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Tummy Consultation Outpatient
胃や腸などのお腹の不調の原因の多くは、ストレスや疲れなどの精神的なことや暴飲暴食などの日々の生活の乱れなどから起こっていることが良く分かります。症状がある方の内視鏡検査をしてみると、胃痛の原因は胃が荒れていたり胃潰瘍ができたりしていることはあまりなく、また下痢や下腹の痛みなども大腸に炎症が起こっていたりすることもあまりありません。
ストレスや睡眠不足、食生活の乱れから引き起こされていることが大部分であることが分かります。
ストレスや睡眠不足、食生活の乱れから
引き起こされていることが大部分であることが分かります。
一度でも内視鏡検査を受けられて、我々医師が患者さんの胃や大腸の粘膜の状態をきちんと把握すると、その方の胃腸の不調の原因が何であるかがきちんと分かりますし、その後の生活習慣の改善方法を提案することができます。
何より原因が分かることにより日々の不安からみなさまが解放されることが一番だと思われます。
原因が分からず日々不安な気持ちで過ごし、病院で処方された薬や市販薬をなんとなく服用し続けるのではなく、原因がはっきりしたならば、生活習慣の改善を優先し、不調なときだけ適切なお薬を最小限・短期間だけ服用し、ダラダラと不要な薬を服用し続けないのが正しいお薬の飲み方です。
ほとんどの場合、日常生活の少しの改善の継続で薬を服用せずに済むこともできますし、改善の具合によっては生活習慣病の薬の量を減らすこともできる可能性も出てきます。
生活習慣を何も変えずに、薬だけ服用し続けることで血圧やコレステロール値が安定したり、逆流性食道炎の症状が治まっていたりすることは、決して良い習慣とは言えません。
日々の診療の中でよく質問される項目を下記にまとめましたので、当てはまることがございましたら、消化器内科を受診してください。
「薬だけをダラダラ飲み続ける現在の古い医療体質をみんなで変えていきたい」「今後、確実に増え続ける日本の医療費を減らしていきたい、減らさないといけない」と強く心に思っています。
腹痛があります、どうしたら良いでしょうか?
診察、問診を行えば、腹痛や背中の痛みの原因の絞り込みがかなりでき、どのような検査をしていけば良いかの判断もできます。
消化器内科がおなかの専門ですので、消化器内科を受診しましょう。
いままでに経験したことがないような激しい腹痛は重症の病気の可能性があります。
救急外来の受診も考えましょう。
嘔吐と下痢の症状が出てきて、辛いのでなんとかして欲しいです
嘔吐と下痢の症状であればウィルスや細菌の感染で起こる急性胃腸炎の可能性が高いと思われます。症状の緩和には水分補給が必要ですが、症状のひどい時には口からの水分摂取が難しいと思われます。点滴による脱水改善と胃腸の動きを整えることが症状緩和につながりますので、まずは消化器内科を受診し相談しましょう。
胃痛や下腹部痛が時々あります。何か病気が隠れているのではないかと心配です
胃痛や下腹部痛では、ストレスや疲れなどの神経的なことが最も多く、次いで暴飲暴食などの食生活の乱れから生じてきます。症状の原因が実際に病変から生じているのではない(病気がない)ことを確かめることが非常に重要となりますし、病気がないことが分かれば精神的にも安心して症状が改善する方も多く目にします。まずは消化器内科を受診して相談しましょう。
ハイビジョン内視鏡
胃痛があり受診されました。胃内視鏡検査にて「進行胃がん」を認めました。
ハイビジョン内視鏡
胃痛があり受診されました。胃内視鏡検査にて「胃潰瘍」を認めました。 もう数日から数週間、放置していれば吐血して緊急搬送されるところでした。
ハイビジョン内視鏡
腹痛と下痢があり、受診されました。 大腸内視鏡検査にて、「潰瘍性大腸炎」を認めました。今後は長期的な内服治療が必要になります。
普段からお酒が好きで、お付き合いでお酒を飲む機会も多くあります。芸能人や歌舞伎役者の方などで食道がんのため亡くなったという報道も時々耳にしますが、お酒と食道がんはやっぱり関係がありますか?
食道がんと飲酒・喫煙はかなり密接な関係があることが国立がん研究センターの発表データなどで科学的に証明されています。お酒を毎日3合以上飲まれる方は、全く飲まない方に比べて60倍以上も食道がんになるリスクが高くなるとも言われています。お酒を飲んで顔が赤くなる「フラッシャー」と呼ばれる体質の方は食道がんになるリスクが高くなるということが分かっておりますので、特に注意が必要です。お酒が好きな方、禁煙ができず喫煙を続けている方などは特に注意して40歳以上になったら定期的に胃カメラを受けられることをお勧めいたします。検査間隔や検査の際に注意して診ておくポイントがいくつかありますので、消化器内科を受診して相談しましょう。
胸焼けやゲップが出ることが多く、逆流性食道炎の診断で内服薬を継続して服用しています。このまま薬を服用し続けないといけませんか?薬を飲むことは面倒ですし、通院する時間もあまりないためなるべく薬を服用したくありません。
胸焼けやゲップの症状は確かに逆流性食道炎の症状ですが、これも大部分が 生活習慣の乱れから生じています。逆に言いますと生活習慣の改善で内服薬を服用しないで済ますことが可能です。まずは消化器内科でご相談ください。
最近、胃もたれや胃痛が多くやガスが貯まりやすくなっています。何か胃腸に異常があるのでしょうか?
胃もたれの多くは胃の動きが悪くなって起こる機能異常のことが多く、胃痛の大部分はストレスや暴飲暴食などから起こる胃の痙攣のことが多いと長年の臨床経験より実感しております。また、ピロリ菌が現在いる、または過去にいた胃の粘膜は萎縮している(薄くなっている)ことが多く、胃酸の出が悪く消化が悪いことが分かっています。不消化な状態が続くと胃もたれの症状が出ることが多くなりますが、そのために胃薬を常用する必要はなく、症状が酷いときだけ内服薬を頓服するのが胃薬の適切な服用の仕方だと思われます。特に、胃酸が出にくい萎縮のある胃にガスターなどの胃酸を抑える薬を処方されている方を多く目にしますが、内服することによりさらに消化が悪くなり、不消化な状態のままですと、腸にガスがたまるようになり、お腹の張りを感じるようになる方も少なくありません。胃カメラで胃の状態を一度、確認しておけば、その方に合った胃薬が分かりますので、適切な薬を手元に持っておいて、症状の悪い時だけ服用するのが正しい胃薬の服用の仕方です。そうすれば、その都度医療機関を受診しないで済み、無駄な時間もお金もかかりません
会社の検診で、ネットに「楽だ」と書いてあった「経鼻内視鏡検査」を選択して胃の検査を受けていますが、結構つらくて苦しいのと、検査までの前準備がかなり大変なのですが、画質の精度的にも口からの内視鏡と比べて大丈夫かなという不安もあります。
「経鼻内視鏡検査」はカメラの太さを細くすることにより鼻から挿入することができ、舌の根本を通らないため「オエッ」となる喉の反射が比較的少ないという宣伝文句で広く普及してきたという経緯があります。実のところは鎮静剤を使用しないため、検査中は鼻の痛みやお腹の膨張感などを常に感じてしまい、結構辛くて苦しい検査であるということが実際に検査を受けてみた方は分かると思います。昔の鎮静剤を使用しない口からの内視鏡に比べると少しは「楽」というのが正直なところです。
一番の問題は、狭い鼻の穴から入れるためにカメラの太さを細くすることにより犠牲となったレンズの小ささや胃の中を照らす光源が小さくなることによる画質の悪さや明るさの低下です。胃カメラで一番大切なことは、食道や胃の中を高画質で詳細に観察して、食道がんや胃がんを早期発見し、早期治療につなげることです。そのためには、高画質で100倍拡大機能付きのハイビジョン内視鏡での精密検査をお勧めしております。
意外と知られていないのが、「経鼻内視鏡検査」の検査までの前準備がかなり大変なことです。鼻の穴の中に表面麻酔ゼリー付きの管を長時間入れておかないといけないのは結構辛くて、苦しいことです。
鎮静剤を使用する胃カメラと鎮静剤を使用しない胃カメラでは何が違うのですか?
鎮静剤を使用しない代表的な検査方法として「経鼻内視鏡検査」が挙げられます。鎮静剤を使用しないと「オエッ」となるような喉の反射があり、苦しく、辛い検査となることが少なくありません。鎮静剤を使用し軽くウトウトしながらの検査ですと喉の反射もなく、楽に検査が受けられるだけでなく、検査する側も胃の中に空気を十分に入れることができ、きちんと胃のヒダとヒダの間を観察することができ、十分に観察できないストレスを感じません。胃カメラで最も大事なことは胃の中に十分な空気を入れて、ヒダとヒダの間まできちんと隅々まで観察し、胃がんや食道がんを早期の段階できちんと見つけ、早期治療につなげるということです。そのためには軽い鎮静剤を使って、苦しさと痛みに配慮した状態で検査を受けていただき、十分にきちんと観察できるのが最も良いかと考えられますが、鎮静剤使用にはかなりの熟練が必要であり、かつ検査後に1時間ほどお休みするリカバリールームが必須となりますので、お部屋をきちんと確保できるかどうかという問題と鎮静剤をきちんと使用できる十分な技術があるかの問題もでてきます。鎮静剤をきちんと扱えるだけの経験を十分に積んでおらず、そしてリカバリールームを確保するスペースがクリニックにないがために鎮静剤を使用できず、やむなく「経鼻内視鏡検査」を導入する施設が多くなっているのが現状です。
人間ドックの胃カメラがとても辛くて苦しいのですが、これが普通なのだと思い我慢していますが、もっと楽に受ける事はできないのですか?
会社の検診や人間ドックなどの胃カメラは大人数を短時間でさばかないといけないため、どうしても流れ作業的な検査となってしまうことはある意味仕方のないことだと思われます。一人一人をきちんと認識して、「過去の胃カメラ所見と比較してどう変化したか?」や「胃痛の原因や胃もたれの原因が何なのか?」「ピロリ菌はいるのか、いないのか?」などを考えながら検査するという感覚・時間・気遣いなどがないのが正直なところです。人間ドックや検診の胃カメラ検査は多くが、アルバイトの医師の一時的なマンパワーで成り立っていることが多く、胃カメラをやる側の医師もどうしてもバイト感覚になってしまうことは仕方のないことだとも言えます。私も過去に何度も検診の胃カメラのアルバイトをした経験がありますが、多くの受診者を流れ作業的にさばかないといけないため、胃カメラ1件あたりの制限時間が指示されます。おおよそ、1件あたり2,3分です。「大きな病変がなければそれで良いから、とにかく人数をさばくように」と言われたこともあります。確かに1件あたり2,3分の検査時間では細かい微細な病変まで見ている時間はないのが実際のところです。それ以来、検診の胃カメラバイトに嫌気がさして、決して依頼があっても行かなくなりました。
きちんと丁寧に検査できない上に、一人一人に苦しさと痛みに配慮したように工夫することさえなく、工夫する時間さえ与えられないため、「オエッ、オエッ」となりながらの苦しくて、辛い検査となってしまっては何の意味があるのかとさえ思ってしまいます。
「苦しさと痛みに配慮した内視鏡検査」であれば、十分な検査時間のもとハイビジョン内視鏡できちんと詳細に観察することができますし、軽い鎮静剤の使用で「オエッ、オエッ」となるような苦しい検査になることは決してありません。一人一人の過去の内視鏡所見と比較したり、胃の不調の原因をきちんと考えながらの検査を行うことが可能となります。
ハイビジョン内視鏡
すべて同じ人にできた早期胃がんです。周囲より少し盛り上がっていることがわかります。 色調は正常粘膜と変わりません。
ハイビジョン内視鏡
周囲よりやや黄色みがかった病変です。平坦で見逃されやすい病変です。
ハイビジョン内視鏡
周囲より少しへこんだ病変です。こちらもよく見ないと見逃されてしまいます。
写真は1回の内視鏡検査で発見した3個の胃がんです。
時間をかけてじっくり観察しないと見逃してしまう病変ばかりです。
「苦しさと痛みに配慮した内視鏡検査」で使用しているハイビジョン内視鏡であれば、きちんと丁寧に時間をかけて検査を行いますので、このようなわずかな隆起や凹み、色調変化のみの早期胃がんも認識可能となります。
テレビの健康番組などで「ピロリ菌」という言葉を耳にすることが多くなってきましたが、私はピロリ菌に感染しているのかどうかを調べることはできますか?
ピロリ菌は胃カメラをすれば、長年の熟練した観察眼があれば95%程度は胃粘膜を診ただけで「いるか、いないか」の判別ができます。残りの5%程度は内視鏡的には「いない」と思われるが、実は「いた」やその逆もあります。しかしながら、胃カメラの数を多く経験している内視鏡医であれば、胃カメラでの胃粘膜の状態でほぼ「いるか、いないか」の判別は可能です。
ピロリ菌が胃がんの原因の多くを占めるため、「感染しているか、していないか」を知ることは非常に大切なことですが、ピロリ菌にだけ固執して、肝心の胃がんが「あるのか、ないか」を調べることの方が大切だということを忘れている方を多く目にします。胃カメラの一番の目的は胃がんを早期段階で発見するということであり、胃粘膜の状態をきちんと確認するということです。
ピロリ菌感染の有無で大きく胃がんになるリスクは変わってきますので、ピロリ菌感染の有無を知ることは勿論大切なこととなりますが、きちんと胃カメラを行い、胃がんが「あるか、ないか」の確認をした上でのピロリ菌感染の有無だと考えております。ピロリ菌感染がなくても、勿論胃がんは発生しますので注意が必要です。
参考サイト
最近、時々排便時に血便があるので、大腸がん?大腸ポリープ?痔?と心配です、一度きちんと相談したいのですが。。。。
排便時の出血は頻度的には、日本人に多いイボ痔(内痔核)が切れることにより出血することが多いですが、かなり進行した大腸がんや特殊な腸炎である潰瘍性大腸炎などの病気が隠れていることもあります。一度、大腸内視鏡検査などできちんと腸の状態や痔がないかどうか調べることを是非お勧めいたします。まずは、消化器内科や肛門科を受診しましょう。
大腸がん検診と表記があるので、それを信じて大腸に関しては便潜血検査だけを行っていますが、先日私と同様にこの検査だけを受けていた友人が大腸がんで亡くなったので、この検査だけで本当に大丈夫か不安に思っています
便潜血検査は便の中に血が混じっていないかどうかを調べるための検査であり、直接大腸がんを調べている訳ではありません。便潜血検査を大腸がん検診と表記をしていることにより「自分はきちんと大腸がん検診を行っている」という大きな誤解を生じてしまうことが多くなっていることが大変大きな問題といえます。粘膜表面の崩れのほぼない「大腸ポリープ」や「早期大腸がん」では便潜血検査が陽性になることはほとんどないとされており、進行大腸がんの状態でもがん表面の粘膜の崩れが少なければ出血することはなく、便潜血検査は陽性とはなりません。大腸がんは死因の男性が第3位、女性が第1位となっているほど症状が出にくく亡くなってしまう人が増えており、罹る人の増加も著しい大腸がんですので、40歳を過ぎたら精度の低い便潜血検査ではなく、一度は大腸内視鏡検査を受けられることを強くお勧め致します。便潜血検査のみしかしていなく、血便などの症状が出て初めて内視鏡検査を行い、進行大腸がんで発見されて命を落とされた方を数多く見てきました。進行大腸がんで発見されたご本人もご家族の方も「毎年きちんと便潜血検査を受けていたのに。。。。なぜ?」というお声も多く聞きました。便潜血検査しかしたことのない方は、一度消化器内科を受診してください。
ほかの病院で一度内視鏡検査をしたのですが、大腸ポリープを取ってくれませんでした。ポリープ切除のためにもう一度、内視鏡検査をするのは二度手間になります。また、大腸ポリープ切除には入院しないといけない施設もあると聞きました。仕事も家庭も忙しく、金銭的な面でもできれば入院したくありません。。。。
当院では患者さんの肉体的・精神的・金銭的負担を軽減するために、入院治療が必要と判断した病変以外のほとんどの大腸ポリープや早期大腸がんに対しては1回の内視鏡検査での日帰り内視鏡手術を基本としております。他院で入院ではないと切除できないと言われた大腸ポリープや早期大腸がんに対しても積極的に日帰り内視鏡手術を行っておりますので一度ご相談ください。本当に入院が必要なのか、実は病院都合での入院切除だけなのかの判断も内視鏡写真や実際の内視鏡検査で判断することも可能となっておりますので、まずはご相談していただければと思います。
子宮がん検診のついでで便利なので、婦人科で乳がんの乳腺検査を受けていますが、このまま婦人科で受けてても問題ないですか?
乳腺の専門のドクターは乳腺外科専門医です。市町村の検診の一環としてマンモグラフィーなどの乳腺検査を婦人科で行っている施設がありますが、出来れば乳腺外科専門医のいる乳腺クリニックなどで乳腺チェックを受けることをお勧めいたします。婦人科のドクターはあくまで、婦人科専門医であり乳腺専門医ではありませんので、注意してください。
マンモグラフィーは乳がんの中でも白く描写されやすい硬いがんを検出することが得意ですが、乳腺密度の高い比較的若い世代では密な乳腺組織にがんが隠れてしまい、乳がんが描出されにくいことが弱点として指摘されています。必ずその弱点を補うために乳腺エコーも併用するように気をつけてください。
嘔吐や下痢などの胃腸炎にかかることが年に数回あり、胃腸に何か問題があるのではと心配しています。風邪にも罹りやすいので、何か体に問題があるのでしょうか?
胃腸炎や風邪の大部分の原因は口からのウィルスや細菌の感染です。胃腸に何か問題があるというよりは、疲れやストレス、睡眠不足などからの免疫力の低下でウィルスや細菌の侵入を許してしまうということが最も考えられます。感染しないために免疫力を高める対策をすることが一番です。
そのためには、
①がんや病気の元なる活性酸素を消してくれる高濃度ビタミンC点滴を定期的に受けたり、日々ビタミンCのサプリメントを摂取する
②免疫力を上げるビタミンDのサプリメントを摂取する
③抵抗力をアップしてくれる自分に合った漢方薬を服用する
などがとても大事になってきます。
色々な対策がありますので、外来でその人の体質や体格などに合わせた方法をご提案できたらと思いますので、まずはご相談ください。
参考サイト
最近のテレビの報道で、大腸がん・乳がん・前立腺がんが急速に増えているとよく耳にしますが、どうしてそんなに増えているのですか?何か対策はありますか?
以前は日本には少なかった大腸がん・乳がん・前立腺がんですが、最近報道にもある通り急激に増加の一途をたどっています。10〜20年前のアメリカでの増加の後追いをしているかのようです。そこに増加している原因の鍵が隠されています。やはり食習慣の欧米化による加工肉や乳製品の摂取による動物性脂肪摂取の増加、糖質の過剰摂取による内臓脂肪が増えることでの肥満などが大きく関与していると推察されます。太らないように糖質摂取をなるべく控える、動物脂肪摂取を抑えるために乳製品や加工肉などの摂取を控えるなど、普段の生活において少し意識するようにするだけでこれらのがんに罹るリスクを大きく下げることも可能と思われます。さらに、大腸内視鏡検査や乳腺検査、前立腺がんの腫瘍マーカー検査などを定期的に行う事により、早期発見・早期治療につながります。
胃がんの検査として胃バリウム検査だけを取りあえず会社の検診で受けていますが、本当にこれで良いのか知りたいです。
胃バリウム検査はバリウムを服用し、放射能を照射して胃の凹凸のみで判断して食道がんや胃がんを見つける検査です。いわゆる「影絵」の原理なのです。早期段階の胃がんでは凹凸になることは少なく、「影絵」の原理である胃バリウム検査での発見は困難と言われています。胃がんがかなり進行して凹凸がはっきりしてくると、ようやく胃バリウム検査でも分かるのです。ましてや、一瞬でバリウムが通過する食道では、色調の変化だけの早期食道がんを見つけることはまずできないとされています。早期発見・早期治療のためには直接胃や食道の粘膜を観察することができる胃カメラを定期的に受けられることをお勧めします。胃バリウム検査で一番の問題と言われているのが病変発見のための精度の低さと「被ばく」するということです。中でも被ばくは体全体の発がんにつながりますので、特に注意が必要です。
取りあえず会社の検診や人間ドックを受けていますが、これで「がん」の早期発見は完璧でしょうか?
会社の検診や人間ドックで行われている検査の多くは生活習慣病がないかどうかを見つけるための検査であり、がんを早期で見つけるための精密検査ではない側面があります。多くの集団の中から生活習慣病やがん(多くはかなり進んでしまっている状態のがんで見つかることが多いですが)の疑いのある可能性の人を拾い上げていくのが本来の検診の目的です。ごく早期のがんを見つける目的の精密検査という面では会社の検診や人間ドックの90%程度は意味がないと言い切ることもできます。肺がんを見つけるための胸部レントゲン写真なども2cm程度の大きさに肺がんが成長しないとなかなか見つけ出すことが困難であるとも言われています。膵臓がんにしても、検診などでは腹部エコー検査が行われていますが、腹部エコーは実際に検査を行う
医師や技師の技量差がかなり大きく関わってきますし、膵臓の大部分は消化管のガスにより描出できないというのが事実としてあります。検診の結果表の腹部エコー欄の所に「膵臓:一部描出不良」と書かれているのをよく見かけると思いますが、まさにこれが先に述べたことです。体のあらゆる臓器のがんを早期発見するにはその各臓器の特性に合わせた適切な検査をそれぞれオーダーメイドで行っていくしかありません。
テレビの健康番組やネットの情報などでがんの事が気になり何か検査を受けてみようかと考えて、ネットなどで色々検索していましたら、PET(ペット)という検査がでてきました。かなり高額な検査ですが、がん検査として高額なお金をかける価値はありますか?
PET検査はブドウ糖に放射性物質を組み込んだFDGと呼ばれる物質を体内に注射します。がんがブドウ糖を多く消費するという原理を利用して、ブドウ糖を含んだ放射性物質がどのくらいがん細胞に取り込まれるかを数値化して、画像として表現するという検査です。元々、PET検査はCTやMRIなどの画像検査でさえなかなか捉えにくい「がんの再発」や「リンパ節・腹膜転移」を検索するための検査であり、早期のがんを見つけるがん検診のための検査ではありません。特に、食道・胃・大腸などの消化管や肺や肝臓などには早期段階ではブドウ糖が集まらないためPET検査は全く役立たないと言われています。腎臓や膀胱などの泌尿器系のがんも見つけにくいとされています。また、放射性物質を体内に注射するため「被ばく」という問題も出てきます。最近ではPETとCTを組み合わせて画像を比較しながら「がん」があるかないかを診るPET/CTという検査が主流になってきており、PET検査の欠点をCT検査で補うようになってきておりますが、胃や大腸、食道などの消化管のがんは初期段階では粘膜の微細な色調の変化のみであるためCTやPETでは認識できませんので注意が必要です。
会社の人間ドックで「直腸診」というお尻を出して、肛門に指を入れられる検査が自動で付いてきており、毎年非常に恥ずかしい思いをしながらも仕方なく受けていますが、やるべき検査なのでしょうか?
正直受ける意味は無い検査です(笑)。よーく考えてみても、人差し指の長さわずか5cm程度の範囲を指の感触だけで調べる検査なので、もういい加減無くなるべき昔の検査です。大腸内視鏡検査が普及していない時代の取りあえず肛門の近くだけでも調べておこうという古い古い昔の検査です。流れ作業的な検診で思考停止になっている人が受ける検査ですので、受けるのは即刻止めて、定期的に大腸内視鏡検査をきちんと受けるほうが賢明だと思います。
国立がん研究センターのホームページにも「大腸がん検診としての実施は勧められません」との記載があります。
人間ドックや会社の検診の採血でCEA、P-53、CA-19-9、CA-125などの腫瘍マーカー検査で異常値がでて、要精査と言われました。私は「がん」なのでしょうか?
腫瘍マーカーは基本的には「がん」を早期で見つけるための検査ではありません。検診や人間ドックなどでわざわざ高額な追加料金を払って追加検査している方を多く目にしますが、「がん」がかなり進行しても各種腫瘍マーカーは基準値内であることが多く、早期の段階で異常値になることはまずありません。万が一、このような事実を知らずに腫瘍マーカー採血を行ってしまって異常値が出た場合には、消化器内科を受診しましょう。
会社の人間ドックの採血でペプシノゲンという項目がありますが、胃がんを調べるための採血検査ですか?
ペプシノゲンとは胃酸の一種であり、大部分が胃の中に出ますが、1%程が血液中に出るため、この血液中に出たペプシノゲンを調べるのがペプシノゲン採血検査です。ピロリ菌感染などで、胃の粘膜が萎縮してくる(薄くなってくる)と胃酸の出が悪くなります。胃酸の出が悪くなるということは、胃酸の一種であるペプシノゲンの出も悪くなります。ペプシノゲン検査が陽性となるということは胃粘膜が萎縮している(薄くなっている)可能性があるということで、萎縮している胃の粘膜には胃がんができやすいという事柄を利用して、「胃がんができているかもしれない」というあくまで遠くからの推測にすぎませんし、決して胃がんの検査ではありません。あくまで胃粘膜が萎縮している可能性があるかもしれないことを推測するための採血項目です。ペプシノゲン検査を「胃がん検診」などと謳っている検診機関もありますので、注意が必要です。直接胃がんを調べているのではないことに注意してください。
検診の腹部エコー検査で胆のうポリープを指摘されましたが、検診結果表には「経過観察」としか書かれていないので、不安で悩んでいます。
胆のうポリープはコレステロールポリープであることが多く、がん化することは少ないとされています。胆のうポリープの大きさや形状が、がん化しているか否かの鍵を握ります。ある程度の大きさになってきたら、腹部エコーや腹部MRI(MRCP)などで精密検査を行っていきます。少しでも不安を感じている方は消化器内科を受診しましょう。
膵臓がんは早期発見が難しいと言われていますが、早期発見するにどうすれば良いか知りたいです。
膵臓がんは膵臓の頭側にある総胆管と呼ばれる肝臓からつながる管に膵臓がんが食い込んだ時に生じる黄疸(体が黄色くなること)が出て初めて病院を受診することが多いため、発見がかなり遅れるがんの代表となっております。がん全体に言えることは「がん自体に神経がないため、がん自体での痛み等の症状は初期の段階ではまず出ない」ということです。膵臓がんにおいても痛み等の症状は初期の段階で出ることはまずありませんし、膵臓は背中側にある臓器であるため検診などで行われている腹部エコーなどでも早期段階での膵臓がんの発見はかなり困難と言われています。膵臓がんの腫瘍マーカーであるCA-19−9という採血項目でも早期段階では異常値を示すことはまずなく、膵臓がんの早期発見に役立つ唯一の方法は腹部MRIの特殊な撮影方法であるMRCPという検査です。
MRCPとは膵臓がんの大部分が発生すると言われる膵管(膵臓の中の膵液が通る管)と肝臓と胆のうからつながる胆管(肝臓から十二指腸につながる胆汁が通る管)を詳細に映し出す検査ですので、膵臓がんを比較的早期に見つけることが可能と言われています。MRCPを行える医療機関を受診しましょう。