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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2023年09月17日
こんにちは。副院長の東です。
阪神タイガースがAREを達成し、ニュースでも盛んに取り上げられていました。
ベイスターズはCSの向けて3位をキープしています。
スキルス胃がんと飲酒
胃がんは、日本における罹患者数(2019年)と死亡数(2021年)がともに3位です。
若い世代のピロリ菌感染者は減少しています。
しかし、ピロリ菌による萎縮性胃炎が起こった中高年者から胃がんの発生はまだ続きます。
胃がんの発生要因としては、ピロリ菌感染が大きな要因ですが、EBウイルス感染も関連します。
ピロリ菌感染による萎縮性胃炎の部位から胃がんは発生し、
慢性炎症に伴う遺伝子のダメージが分化型胃がんと関連します。
一方で、スキルス胃がんに代表される、低分化もしくは未分化型胃がんに関しては、
リンパ球の過剰反応による遺伝子のダメージがきっかけとされていて、
萎縮性胃炎を伴わずに胃がんが発生します。
とりわけ若い、女性に発生することが言われています。
国立がん研究センターから総計1,457例の世界最大となる胃がんゲノム解析が行われました。
さまざまな要因で細胞のDNAに特徴的な変異(変異シグネチャー)が起こります。
喫煙、紫外線、飲酒などがその代表的な因子です。
14種類の変異シグネチャーが発見され、そのなかでSBS16という変異がスキルス胃がんと東アジア人に多い事、
そして飲酒と関連性があると報告されました。
具体的には、
✓ 男性
✓ 飲酒量
✓ アルコールを代謝しにくい体質(ADH1B/ALDH2)→食道がんと同じ!!
と関連していました。
飲酒による変異(SBS16)がスキルス胃がん発生の鍵となるRHOAドライバー変異を誘発し、
スキルス胃がんを発症することが明らかになりました。
やはり、アルコールを分解しにくい、顔が赤くなるフラッシャーの方は注意が必要です。
食道がんだけではなく、スキルス胃がんの発症にも関与しています。
適切な飲酒量を心がけることが大切だと思います。
この記事を書いた人
東 瑞智
医師
北里大学医学部を卒業。北里大学病院消化器内科で、消化器がんの内視鏡診断・治療、抗がん剤治療だけでなく、難治性逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群などの消化器良性疾患の治療に従事。2020年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。