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一般診療
General Practice
目次
脂肪肝は肝臓に脂肪がたまりフォアグラ状態のことを言います。日本人の3,4人に1人が脂肪肝といわれています。従来は軽い病気と考えられていましたが、最近は脂肪肝が肝硬変や肝臓がんへと進行する可能性があるとわかってきました。
脂肪肝について解説します。
脂肪肝とは、肝臓の細胞の内部に中性脂肪が沈着した状態です。以前は脂肪肝といえば、良性の疾患と考えられていました。しかし、最近では脂肪肝も肝硬変や肝がんに進行することがわかってきました。脂肪肝は放置すると肝炎、肝硬変、肝がんを引き起こすことがあるため、注意が必要です。最近ではアルコールを原因としない非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease : NAFLD)が増加しています。その中でも炎症や線維化を伴い、肝硬変症や肝がんに進展するタイプの肝炎を伴った脂肪肝は非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)と呼ばれています。
肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などを併発していることがあります。メタボリックシンドロームの肝病変としてとらえられています。
日本では有病率は9-30%と報告されています。世界的に増加傾向にあります。
危険因子とされているのは、総カロリー、糖質、ソフトドリンク(糖質、果糖)、肉類、脂質(特に飽和脂肪酸、ω-6脂肪酸、コレステロール)の過剰摂取、また魚類、ω-3脂肪酸、食物繊維の摂取不足が原因とされています。
2型糖尿病、脂質異常、高血圧も発症の危険因子とされています。
通常は特異的な症状や身体的所見はありません。肝障害が悪くなると倦怠感が生じることがあります。肝硬変まで進行すると、クモ状血管腫、手掌紅斑、腹水、黄疸などを認めることがあります。
ALT値はスクリーニングに有用です。血小板値、AST/ALT比は重症度に有用です。
脂肪肝の診断や他疾患の除外に有用です。コストも低く、安全性も高い検査です。脂質沈着の有無についてのスクリーニング検査として有用です。
脂肪肝の腹部超音波検査画像です。腎臓の黒い部分と比較して肝臓は白く見えます。
これは「肝腎コントラスト」といい、脂肪肝の特徴的な所見です。
脂肪肝の診断や他疾患の除外に有用です。造影剤を使用しない単純CTは、脂質沈着の有無についてのスクリーニング検査として有用です。
軽度の脂肪肝のCT画像です。肝臓の下の方のCT値が低下(黒くなる)しているため、脂肪が沈着していると判断できます。
肝臓への脂肪蓄積の評価では、腹部超音波検査、腹部CT検査よりも優れています。
肝臓に直接針を刺すことで肝臓の組織を採取します。確定診断や他の慢性肝疾患との鑑別が困難な場合などに行われます。重篤な合併症が0.3-0.57%、致死率が0.01%と報告されています。
食事制限や運動療法により7%以上の体重減少にて、脂肪肝の状態が改善すると報告されています。薬物を使用せずに副作用の心配もなく、費用対効果にも優れていることもあり第一選択とされています。
抗酸化剤としてビタミンEやビタミンC、糖尿病治療薬のチアゾリジン系薬剤、ビグアナイド系薬剤、シダグリプチンなど、また脂質異常症の治療薬のフィブレート系薬剤、エゼチミブ、EPL、肝庇護剤としてウルソ、グリチルリチンなどが用いられます。