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Disease
胃内視鏡検査で観察している臓器は胃だけではないのを知っていますか?
胃はもちろんのこと、上部消化管と呼ばれる食道、十二指腸だけではなく、近年は耳鼻咽喉科の専門領域である咽頭(のど)も観察することが標準化してきています。
当院ではすべての胃内視鏡検査を受ける患者様に、咽頭、食道、胃、十二指腸を観察致しますのでご安心ください。
このページでは、食道・咽頭、胃、十二指腸に分けて、それぞれの臓器に代表される疾患について説明しています。
口から挿入するとまず、舌が左側に見えてきます。
舌の先には口蓋垂という、通称「のどちんこ」と呼ばれる部位が見えてきます。
口蓋垂の先は咽頭と呼ばれる領域に入ってきます。
喉頭蓋を過ぎると声帯の先に続く気管支と食道の境目の部位に到達します。
梨状窩という食道の入り口から入った上部食道です。
気管支の走行が確認できる中部食道に入ってきます。
食道から胃の中に入っていく下部食道です。
内視鏡抜去時の帰り道では、光源をNBI(狭帯域光観察)に切り換えて詳細に観察していきます。
内視鏡を口の方に抜去しながら、中部食道をNBIで観察していきます。
上部食道まで戻ってきました。
声帯のある喉頭部のNBI観察です。
喉頭蓋が下部に見える咽頭部のNBI観察です。
口蓋垂のNBI観察になります。
左側に舌が見えるところまでNBIで観察していき、内視鏡を口から抜去して観察終了となります。
食道は口から入った食べ物が最初に通過する消化管です。 食道がんは早期の段階では症状が出ることはほとんどありません。進行がんとなり食道内の管腔を塞ぐくらいまでになってはじめて、「胸が詰まった感じがする」といった症状が出てきます。 早期の段階で食道がんが発見できなかったときは、外科的手術になります。さらに食道には胃や大腸に存在している「漿膜(しょうまく)」という一番外側の膜が存在しませんので、他の臓器のがんと比べて早い段階からリンパ節などの他臓器に転移しやすいという特徴があります。 食道の外科的手術は、他の臓器と比べて難度の高い大手術となり身体の負担も大きくなります。 そのため、食道は内視鏡検査でがんを早期発見することがとても重要です。
ハイビジョン内視鏡
食道がんの症例です。 早期の食道がんは内視鏡で治療できますので、定期的な内視鏡検査が重要です
NBIハイビジョン内視鏡
NBI(狭帯域光観察)の写真です。 正常粘膜と腫瘍の粘膜の差が、色調としてはっきりしてきます。
ルゴール特殊染色
ヨード(ルゴール)染色を行いますと、腫瘍部位の粘膜が染色されずに残っています。
胃から分泌される胃酸が、食道に逆流することで起きる食道の炎症です。
前胸部が熱く焼けるように感じる「胸やけ」という症状が典型的ですが、その他にも「胃のあたりの痛み」や「もたれ感」など、さまざまな症状で現れます。また1つの症状だけでなく、これらの症状が合わさっていたり、日によって現れる症状が変わったりもします。
「胃が悪いのでは」と思っている方は、実は胃炎が原因ではなく逆流性食道炎である場合が多いのです。
また女性に多く見られますが、「のどの違和感」として症状が現れることもあります。「長いことのどの不快感が取れない」、「いつものどが詰まった感じがする」などの症状が思い当たる方はいませんか。
逆流性食道炎自体は決して生命予後が悪い疾患ではありませんが、症状がつらく感じ、ひどくなると日常生活に支障が出たり、夜間眠れなかったりすることもあります。
原因の多くは、肥満や加齢によって食道と胃のつなぎ目の筋肉が緩むことによって胃が食道の方向に飛び出てしまう「食道裂孔ヘルニア」や、食道・胃の動きが悪くなっている(蠕動運動の低下)ことです。
中でも一番の原因は肥満などのメタボリック症候群によって引き起こされる食道と胃のつなぎ目の筋肉の緩みと考えられていますので、逆流性食道炎を改善するためには食生活による体重コントロール・体質改善になります。
また最近では食道への胃酸の逆流が持続すると炎症が長期にわたって続き、食道腺がんを引き起こすことが少しずつですが増加しています。食道腺がんも現代の食生活が関連しているといわれています。
逆流性食道炎は胃酸を抑える薬を飲み続けるのではなく、食生活と体質を改善することによって予防する疾患です。今すぐからでも食生活と体質改善を試みていきましょう。
食道や咽頭(のど)に時々みられる良性の腫瘍です。白色の小隆起として観察されます。胃酸の逆流による慢性刺激が原因ではないかと言われています。
C型肝炎などが原因で肝硬変という状態に肝臓が至ってしまうと、肝臓へ血液が流れにくくなります。
行き場を失った血液は逃げ道を探すために食道や胃の静脈へと流れ込んでくるようになります。このようにして形成された食道の静脈の異常な膨らみが食道静脈瘤です。静脈瘤は肝硬変が悪化するにしたがって膨らみが次第に大きくなり、しまいには破裂してしまう可能性があります。
静脈瘤がとても大きくなった時は「胸のつかえ感」などが現れることがありますが、基本的には無症状です。しかし、もし破裂をきたした場合には吐血・下血のような激しい症状を認め、生命の危険にさらされることも少なくありません。
破裂の可能性のある静脈瘤は、あらかじめ内視鏡で治療をしておかなければなりません。最近は、内視鏡の先端にゴムのついた特殊な装置を装着し、静脈瘤を縛っていく治療が中心になっています。
このような生命にかかわる破裂を防ぐためには、何よりもまず内視鏡検査にて静脈瘤の有無を確かめていただくことです。そしてもしも静脈瘤を認めた場合には、悪化していくことがないか注意深く観察していくことです。
食道がんは食道表面の粘膜から発生しますが、それ以外の(粘膜よりも深い)層からできる腫瘍を粘膜下腫瘍といいます。
基本的には平滑筋腫や血管腫といった良性腫瘍がほとんどで、経過観察でよいことが多いです。
しかし、腫瘍が大きい場合・短期間で腫瘍が大きくなる場合・悪性リンパ腫やGISTといわれる悪性腫瘍が疑われる場合には、精密検査の上外科的手術が必要なこともあります。
内視鏡検査にて腫瘍の大きさや形態を観察して、経過をフォローしていくことが大切です。
内服薬を包装(シート)ごと誤って飲み込んでしまったり、消化に悪い嚙みきれない食べ物を丸呑みしてしまったりしたときに、食道に詰まってしまうことがあります。 薬の包装のように角が鋭いものが食道を傷つけると、食道に穴が開いてしまう可能性がありますので、早急にかつ丁寧に除去する必要があります。
食道から胃の中に入ってまずは胃カメラを反転操作することにより胃の入り口である胃噴門部を観察していきます。
胃の真ん中である胃体部大弯側の内視鏡画像です。
胃の中に空気を入れる事により胃を十分に膨らませていき、ヒダとヒダの間をきちんと広げることにより見逃しのない観察を
行っていきます。
胃カメラの反転操作による胃体部小弯側の内視鏡画像です。
胃がんができやすい胃角部小弯側の内視鏡画像です。
最後に胃の出口である胃幽門部を詳細に観察していきます。
早期胃がんは、「がん」が胃粘膜の表面近くにとどまっている状態のがんのことです。
この段階で胃がんが発見することができれば、内視鏡手術にて完治する可能性があります。
ただし、食道や大腸など他の消化管臓器と同じように、がんが進行しないと基本的には症状は現れません。
よって症状の出ない早い時期から、まずは一度胃カメラを受けて胃がんの有無を確かめてみることが大切です。
同時に胃の萎縮(老化)を観察して、将来の胃がんのリスクを調べることも大切です。
最近話題になることが多い「ピロリ菌感染」は、胃がんの最大のリスク因子です。ピロリ菌感染がもともとない人は、胃がんにはなりにくいと言えます。
逆にピロリ菌がいる、もしくはいた人は、胃がんになりやすいと言えます。
胃がんを予防していくためには、下記の2つが大切です。
胃壁の筋層より深くに進行したものを「進行胃がん」といいます。
胃がんは進行するにつれて粘膜の奥深くに浸潤していき、他臓器やリンパ節転移の確率が増大します。この段階になると内視鏡治療の適応はなく、外科的手術や化学療法といった治療が必要となります。
早期胃がんの状態では症状が出てこないため、さらに長い期間放置していると進行胃がんに進展してしまいます。
進行胃がんになっていても「がん」になっている胃壁には神経がないので、痛みなどの症状はなかなか出現しません。食べ物が通らないといった症状がでてきて、ようやく胃カメラを受け発見されることになります。
かつての日本では、胃がんが「がん」死亡原因の第1位となっていましたが、近年ではピロリ菌感染者の減少とピロリ菌除菌治療の普及により胃がんの死亡者数は徐々に減少傾向ではあります。
しかし現在でも5万人の方が「胃がん」で亡くなっており、まだまだ死亡原因の多くを占めています。
実際現在の医療現場でも、年齢が高くなってから初めての胃カメラ、または数十年ぶりに受けた胃カメラでこのような進行胃がんが見つかることも少なくありません。
早期胃がんの項目で述べたような胃がんの予防が大切であり、さらに進行胃がんといった残念な結果にならないためには、まず一度胃カメラを受けることと、その後は医師と相談して定期的に胃カメラを受けていくことが最も重要です。
ときどきテレビなどで、若い女性芸能人が胃がんで亡くなったというニュースが流れることがあります。このような胃がんは、通常型の胃がんではなく「スキルス胃がん」であると思われます。
スキルス胃がんは通常型の胃がんと異なり、細胞がばらばらになって胃の粘膜下に広がっていきます。胃の表面には表れにくく、胃の粘膜下を這うように線維化が進んでいき胃の壁が硬くなってきます。そのため内視鏡では、胃の表面には変化が表れにくいが、空気を入れても胃が膨らまないような状態で観察されます。
スキルス胃がんは、早期に発見することが難しいがんといわれています。また30~50歳の女性に発症しやすく、通常のがんと比較して若い年齢で発症するといわれています。さらに通常のがんよりも進行が早く、腹膜への転移(腹膜播種)も起こしやすいと言われています。
以上のような特徴から、発見されたときにはすでに進行していることが多く、治療が進歩している現在でも死亡率が高い疾患です。
症状が出にくく(無症状なことも多いです)早期発見が難しい疾患ですが、対策としては早い段階から積極的に内視鏡検査を受けていただくこと、ピロリ菌感染を認めた場合には除菌治療を行うことが得策かと考えます。
全悪性リンパ腫の8%程度が胃に発生すると言われております。内視鏡的な分類としては「表層型」「隆起型」「潰瘍型」「決壊型」「巨大皺壁型」の5つに分類されます。
胃悪性リンパ腫では、ピロリ菌感染が認められることが比較的多いといわれています。
発見された悪性リンパ腫がピロリ菌陽性で、進行速度の比較的遅い低悪性度のもので、胃以外の臓器に転移していない初期の段階であれば、ピロリ菌除菌療法が第1選択となります。ピロリ菌の除菌治療が奏功した場合には、腫瘍が退縮し90%以上の長期生存率と言われており、再発率も3%程度です。
胃内視鏡検査時に悪性リンパ腫が発見された場合は、同時に腫瘍の病理組織検査とピロリ菌検査を行い、治療方針を決定してくことが重要になってきます。
病理組織検査とピロリ菌検査の結果によっては、他に外科的手術・化学療法・放射線療法といった治療法があります。
胃の粘膜から発生した、良性の腫瘍を胃腺腫といいます。
すぐにがん化をきたすことは少ないですが、10年単位という長い年月を経て、数10%の確率でがん化するとも言われています。
がんとの鑑別も必要であり、内視鏡検査での詳細な観察や病理組織検査を行い診断していきます。診断後は、定期的に内視鏡検査で観察をして変化がないか確かめていきます。
腫瘍の形態や大きさによってがん化の可能性が考えられた場合には、内視鏡的に切除を行う場合もあります。
ハイビジョン内視鏡
胃腺腫の内視鏡写真です。 腫瘍の大きさから将来のがん化の可能性を考え、内視鏡治療を行っていくようになります。 この段階では症状は出現しませんが、このような早期の段階で腫瘍が発見できれば、内視鏡治療が可能になるのです。
インジゴカルミン特殊染色
胃腺腫のインジゴカルミン染色です。 腫瘍の部位が明瞭になります。
NBIハイビジョン内視鏡
NBI(狭帯域光観察)です。 さらに拡大ズームも用いることで、粘膜の表面構造や毛細血管の様子を観察し、腫瘍を詳細に調べます。
胃の粘膜が傷つき、粘膜や粘膜下の組織が一部なくなってしまっている状態を、胃潰瘍といいます。
潰瘍ができる2大原因は、「ピロリ菌感染」と痛み止め「非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)」と言われています。
ピロリ菌が陽性であったときは、ピロリ菌除菌治療を行うことが重要で、除菌が成功すれば潰瘍の再発を予防することができるようになります。また除菌治療を行うことは将来の胃がん予防にもつながります。
また頭痛や腰痛・関節の痛みのために、痛み止め(非ステロイド系抗炎症薬・NSAIDs)を常用しなければならない方もいるでしょう。この種類の痛み止めは、胃の血流を阻害してしまうため胃粘膜が傷つき、胃炎や胃潰瘍が発生しやすくなります。
胃痛を感じるときに、この痛み止めを飲むことは逆効果であることは覚えておきましょう。
胃潰瘍を認めるが、ピロリ菌陰性の方や痛み止めを常用せざるを得ない場合は、胃酸を抑える薬が必要になることがあります。
型肝炎などが原因で肝硬変という状態に肝臓が至ってしまうと、肝臓へ血液が流れにくくなります。行き場を失った血液は逃げ道を探すために食道や胃の静脈へと流れ込んでくるようになります。
このようにして形成された胃の静脈の異常な膨らみが胃静脈瘤です。静脈瘤は肝硬変が悪化するにしたがって膨らみが次第に大きくなり、しまいには破裂してしまう可能性があります。
破裂をきたした場合には吐血・下血のような激しい症状を認め、生命の危険にさらされることも少なくありません。したがって破裂の可能性がある静脈瘤は、内視鏡治療(内視鏡の先端にゴムのついた特殊な装置を装着し静脈瘤を縛っていく治療)や血管内治療を行うことで破裂を予防します。
食道静脈瘤と同様に、破裂してしまうと生命の危険にさらされる可能性がありますので、静脈瘤の早期発見と早期治療が大切です。
胃の粘膜よりも深い層からできる腫瘍が胃粘膜下腫瘍といいます。
胃粘膜の下から突き出してくるように成長するので、胃の正常粘膜が盛り上がっているように見えます。
小さな胃粘膜下腫瘍は、検査中に時々見かけることがあります。大きさや形状の変化をよく観察しますが、大抵は経過観察で済むことが多いです。
ごくまれに胃粘膜下腫瘍の中でサイズが大きくなり、肝臓やリンパ節に転移する悪性の所見を示す胃GIST(Gastrointestinal Stromal Tumor:消化管間質腫瘍)が発生することがあります。この場合には外科的治療や分子標的治療が行われます。
胃の粘膜の表面に炎症(線状の発赤)を認めるものを表層性胃炎といいます。
ストレスや不安、暴飲暴食などにより胃酸過多の状態で発生することが多いといわれています。
ピロリ菌陽性の人は胃がん発生しやすいと言われますが、最近ではピロリ菌陰性の人(もともと胃酸の分泌が多くなっています)にも発生しやすいともいわれています。
悪い病気ではないのですが、胃の痛みといった日常生活に支障が出る症状がでることがあります。内視鏡検査にて表層性胃炎と診断された場合には、日常の生活習慣や食生活を見直し改善することで、症状も解消されてくることが多いです。
ピロリ菌感染で胃の慢性的な炎症が長い間続くことにより胃の粘膜が薄くなってしまった状態を「萎縮性胃炎」といいます。
ピロリ菌に感染すると年齢とともに胃粘膜が萎縮(老化)していき、炎症が持続することによって胃がんの発生リスクが高まることがわかっています。
ピロリ菌が生息できなくなった状態では検査で「ピロリ菌陰性」と診断されますが、実は胃がんのリスクが最も高い状態であることに注意しなければなりません。
胃がんを予防するためには、まずは胃カメラを受けて、萎縮性胃炎の有無とその程度、それから腸上皮化生の有無をしっかりと調査することが大切です。そして萎縮性胃炎や腸上皮化生が確認されたら、同時にピロリ菌検査を行います。
その後は現時点での胃粘膜の状態やピロリ菌感染に応じて、それぞれの治療・方針を決定していくことが重要になります。
胃の出口付近(前庭部といいます)にみられる、リンパ濾胞とよばれるものが増生している慢性的な炎症を「鳥肌胃炎」といいます。羽をむしったあとの鶏やガチョウの皮膚のようであるために、ついた名前であるといわれています。
若い方のピロリ菌感染と関連がある、と報告されています。また胃がん特にスキルス胃がんとの関連も示されており、鳥肌胃炎は胃がんの高リスクともいわれます。
胃カメラで鳥肌胃炎を認めた場合には、ピロリ菌陽性であれば除菌治療を行います。鳥肌胃炎は胃の痛みといった症状が出やすいですが、除菌治療により鳥肌粘膜が改善され、症状が解消されることもあります。
また定期的な胃カメラを行い、胃がんができないかを見張っていく必要があります。
胃壁の内壁の一部が外側に向かって袋状に飛び出たものです。内視鏡で見ますと、反対に窪んでみえます。症状はありません。胃の入り口である噴門部と胃の出口である幽門前庭部にみられることが多いです。
胃の筋肉の層が薄くて弱く、胃内の圧力がかかりやすい部位にできやすいと言われています。
「サバ虫」といわれることがありますが、アニサキスはサバ・サケ・アジ・イカ・タラなどの魚に寄生する寄生虫です。これらの魚介類の刺身を食べることにより人(ヒト)に感染します。上腹部の痛みが出ることが多く、場合によっては激痛になります。
魚を刺身などで食べる日本では年間3000件以上と報告されており、特に最近では新鮮な魚を食することを好む傾向があるため、急増しています。
胃にできる良性のポリープです。このポリープは、基本的には生涯にわたって良性のままです。小さくなったり消失することもあります。原因ははっきりしていませんが、ピロリ菌のいない健康な胃の方にできやすいこと、女性ホルモンの影響などが考えられています。
胃の出口である幽門輪から出ると、十二指腸の入り口である十二指腸球部前壁が見えてきます。十二指腸潰瘍ができやすい部位であります。
十二指腸球部から下行脚と呼ばれる部位に入って行きます。
十二指腸下行脚に入ったところです。ここから先が空腸となりますが、通常の上部内視鏡検査で観察できるのはここまでとなります。
十二指腸下行脚にあるファーター乳頭と呼ばれる肝臓や胆のう、膵臓からの管が合流して食べ物を消化する胆汁や膵液を分泌する部位となります。この部位にもファーター乳頭部がんが発生することがありますので、詳細に観察していきます。
十二指腸の「がん」は、胃がんや大腸がんと比較して珍しい疾患です。
十二指腸は、胃と比較して粘膜が非常に薄く、内視鏡治療が難しい部位になります。また外科的手術を行う際は、解剖学的に大手術が必要になる可能性もあります。
定期的に内視鏡検査を受けて、なるべく早期に病変を見つけることが大切です。
十二指腸腺腫は胃の粘膜から発生した、良性の腫瘍を胃腺腫といいます。
すぐにがん化をきたすことは少ないですが、10年単位という長い年月を経て、数10%の確率でがん化するとも言われています。
がんとの鑑別も必要であり、内視鏡検査での詳細な観察や病理組織検査を行い診断していきます。診断後は、定期的に内視鏡検査で観察をして変化がないか確かめていきます。
腫瘍の形態や大きさによってがん化の可能性が考えられた場合には、内視鏡的に切除を行う場合もあります。
ハイビジョン内視鏡
十二指腸腺腫の内視鏡写真です。 十二指腸粘膜ひだの上に乗っかった白い扁平な隆起です。十二指腸腺腫は大きさだけでは「がん」の診断をすることは難しいと考えられています。生検でがん化の可能性が高ければ、内視鏡治療を行っていくようになります。 この段階では症状は出現しませんが、このような早期の段階で腫瘍が発見できれば、内視鏡治療が可能になるのです。
インジゴカルミン特殊染色
十二指腸腺腫のインジゴカルミン染色です。腫瘍の部位が明瞭になります。
NBIハイビジョン内視鏡
NBI(狭帯域光観察)です。 さらに拡大ズームも用いることで、粘膜の表面構造や毛細血管の様子を観察し、腫瘍を詳細に調べ、がんの可能性があるかを内視鏡で診断します。
十二指腸の粘膜が傷つき、粘膜や粘膜下が一部なくなっている状態を、十二指腸潰瘍と言います。腹痛を感じること多く、比較的若い世代に多い疾患です。
胃潰瘍と同様に、ピロリ菌感染が原因となっていることが多いため、十二指腸潰瘍が見つかった場合には積極的にピロリ菌検査・治療を行っていきます。
ピロリ菌除菌が成功すると、十二指腸潰瘍の再発率は驚くほどに低下していきます。
これまで十二指腸潰瘍を繰り返している方には、除菌治療を強くお勧めします。