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一般診療
General Practice
目次
ノロウイルスによる感染性腸炎、食中毒は突然発症します。
ノロウイルスに関する正しい知識と予防対策等について、理解を深められるよう解説します。
ノロウィルスは感染性胃腸炎や食中毒を起こすウィルスです。
ノロウィルスによる感染性胃腸炎、食中毒は特に冬に多いのですが、1年中発生する可能性があります。
経口感染(口から入ってくる)です。
などが考えられます。
典型的な症状は、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱です。下痢や嘔吐がひどい場合は脱水症状が現れます。脱水症状は軽症では喉の渇き、めまい、吐き気、ぼんやりする、重苦しい、食欲がない、尿量が減るなどです。
中等症から重症では、上記に加え脱力感、眠気が強くなる、ふらつき、頭痛、幻覚、めまい、けいれん、意識消失などが出てきます。
臨床症状からノロウィルスを疑う場合は、ほとんどの場合は確定診断の検査はせずに、対症療法を開始します。
ノロウイルス抗原検査という検査方法がありますが、3歳未満、65歳以上の方のみ保険適応です。しかし、ノロウィルスに感染していても必ずしも陽性になるとは限りません。
食中毒や集団感染の原因追及目的で、電子顕微鏡法やPCR法などの検査もありますが、一般の医療機関では行われていません。
感染性胃腸炎の症状が主であるため、他の細菌性、ウィルス性胃腸炎との鑑別になります。
感染性胃腸炎;ウィルスではロタウイルス、アデノウイルス、ノロウイルスなど。
細菌ではサルモネラ、カンピロバクター、病原性大腸菌(O157など)、腸炎ビブリオ、エルシニア、ウェルシュ菌、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌、リステリア菌など。
ノロウィルスにワクチンや抗ウィルス薬はありません。
一般的には、個々の症状に応じて治療を行う対処療法が中心です。下痢の治療と下痢による脱水の治療がメインとなります。下痢止めは腸内にある病原体を体内にとどめてしまい、毒素を吸収してしまう可能性があるため基本的には使用しないことが多いです。整腸剤などの内服薬で腸内環境を回復させ、下痢の改善を期待して処方することもあります。脱水治療、予防のために病院では点滴を行うこともありますが、家では水分補給をしっかり行うことが重要です。
また、胃痛や嘔吐がある場合は症状によっては胃薬や吐き気止めなどが処方されることもあります。
食事は、食物繊維や脂肪が少ない食品をやわらかく調理した料理が適しています。また香辛料などの刺激物、生物は避けましょう。
おかゆ、うどん、白身魚、脂身の少ないささみ肉、卵、豆腐などが適しています。
基本的に食中毒を起こす細菌やウィルスは、加熱により死滅します。
ノロウィルスに感染した二枚貝などの食品の場合は、中心部が85-90℃で90秒以上の過熱が好ましいです。
感染者の隔離を行います。感染者と同じものを使わない→タオルの共用は中止(ペーパータオルの使用)、食器なども使い捨てのものを使用するなど。また、感染者の便や嘔吐物を処理する際は、使い捨てのマスクや手袋、エプロンなどをして正しく処理をするようにする。
石けんと流水で十分に手を洗いましょう。消毒用アルコール、逆性石鹸(塩化ベンザルコニウム)ではなく、次亜塩素酸ナトリウムや加熱による消毒をしてください。
最近では、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point;ハサップ)という衛生管理方法があります。
ハサップは、食品の生産・製造・加工・消費の工程で発生するおそれのある微生物汚染等の危害を分析し、特に原料生産から重点的に管理する事項又は工程を決め、これが守られているかを常時監視するものです。
ノロウィルスによる感染性腸炎、食中毒と診断された場合は、ほとんどが対症療法(整腸剤、水分摂取、安静など)で治癒することがほとんどです。
下痢や嘔吐がひどい場合は消化器内科を受診しましょう。
また、呼吸状態が悪い、脱力があるなどの症状は要注意です。
すぐに入院施設のある病院を受診しましょう。