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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2023年06月11日
こんにちは。副院長の東です。
先週からほとんど毎日雨の日々が続いていますね。
じめじめする室内を感じると梅雨入りを実感します。
ABCリスク検診を受ける意味はありますか??
胃がんABCリスク検診をご存じの方も多いと思います。
健診や人間ドックのオプション項目で気軽に検査追加できます。
答えはイエス、ノーの両方です。
今まで一度も胃の検査(X線、内視鏡)を受けたことがない人、初めてリスク検診を受ける人はイエス、
毎年2回目以降でついオプションで選んでしまう人、ピロリ菌除菌後の人はノーです。
正しくリスクを判断して、必要あれば除菌治療をすればその後のリスク検診を受ける意味はありません!
ピロリ菌の持続感染は基本的には5歳までに成立するので、成人してから持続感染はほとんどありません。
ですので1回検査をしておけばそれで十分なのです。
ピロリ菌検査する方法はいくつかあります。
胃がんABCリスク検診などで使われている、血液検査で簡単に調べられるのが、血中ピロリ抗体です。
同じ原理で、尿中ピロリ抗体もあります。
抗体は、自分自身の免疫タンパクの一種で、感染した時にのみ産生される免疫反応の一部です。
つまり、感染していなければ作られず、感染があればたくさん作られます。
その他に、便中抗原、迅速ウレアーゼ試験、尿素呼気試験、病理検鏡が一般的です。
重要なのは、胃内視鏡検査で胃粘膜の状態を確認する事です。
ピロリ菌に感染して生じる、胃の粘膜が炎症のために薄くなる状態を萎縮性胃炎と言います。
実際に萎縮性胃炎が見られるかどうか、どのくらいの範囲に広がっているかを知ることで
胃がんの本当のリスクを知ることが出来るのです。
注意してなればいけない点があります。
胃がんの発生はピロリ菌がすべてではありません。
ABCリスク検診でA群(ピロリ抗体陰性、ペプシノゲン法陰性)だからと言って、
100%胃がんのリスクがないとは絶対に言えません!!
ピロリ菌陰性の胃がん(近年確実に増えてきています)
ピロリ陰性で多くなる胃酸逆流に関連する胃と食道接合部にできるバレット食道がん
胃内視鏡をすることで、細かな変化を捉えて「がん」が発生していないかを定期的に見ていくことが重要です。
もちろんピロリ菌の感染の有無によって適切な検査間隔は変わります。
ぜひご相談ください。
この記事を書いた人
東 瑞智
医師
北里大学医学部を卒業。北里大学病院消化器内科で、消化器がんの内視鏡診断・治療、抗がん剤治療だけでなく、難治性逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群などの消化器良性疾患の治療に従事。2020年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。