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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2025年02月23日
こんにちは。副院長の東です。
大型の寒波が日本海側を直撃しています。
関東ではまだ大雪が降っていませんが、予断は許せません。
3月が終わるまでは大雪の備えをしましょう。
漢方薬
日常診療の中で、診察の後に内服薬を出すことが多々あります。
西洋医学でも東洋医学でも診察はとても重要な項目です。
よく言われていることは、西洋医学は病気を診る、東洋医学は人を診るということ。
診察方法として、
西洋医学では、視診(シシン)、聴診(チョウシン)、打診(ダシン)、触診(ショクシン)
東洋医学では、望診(ボウシン)・問診(モンシン)・聞診(ブンシン)・切診(セッシン)
基本的な内容は変わらないと思いますが、具体的な診察方法が少し異なると考えます。
中国、韓国ドラマでよくみられる、脈を診る診察は東洋医学の特徴的な診察法かなと思います。
漢方薬の特徴はというと・・・。
漢方薬局のほとんどに大きな薬棚があり、様々な生薬が準備されています。
診察内容に沿って、「気(キ)・血(ケツ)・水(スイ)」や「寒(カン)・熱(ネツ)」を判断します。
気血水、寒熱の過不足や停滞を見定めることで、その人の病気の特徴を診断します。
その特徴にあった処方が、組み合わせで決まるのです。
つまり、漢方薬の内訳は、それぞれの生薬の組み合わせの結果です。
東洋医学の専門的な勉強をしていない僕は、そこまでの診察、処方はできません。
それでも漢方薬の効果や特徴を理解して、調合済みの漢方薬を処方することは出来ます。
ツムラ、クラシエ、コタローに代表される漢方専門の製薬会社の処方が、それです。
例えば、ツムラの六君子湯を挙げてみると、
7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス4.0gを含有する。
蒼朮 ソウジュツ 4.0g
人参 ニンジン 4.0g
半夏 ハンゲ 4.0g
茯苓 ブクリョウ 4.0g
大棗 タイソウ 2.0g
陳皮 チンピ 2.0g
甘草 カンゾウ 1.0g
生姜 ショウキョウ 0.5g
ステアリン酸マグネシウム、乳糖水和物、ショ糖脂肪酸エステル
体力が中程度以下の「虚証(きょしょう)」の人の胃腸薬として処方されます。
胃腸の働きをよくする「四君子湯(シクンシトウ)」に、胃の中の「水(すい)」の停滞を改善する「二陳湯(にちんとう)」を加え、消化器系の機能を高める処方になっています。
他に、クラシエやコタローも六君子湯がありますが、使われてる生薬の内容や量に若干の違いがあります。
クラシエだとニンジン・ビャクジュツ・ブクリョウ・ハンゲ2.0g、チンピ・タイソウ1.0g、カンゾウ0.5g、ショウキョウ0.25g
添加物として、ヒドロキシプロピルセルロース、乳糖
コタローだとニンジン、ビャクジュツ、ブクリョウ、ハンゲ 4.0g、チンピ、タイソウ 2.0g、カンゾウ 1.0g、ショウキョウ 0.5g
添加物としてステアリン酸マグネシウム、トウモロコシデンプン、乳糖水和物、プルラン、メタケイ酸アルミン酸、マグネシウム
白朮(ビャクジュツ)と蒼朮(ソウジュツ)が大きな違いでしょう。
そして、添加物でしょうか。
白朮は体の湿気を取り除き、過剰な発汗を抑えて抵抗力を強化する→胃脾が弱っている虚証
蒼朮体から水分を排泄させ、発汗を促して抵抗力を強化する→水分過多の実証
漢方は製薬会社によって若干ですが内容が変わるのを知っておいてください。
この記事を書いた人
東 瑞智
医師
北里大学医学部を卒業。北里大学病院消化器内科学講師として、消化器がんの内視鏡診断・治療、抗がん剤治療だけでなく、難治性逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群などの消化器良性疾患の治療に従事。2020年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。北里大学医学部消化器内科学非常勤講師。