また受動喫煙による食道がんのリスクもあり、禁煙で家族や友人を食道がんから守ることができるかも知れません。
そして「腺がん」は、日本の食道がんの数%しかありませんが、欧米では増加傾向しており、約50%以上です。逆流性食道炎による胃に近い下部食道の慢性持続的な炎症によってできるバレット上皮がその発生母地とされています。逆流性食道炎や逆流性食道炎のリスク因子などが食道腺がん発生に関係があります。
よって逆流性食道炎の予防対策、治療が必要となります。逆流性食道炎のリスクとしては、高脂肪食や過食、寝る前の食事、肥満、喫煙などが報告されています。
→②上記のリスク因子を持つ人は、生活習慣を改めましょう。食生活の改善、運動をする、ダイエットなどが効果的です。扁平上皮がんと同様に禁煙をしましょう。
しかし、もう好発年齢になっている人は、予防しても手遅れかも知れません。
積極的に胃カメラ検査を受けるなど食道がんの早期発見に目指しましょう。
食道がんは早期の場合、自覚症状がないため、早期発見・早期治療を行うためには、胃カメラ検査が大切です。胃カメラ検査が、食道がんの早期発見の重要なポイントです。
早期で食道がんが発見される方は、食道がんを疑って検査をするのではなく、他の病気の疑いがあり胃カメラ検査をしたときに偶然見つかるケースが多くあります。
また胃カメラ検査の中でも、NBI機能を搭載した高画質の胃カメラ検査を受けるのが望ましいです。
当院でも食道がんの検査として胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)が可能です。
この記事を書いた人
久津川 誠
医師
国立熊本大学医学部を卒業。 世界消化器内視鏡学会より国際的優良施設として認定されている昭和大学横浜市北部病院で、内視鏡検査に関する高精度な診断・治療、さらには痛みの少ない大腸内視鏡の挿入法などを研究。 2015年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。