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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2025年02月16日
こんにちは。副院長の東です。
2月も中旬に入りました。桜咲く春がもうすぐ目の前に現れます。
新年度に向けての準備を始めていきましょう。
逆流性食道炎治療の最新の見解
「胃酸過多、逆流に気を付けましょう!」
外来でも何回も繰り返しお伝えしている言葉です。
ピロリ菌陰性の方、ピロリ菌除菌後の方は特に注意が必要です。
ピロリ菌が生息していない環境では、胃酸分泌機能が十分に保たれています。
多い食事量、刺激物(辛い、しょっぱい、酸っぱい、甘い)、油濃いもの、お酒。
現代では食事の欧米化、高カロリーとなっています。
食べるもの、飲むものの刺激が多ければ多いほど消化液である胃酸は多く分泌されます。
まずは、食事療法を見直すことが治療の第一歩となります。
今日は薬物療法についてお話ししたいと思います。
逆流性食道炎で著名な先生の公演を拝聴しました。
僕が感じたポイントは2つありました。
軽症から重症と進んでいくと考えられていた概念が、切り離されたことです。
つまり、軽症と重症は別個に考えるべきということでした。
そして治療について、軽症の主体は症状改善、重症の主体は粘膜治癒と症状改善が目的となるということ。
目的が異なれば内服の仕方も変わってくると考えられます。
逆流性食道炎の薬物療法はオンデマンド療法が主体になっています。
症状あるときの内服、症状ない時は中止しましょうと。
その治療方針はやはり変わりありません。
おそらく、軽症の方を対象にすべき治療なのだと考えられます。
重症とは、ロサンゼルス分類でC、Dといわれる発赤の胃食道接合部の半分以上となる面積が広い方。
粘膜治癒を主体にする必要があり、それはバレット食道がんの予防につながると考えられます。
比較的長期に内服を継続する必要があります。
PPI、P-CABは効果発現時間が異なるので、上手に使い分けることがポイントです。
長期内服はPPIの安全性が保たれていましたが、P-CABの5年安全性が検証され確認されました。
治療ガイドラインでも優劣はなく、どちらも推奨される薬剤です。
どちらを使わなければいけないという正解はありません。
生活習慣、症状の改善程度によって選択する薬剤は変わりうる訳です。
奥が深い逆流性食道炎の治療、最新の見解をお伝えしました。
この記事を書いた人
東 瑞智
医師
北里大学医学部を卒業。北里大学病院消化器内科学講師として、消化器がんの内視鏡診断・治療、抗がん剤治療だけでなく、難治性逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群などの消化器良性疾患の治療に従事。2020年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。北里大学医学部消化器内科学非常勤講師。