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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2024年02月18日
こんにちは。副院長の東です。
朝の寒さが少し和らいでいる感じですが、また寒くなる予報です。
少しずつ春に向かってきていますね。
世界のピロリ菌感染率
ピロリ菌感染についての話題を一つ紹介します。
台湾からの報告で、Gastroenterologyという消化器領域で著名な学会誌に掲載されました。
世界の成人および小児を対象にしていて、ヘリコバクター・ピロリ菌感染の長期的傾向(1980-2022年)と胃がん発生との関連を調べています。
最近多いメタ解析という方法で、111カ国の文献1748件を使って検証されました。
メタ解析は、自前のデータだけではなくすでに発表された論文データを集めて再検証する方法です。
世界のピロリ菌感染率は、
✓ 成人において
1990年以前の52.6% (95%CI 49.6-55.6) →2015-2022年には43.9% (42.3-45.5) に低下しました。
✓ 小児では
1990年以前の26.6 % (95%CI 20.0–34.3) →2015-2022年には35.1%(30.5-40.1) と低下せずでした。
データのばらつきを調整して統計学的な多変量解析を行うと、
過去30年間で
成人で−15.9% (−20.5 ~ −11.3) に対して、
小児で−6.6 % (−16.9 ~ 3.6) でした。
成人では有意な低下、小児では差がないとの判断でした。
最重要な項目として、
胃がん発生率は世界的に低下していて、
それは様々な国でヘリコバクターピロリ菌の感染率が低下しているためでした。
今後検証していく必要があると結論付けられていましたが、
やはりピロリ菌感染率を下げることが、胃がんの減少に結び付くと言えます。
https://www.gastrojournal.org/article/S0016-5085(23)05687-1/abstract
注意していただきたい事は、
ピロリ菌除菌による胃がん減少効果は確実だと思いますが、
その個人において必ず胃がんが発生しないということではありません。
将来的に胃がんが発生する事を予防する事はできませんが、早期発見は可能です。
早期発見すれば胃がんは治癒します。胃がんは治せる病気なのです。
この記事を書いた人
東 瑞智
医師
北里大学医学部を卒業。北里大学病院消化器内科で、消化器がんの内視鏡診断・治療、抗がん剤治療だけでなく、難治性逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群などの消化器良性疾患の治療に従事。2020年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。