MENU
閉じる
たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2023年07月19日
今回は、クリニックで「がん」と診断されたらどうなる?というお話です。
大腸がんの場合について解説します。
まず、「大腸がん」と告知される場合は、大きく分けて2パターンあります。
ひとつ目は、まず当院で大腸ポリープの日帰り内視鏡治療を受けて、とった病変を病理検査に出してみたら、がんだった場合です。
ふたつ目は、当院で内視鏡検査を受けて、大腸がんが発見されたが、内視鏡治療できないものであり、検査後に「内視鏡治療できない、大腸がんが発見されました。今後は大学病院や総合病院での詳しい検査と手術が必要になります。」と言われる場合です。
ひとつ目の場合は、前回お話したので今回はふたつ目のパターンについてお話します。
ふたつ目の例は、皆さんが寝て検査を受けている間に大腸がんを我々が発見します。ただし、最初と違って、内視鏡治療適応外の病変だった場合です。検査後に鎮静剤が覚め、画像を見せながら、診察室で説明します。その際に告知となります。「大腸がんが見つかりました。残念ながらこの大腸がんは内視鏡治療ができないものなので、お腹を切る手術が必要になります。大学病院や総合病院を紹介するので、そちらで今後さらにCT検査などを行い精査してから、手術になると思います。」
大体の患者さんはがんが発見されるとは、そこまで思ってないので「えっ」という感じで驚かれる方が多いですが、ほとんどの方が「なんで内視鏡治療できないの?」、「これからどうなるのか?」「がんてステージっていうのがあったよな?」「死んじゃうの?」など多数の疑問が出てきます。
我々は、そのような疑問に対してその後説明していきます。
まず、「なぜ内視鏡治療できないのか?」
これは、すでにガイドラインで詳細に決まっており、見た目で明らかに適応外と判断された時には最初から外科的手術が選択されるからです。もちろんガイドラインギリギリの内視鏡治療できるかできないかの病変は内視鏡治療をまずしてみることがありますが、このような明らかに適応外の場合は、内視鏡治療できません。と説明します。
次は、「これからどうなるの?」という疑問です。まず、紹介状(診療情報提供書)をご希望の病院宛に当院で記載します。
この紹介状ですが、宛先は基本的には患者さんが選べます。日本全国どこでも大丈夫です。こちらが勝手に決めるわけではありません。患者さんには1,2週間の間に家族の方と相談してもらい、次回の外来で伝えてもらいます。どこの病院に行ったら良いかわからないという方に対しては、近隣のおすすめの大学病院や総合病院をお勧めします。
その紹介状を持って、その病院を受診して、更なる検査をして、手術の方法や日程、入院期間などを決定していきます。
よく皆さんが、クリニックで「ステージはいくつですか?」と尋ねられるのですが、がんのステージというのは、がんの深さ、リンパ節転移の状態、肝臓などへの転移の状態から決まります。
なので当院ではステージはわかりません。
紹介先の病院でCT検査などを行い、だいたいこのくらいのステージというのを想定して手術を行い、最終的には切除した病変、リンパ節などを病理検査してステージが確定します。
そして最後に、一番心配な「がんで亡くなったしまうのか?」というお話です。大腸がんは、早期で発見できれば、命を落とすようなことはほぼありません。しかし、内視鏡治療ができないものに関しては、ステージによっては亡くなってしまう可能性もありえます。これに関しては、先程述べたようなステージによってさまざまなのではっきりと言えなません。しかし、経験やデータなどからのお話はできるので、ケースバイケースにはなりますが、予測のお話をできるケースはあります。
突然、がんかもしれない、がんです。と告知されます。その時に備えて、参考にしてください。
大腸がんは、まず検査を受けることが大事になります。大腸内視鏡検査をお勧めしていますが、内視鏡は受けたくないという方は、便潜血検査だけでも受けてください。
大腸がんで亡くなる可能性は低くなります。
*進行がんで手術となった症例
この記事を書いた人
久津川 誠
医師
国立熊本大学医学部を卒業。 世界消化器内視鏡学会より国際的優良施設として認定されている昭和大学横浜市北部病院で、内視鏡検査に関する高精度な診断・治療、さらには痛みの少ない大腸内視鏡の挿入法などを研究。 2015年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。