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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2024年01月08日
新年あけましておめでとうございます。副院長の東です。
体調に気を付けながら今年一年過ごしましょう。
赤ワインによる頭痛のメカニズム(red wine headache)
一般的にアルコール飲料を飲みすぎると嘔気、頭痛を起こすことは知られています。
アルコールは、肝臓でアセトアルデヒドに分解されます。
そしてアセトアルデヒドがALDH2(2型アセトアルデヒド脱水素酵素)により酢酸に分解されて処理されます。
食道がんの原因にもなるアルコール分解産物のアセトアルデヒドが起因しています。
アセトアルデヒドは、顔が赤くなるだけではなく炎症の原因になる有害物質なのです。
この炎症がきっかけで遺伝子変異が起きて食道がんが発生するのです。
赤ワインを飲むと少量でも頭痛を感じる方がいると思います。
僕もどの銘柄というわけではなく種類によってはなぜかひどい頭痛を認めることを経験したことがあります。
保存料が原因なのではないかと思っていたのですが、どうもほかに原因があるようです。
アメリカ、カリフォルニア州立大学デービス校からの研究なのですが、
とても興味深い内容だったので紹介します。
「赤ワインには、白ワインに比べてはるかに多くのケルセチンとケルセチン配糖体が含まれている」
初めて知る物質、このケルセチン(quercetin)が関与しているとの事。
ケルセチン誘導体(ケルセチンから派生した化合物)が、先ほどのALDH2の活性に影響を与えます。
それは、ケルセチンはALDH2を抑制する効果がありアセトアルデヒドの分解を妨げるのです。
その中でも、ケルセチングルクロニド(quercetin glucuronide)が最も抑制効果が高かったようです。
つまり、ケルセチンによるアセトアルデヒド代謝が関与している可能性が分かりました。
また、赤ワイン頭痛を起こしやすい人として、
片頭痛などの頭痛持ちは要注意と言っています。
https://www.nature.com/articles/s41598-023-46203-y
ケルセチンのみが全ての原因究明ではありませんが、今までの疑問がフッと解決された気がします。
この記事を書いた人
東 瑞智
医師
北里大学医学部を卒業。北里大学病院消化器内科で、消化器がんの内視鏡診断・治療、抗がん剤治療だけでなく、難治性逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群などの消化器良性疾患の治療に従事。2020年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。