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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2024年06月30日
こんにちは。副院長の東です。
金曜日から土曜日にかけて強い雨が降りました。
土砂降りという言葉が当てはまるくらいの雨でしたね。
梅雨明けは7月中旬と予想されています!!
腸内細菌とコレステロール
医学の進歩に伴い、薬物は研究開発されて確実に進化していきます。
新しい効能が発見されて、従来とは違う新たな適応を持つ薬も出てきています。
腸内細菌という領域においても、以前よりも注目度が高くなっていると感じます。
細菌の集まりを意味する腸内細菌叢の組成が遺伝子研究レベルで明らかになっています。
肥満、糖尿病、炎症性腸疾患などの疾患のリスクとの関連は明らかで、
今回コレステロール値を下げる腸内細菌が発見されました。
米国からの研究報告で、有名な大規模疫学研究「フラミンガム研究」の1429人の糞便サンプルを用いて、
腸内細菌と心血管リスク因子との関連を検討しています。
https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(24)00305-2#%20
Oscillibacter species are associated with decreased blood and stool cholesterol
Oscillibacter species encode for conserved cholesterol-metabolizing enzymes
オシリバクターという腸内細菌を多く有している人は、そうでない人に比べて血中コレステロール値が低い傾向があることが明らかになりました。
さらに、この細菌はコレステロールを分解することで生じる副産物は、ほかの細菌によって代謝された後、体外に排泄されることが明らかになりました。
このように腸内細菌は、実は体内の環境に多大なる影響を与えているのです。
コレステロール以外にも、炎症やがんなどの免疫や人間の健康のさまざまな側面に影響しています。
もうすでに幾つかの大学病院で、他人の糞便を体内に移植する臨床研究が始まっています。
糞便というと汚いイメージになりますが、実はそこに含まれている細菌叢を取り込むことなのです。
腸内環境の重要さを少しでも理解していただけたら嬉しいです。
この記事を書いた人
東 瑞智
医師
北里大学医学部を卒業。北里大学病院消化器内科で、消化器がんの内視鏡診断・治療、抗がん剤治療だけでなく、難治性逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群などの消化器良性疾患の治療に従事。2020年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。