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進行胃がんと腫瘍マーカー

  • 疾患・症例

腫瘍マーカーが正常だからがんは大丈夫と思っていませんか?

腫瘍マーカーはがんを発見するためのものではありません。

腫瘍マーカーを健康診断のオプションで測定し、一喜一憂されている方がおられます。
腫瘍マーカーはもともとがんの治療効果や再発予測などのために用いるものであり、がんを発見するためのものではありません。
「腫瘍マーカーが正常」=「がんがない」というわけではありません。
ご注意ください。

症例は、70歳代の男性です。
1年前に胃レントゲン検査で異常を指摘されました。
しかし、症状がないために放置していました。
その後、妻に胃内視鏡検査をすすめられたため、当院を受診されました。
受診時も症状はありませんでした。

胃内視鏡画像

胃に入るとすぐに腫瘍が見えました。

奥に進むと胃の半分が腫瘍に占められていました。

さらに奥に進むと胃の出口の幽門が見えます。
幽門を腫瘍が塞いではいませんでした。

幽門を腫瘍が塞いでおらず、食べ物が十分に通過するため症状が出なかったのかもしれません。
この症例では、胃の半分を占めるほど癌が進行しているにも関わらず症状はありませんでした。
しかも驚くことに採血では「貧血がなく、腫瘍マーカーも正常」でした。

大学病院に紹介し、詳しく調べたところ肺に転移が見つかりました。
当院受診してから1年後にお亡くなりになりました。

まとめ

「がん」には神経があるわけではないので、自覚症状が出ることは少なく、食べ物が通らなくなって、初めて自覚症状として認識されることが多いとされています。自覚症状が出たときには他臓器に転移するくらい進行していることが多く、手遅れで見つかる可能性が高くなると言われています。そのため早期の段階で見つけるためには、定期的な内視鏡検査が重要となってきます。

また、腫瘍マーカーはがんを早期で見つけるための検査ではありませんし、これらの腫瘍マーカーが陰性であっても「がん」を否定することには全くなりませんので注意が必要です。

唯一の腫瘍マーカー採血で早期発見に役立ち、例外と言えるのは、前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSAです。前立腺がんの初期の段階で陽性になることが多いため早期発見・早期治療に役立ちます。

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