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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2023年12月03日
こんにちは。副院長の東です。
12月に入り、すっかり寒くなったのと同時に空気の乾燥を感じています。
クリニックの診察室にも加湿器を導入してもらいました。
50歳未満の大腸がんの初期症状
消化器がんを含めて、早期がんの症状はほぼないと言っても過言ではありません。
何かをきっかけに検査を受けたらたまたま「がん」が見つかったというケースがほとんどだと思います。
早期の食道がん、胃がんは陥凹型が多く、大腸がんは表面隆起型が多いですが、
いずれも粘膜表面からのごくわずかな変化であり、症状を呈することはまずないでしょう。
アメリカから50歳未満の早期発症大腸がんに関連する徴候・症状に関する研究が発表されました。
18~64歳の米国の民間保険加入者で、2年以上継続加入している早期発症大腸がん患者5,075例が対象でした。
事前に規定した17個の徴候・症状について、大腸がん診断前3ヵ月~2年の徴候・症状と早期発症大腸がんの関係を検討したものです。
結果は、以下です。
直腸出血(オッズ比[OR]:5.13、95%信頼区間[CI]:4.36~6.04)
鉄欠乏性貧血(OR:2.07、95%CI:1.61~2.66)
下痢(OR:1.43、95%CI:1.14~1.78)
腹痛(OR:1.34、95%CI:1.19~1.49)
オッズ比は値が高いほどリスクが高いことを意味します。
出血、貧血、下痢、腹痛という症状ですが、どれも「がん」特有ではありません!!
言葉だけでは、虚血性腸炎や炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)の症状と大差ないのです。
あえて、大事な事を言えば、
上記の4個の徴候・症状を多く有しているほど、早期発症大腸がんのリスクが高かったのです。
1個の場合のOR:1.97、95%CI:1.80~2.15
2個の場合のOR:3.66、95%CI:2.97~4.51
3個以上の場合のOR:6.96、95%CI:4.07~11.91
https://academic.oup.com/jnci/article/115/8/909/7147891?login=false
健診で鉄欠乏性貧血をしてされたことがある。そして腹痛、下痢、出血の症状が重なればリスクがあります。
大腸内視鏡検査を受けることで、病気の有無が分かりますし、大腸がんの早期発見につながります。
検査を受けるきっかけを見つける事が大切だと思います。
この記事を書いた人
東 瑞智
医師
北里大学医学部を卒業。北里大学病院消化器内科で、消化器がんの内視鏡診断・治療、抗がん剤治療だけでなく、難治性逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群などの消化器良性疾患の治療に従事。2020年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。