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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2023年09月03日
こんにちは。副院長の東です。
9月に入りました。少しずつ涼しい気候になってきそうですね。
まだまだ日中は暑いので、温度変化に気を付けましょう。
注意すべき胃底腺ポリープは?
ピロリ菌陰性の胃にできるポリープが胃底腺ポリープです。
胃粘膜と同じ色調で同じ模様を呈している小さいポリープです。
胃底腺ポリープは良性のポリープがほとんどですが、
注意しなければいけない時があります。
経過観察の中で赤くなる、大きくなってくるポリープから胃がんが発生することが報告されています。
胃底腺型胃がんと言って、「がん」ではあるが転移するリスクが低い低悪性度のがんです。
もう一つ注意すべき胃底腺ポリープがあります。
それは、gastric adenocarcinoma and proximal polyposis of the stomach(GAPPS)と呼ばれる、
家族歴を持つ、遺伝性の胃がんです。
特徴は、その数にあります。
胃の大弯(大きなカーブ側)に100個以上の胃底腺ポリープがある場合、
家族歴で同様に100個以上の多発胃底腺ポリープがあればその可能性が高くなります。
生検で腺腫やがんが認められれば、治療が必要です。
現段階では胃ポリープをすべて内視鏡で切除するのは困難と考えられていて、
予防的な観点から胃全摘を考慮されることが検討されています。
大腸で見られる多発ポリープに家族性大腸腺腫症(FAP)という疾患がありますが、
このGAPPSは、大腸や十二指腸には多発ポリープが見られないのが特徴です。
APC遺伝子のプロモーター1B領域の病的バリアントが原因なのですが、
家族性大腸腺腫症もこのAPC遺伝子の異常が発症の原因なので、
GAPPSとAPCは親戚のがんと考えてよいと思います。
胃底腺ポリープは経過観察で通常は問題ありませんが、
① 発赤、大きくなるもの
② 100個以上の数と、家族歴があるとき
注意が必要です。消化器病専門医、消化器内視鏡専門医に相談してください。
この記事を書いた人
東 瑞智
医師
北里大学医学部を卒業。北里大学病院消化器内科で、消化器がんの内視鏡診断・治療、抗がん剤治療だけでなく、難治性逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群などの消化器良性疾患の治療に従事。2020年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。