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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2023年10月29日
こんにちは。副院長の東です。
気温がぐっと低下してきていますね。すでに長袖の服が必須です。
夜はぐっと冷えこみますので、もう一枚羽織るものも用意した方が良さそうです。
早期胃がんを内視鏡治療できるかどうかの重要なポイント
がん治療は、出来るだけ早くに見つけて治療するのが重要なポイントです。
早期がんの段階では全く症状がないので、定期的な検査が大事になってきます。
今回は早期胃がんの内視鏡治療についてお話します。
「胃がん」と診断した時に、治療に影響する項目があります。
① 大きさ
② 深達度(がんの根の深さ)
➂ 組織型(がん細胞の性質)
④ 部位
胃がんは、粘膜表面の細胞から発生して、通常は横に広がります。
正常細胞をがん細胞に置換していきながら、隣に少しずつ広がっていきます。
大きくなってくると、土台が重要になりやがて粘膜の下の方(筋層)に向かっていきます。
いわゆる根が深くなっていくイメージです。
粘膜層の次は粘膜下層、そして筋層、筋層を超えると腹腔内つまりおなかの中です。
「がん」が大きくなれば、ほかの臓器にがん細胞を認める転移を起こします。
当然大きくなっていくにあたり、転移のリスクが高まります。
粘膜層を超えて粘膜下層に到達すると(浸潤する)、胃から転移するリスクが発生します。
それはなぜかというと、粘膜下層には血管やリンパ管が豊富にあるためです。
がん細胞がそれらに浸潤すると、リンパ管であれば胃周囲のリンパ節、血管であれば一番初めにたどり着くのが肝臓です。
早期胃がんには、内視鏡治療の適応条件があります。
それが先ほど挙げた因子なのです。
早期胃がんで手術された症例を蓄積して調べた結果、
2cm以内、粘膜内がん、高分化型腺癌(がん細胞が胃細胞に似ている)、潰瘍がない
この4つを満たせば、胃周囲のリンパ節転移や、多臓器に転移することがほとんどなかったのです。
つまり、内視鏡治療で早期胃がんは完治できます!!
部位に関しては、内視鏡治療の適応になるような早期胃がんの場合はあまり影響がありません。
なぜならば、術者の治療技術が高ければ、胃内のどんな部位でも内視鏡治療で切除できます。
内視鏡治療で切除しきれないと判断する早期胃がんや、進行がんの場合は、
胃がんが出来た場所により、胃を切除する際の術式に影響します。
一般的に多い幽門と呼ばれる出口に近い場合は、幽門側胃切除術が標準です。
噴門と呼ばれる入り口近くの場合は、胃を栄養する血管の関係から、胃全摘術が選択されることが多くなります。
早期がんの内視鏡治療は内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が必須です。
治療の歴史的な背景を含めて次回説明します。
この記事を書いた人
東 瑞智
医師
北里大学医学部を卒業。北里大学病院消化器内科で、消化器がんの内視鏡診断・治療、抗がん剤治療だけでなく、難治性逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群などの消化器良性疾患の治療に従事。2020年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。