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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2023年10月04日
たまプラーザ南口胃腸内科クリニックの久津川です。
今回は、「なぜ、医者は便潜血検査を受けないのか?」です。
ズバリ答えは、「便潜血検査では早期がんは発見されず、進行がんで発見されることもあり、しかも進行がんでも見逃されることがあるからです。」
がんやポリープなどが便とこすれたりすることで出血した血液に反応して、便潜血陽性になります。
よって、この検査は大腸がん検診として利用されています。
実際に陽性になり、大腸内視鏡検査をしっかり受けることで大腸がんで死亡するリスクは軽減します。
多くの人を検査する検診としてはとても有効です。
しかし、出血するのは、隆起のある大きめのポリープか大きめのがんであり、小さいものや平坦なものは出血をほとんどしません。
しかも、常に出血しているわけではないので、検査で使用する便の検体に出血が含まれていなければ、見逃されてしまいます。
まず、この進行がんでも見逃すことがあるかもしれないということを知っているので、もしこの検査で陰性と判断されても、大腸がんがあったらどうしようと不安になってしまいます。実際にそのような患者さんを見たことがあるからです。
大腸がんで亡くならない程度の進行がんで発見されれば、便潜血検査としては有効ということになりますが、我々消化器内科医としては、できるだけ癌になる前の良性ポリープ、内視鏡で取り切れる早期のがんで発見され治療されたいので便潜血検査より大腸内視鏡検査を受けます。
胃がんと同様に、早期発見できれば内視鏡で治療できます。
おなかを切らず、今後の生活に支障はまずありません。
このような早期がんの段階で見つかれば、日帰り治療で完治が可能です。便潜血検査では陽性になりません。
こちらは便潜血検査で陽性となり、大腸内視鏡検査を受けて進行大腸がんが見つかりましたが外科的治療が必要となりました。症状はありませんでした。
この記事を書いた人
久津川 誠
医師
国立熊本大学医学部を卒業。 世界消化器内視鏡学会より国際的優良施設として認定されている昭和大学横浜市北部病院で、内視鏡検査に関する高精度な診断・治療、さらには痛みの少ない大腸内視鏡の挿入法などを研究。 2015年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。