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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2024年09月01日
こんにちは。副院長の東です。
9月に入りました。まだまだ蒸し暑いです。
過去最大級の雨量をもたらしている台風が猛威を振るいつつあります。
突然の雨、突風にはお気をつけ下さい。
若年者のピロリ菌感染について
胃がんの主な原因の一つであるピロリ菌感染症。
感染することでがんになるわけではなく、粘膜の炎症を引き起こして萎縮性胃炎が持続します。
この炎症の際に、胃粘膜の胃上皮細胞にCagAタンパク質を注入することで胃がんの発症を促します。
CagAタンパク質が種々のタンパク質と結合して発がんに関わる細胞内シグナルを撹乱することが分かっています。
胃上皮細胞を他の臓器の細胞に分化する幹細胞に変えてしまうことにより、
この幹細胞ががん細胞のもとになることが推測されています。
遺伝子のトラブルが「がん細胞」の発生には必須なのです。
ピロリ菌感染が大きな要因ですが、ストレス、食事、遺伝的な素因も考慮しなければいけません。
さて、ピロリ菌感染症ですが、
ピロリ菌自体の感染率は低下していることは以前のブログでも紹介しています。
https://www.tamapla-ichounaika.com/blog/fukuinchou/post-39349/
成人の感染率は低下していますが、小児では差がないとの結果です。
20世紀と比べて21世紀の衛生環境の改善が大きな影響を与えています。
しかしながら、生物は菌との共存とともに進化していています。
人体が無菌である状態は皆無です。
表皮にもブドウ球菌、口腔内常在菌、腸内常在菌が存在しています。
幼少時期の自然水からの感染の影響は少なからずあります。
成人してからも当然自らの感染症は起こりえます。
つい最近、滝で水遊びをしていた109名が、嘔吐下痢の症状を発症したニュースがありました。
ウイルス、細菌感染症は環境要因で人体に移りえるのです。
幼少時期のピロリ菌感染は、将来に向けても決して無くならないと思います。
山の湧き水、河川、海、神社やお寺などの地下水と、可能性が低いとはいえ感染源はあるのです。
そして両親がピロリ菌感染していれば、そのお子さんへのピロリ菌感染率は高くなります。
しかし、親、肉親からの口移しの食事、唾液からの家庭内感染は無くすことが出来ます。
若年でピロリ菌感染していた場合は、早期のピロリ菌除菌が必要と考えてください。
胃がんを発症するリスクは確実に下げることが出来ると思います。
この記事を書いた人
東 瑞智
医師
北里大学医学部を卒業。北里大学病院消化器内科で、消化器がんの内視鏡診断・治療、抗がん剤治療だけでなく、難治性逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群などの消化器良性疾患の治療に従事。2020年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。