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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2024年08月04日
こんにちは。副院長の東です。
8月に入りました。猛暑が続いています。
冷房との気温差に注意しながら、体が常に潤っているように適切な水分補給をしましょう。
便潜血陽性と大腸内視鏡検査
健診や人間ドックで行われている検便検査、便潜血検査とも言います。
大腸がん検診としての意味を持つ検査です。
便の表面をスティックで擦り、そこに血の成分があるかどうかを判断します。
以前は「化学的方法」と呼ばれるオルトリジン法、グアヤック法がメインでした。
ペルオキシダーゼ様作用を持つ肉や魚料理に含まれる血液や鉄剤、ミオグロビン、緑黄色野菜でも陽性となってしまい、
偽陽性が多いのが問題点でした。
それを改善したのが、現在の「免疫学的方法」です。
血の成分であるヒトヘモグロビンに特異的に反応しますので、
牛、豚や魚類の血液とは反応しません。
そして、胃酸や膵液などの消化液によりヘモグロビンが変性する上部消化管出血は検出しないので、
下部消化管での出血の有無を特異的に検出することができます。
スウェーデンから、便潜血検査よる定期検診は大腸がん死亡率の低下と関連している、という研究結果が発表されました。
早期に受診した場合と、遅れて受診または一切受診しなかった場合に分けて、がん特異的死亡率を評価しています。
結果は、
大腸がん検診は
✓ 大腸がん死亡のリスク低下(死亡率比 0.86)
✓ 超過死亡のリスク低下(死亡率比 0.84)
に寄与していたと結論付けられました。
ただし、検査で陽性が出た際に迅速に大腸内視鏡検査を行うことが不可欠であると言っています。
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2815470
便潜血検査では5%が陽性になります。
陽性者の中で大腸がんは2-3%と考えられています。
95%以上は、痔、ポリープ、異常なしになるのです。
確率的に便潜血検査の大腸癌の発見率は0.1〜3%になります。
そうです、お分かりの通りです。
便潜血陽性は大腸がんが隠れている可能性があります。
大腸がんはいきなり発生する病気ではありません。
ほとんどがポリープが大きくなること、言い換えると腺腫から腺がんへと成長していきます。
ポリープが便潜血検査で陽性になることは、余程大きなポリープではない限りはないと思います。
便潜血が陽性になれば確実に大腸内視鏡検査を受けてください。
また、大腸がんにならないために、ポリープを持っているかどうかを検査するのも大事なのです。
この記事を書いた人
東 瑞智
医師
北里大学医学部を卒業。北里大学病院消化器内科で、消化器がんの内視鏡診断・治療、抗がん剤治療だけでなく、難治性逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群などの消化器良性疾患の治療に従事。2020年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。