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Endoscopist Doctor's Knowledge
胃がんの原因がピロリ菌であることは、メディアなどで取り上げられていることもあり多くの方が知っているかと思います。胃がんの一番の原因はピロリ菌感染による炎症ですが、塩分の摂りすぎも原因の一つといわれているのです。
今回は、胃がんについて詳しく解説するとともに、胃がんになったときの症状やリスクを軽減するための検査について解説していきます。
胃粘膜の上皮細胞が、炎症に伴う遺伝子異常が生じることで、胃の正常細胞ががん細胞に変化し増殖することで胃がんを発症します。
がんが成長し大きくなってくると、始めは胃の粘膜の奥深くまで浸潤していくのと同時に、がん細胞が血管やリンパ管の中に入り込むことで胃の組織の外側へどんどん広がっていき、肝臓や肺、周囲のリンパ節に広がっていきます。
また、胃がんは、胃壁を飛び出して腹膜と呼ばれる腹腔内に転移することがあるがんでもあります。
さまざまなことが原因で胃に刺激が起こり、それによって胃がんのリスクが高まります。胃がんになる原因は、ピロリ菌による「慢性胃炎」、塩分のとりすぎや喫煙などです。
胃がんの原因を詳しくお伝えしていきます。
ピロリ菌は主に幽門前庭部という胃の出口付近の胃粘膜に生息する細菌です。
ピロリ菌感染が原因による「慢性胃炎」が長期化すると「萎縮性胃炎」になります。
胃の粘膜の萎縮が進むとからだは傷んだ胃粘膜を修復しようと試みますが、残念ながら胃粘膜として修復することが出来ず、腸管で一番安定している臓器と言われている小腸の粘膜で修復される腸上皮化生となります。萎縮性胃炎や腸上皮化生の粘膜に生じた炎症により遺伝子に傷がつき、間違った遺伝子配列から異常な細胞が増殖しはじめ、その一部ががん化することで胃がんが発症するのです。
ピロリ菌感染による胃がんのリスクは、約5倍にまで高まることが分かっています。
ピロリ菌は全ての人間の胃に生息しているわけではありません。
複数の感染経路はありますが、主に幼児期の免疫が確立していない時期、胃酸の酸性度が低い時期に井戸水の持続摂取や、ピロリ菌に感染している親族からの口移しの食事や唾液を介した経口感染することがもっとも多いと言われています。
胃は胃酸によって守られていますが、塩分の刺激によって胃酸のバリアを破壊し胃がんができやすい環境になるといわれています。
胃の粘膜は、塩分の多い食物によって慢性的な炎症を引き起こすことがあるのです。
炎症で胃壁が荒れると、ピロリ菌が生息しやすくなり炎症をさらに広げていきます。実際に、塩分摂取量の多い人の胃がん率が高いという報告もあります。
国立がん研究センターの研究によると、40~59歳の男性約2万人を10年間の追跡調査で食塩摂取量が最も多い場合と少ない場合とで比較すると、最も多い場合は胃がん発生率が2.23倍になるとの結果も出ています。
出典 : 国立研究開発法人国立がん研究センター社会と健康研究センター予防研究グループ
日本人の食事摂取基準(厚生労働省制定)によると、成人の食塩摂取目標量は、1日あたり男性7.5g未満、女性6.5g未満です。
しかし現状は、日本人の1日の塩分摂取量の平均が9.9gとなっている(平成29年度の調査)ため、塩分をとりすぎているといえます。
参考 : 厚生労働省 平成29年 国民健康・栄養調査結果の概要
塩分を抑えるための工夫をまとめてみたので、参考にしてください。
・減塩調味料の使用
・加工食品は控える
・外食は控える
・ラーメンなどの汁は残す
・薬味や香辛料などを使用する
胃がんの原因でもある塩分の多い食事は、日々の食生活を見直すことでリスクを軽減することができます。
たばこには、ニトロソアミン類など約70種類の発がん性物質が含まれています。
たばこに含まれる発がん性物質の多くは、体内の遺伝子にダメージを与え、がん細胞が増殖し続けるため、がんを発症しやすくなるのです。
喫煙が影響し肺がんになりやすいことはよく知られていますが、喫煙は胃の粘膜を萎縮させ慢性萎縮性胃炎を進行させ、それが原因となり胃がんになる可能性があります。
たばこに含まれるさまざまな成分は、胃にとっての刺激になるといえるのです。
胃潰瘍は、ピロリ菌感染の影響で胃の粘膜がただれたり胃壁が傷ついた状態で悪化すると胃に穴が開くため痛みを伴うことがあります。
漠然と胃周囲の痛みやみぞおちに痛みを感じることが多いです。
胃炎でもストレスや胃酸過多により胃粘膜表面が傷つくので、痛みを感じることがあります。
ただし、痛みの感じかたは人によって千差万別で、それはひと各々で痛みの閾値が異なること考えられているからです。
胃がんにおいても同様で、かなり進行しても痛みを感じることが無い場合もあります。当然、早期がんの場合はほとんど症状がありません。
そのため胃痛の症状だけでは、がんを疑うことが難しいといえます。では胃がんを早期発見するためにはどうしたらいいのでしょうか?
痛みもなく症状がないため痛み以外の症状や違和感を感じたときに検査を受けることで、少しでも早く胃がんを発見することができます。
みぞおち付近の痛み・胸やけ・食欲不振・体重減少などの症状が見られた場合などに、胃がんが発見されるケースがありますので、定期的な胃カメラ検査をすることでリスクを下げることができます。
「スキルス胃がん」というのは俗名で、正確には「胃癌取扱規約の肉眼的分類」の「4型」にあたる胃がんです。
スキルス胃がんは胃の壁を硬く厚くさせながら広がっていくタイプで、通常の胃がんのように潰瘍の病変がみられないこともあり、経験豊富な消化器内視鏡医でなければ、肉眼で確認する内視鏡検査では発見されることが難しいのが特徴です。
またスキルス胃がんは進行が早く、見つかったときにはかなり進行している場合や転移している場合も多くみられます。
スキルス胃がんは胃がん全体の7%で、進行胃がんの中では15%を占めます。
スキルス胃がんの原因は、ピロリ菌の感染により前庭部胃粘膜が萎縮性胃炎を起こす前に、リンパ球が過剰に反応し鳥肌胃炎を起こすことにより遺伝子異常を生じ、印環細胞がんと呼ばれる悪性度が高いがん細胞を生じることが原因と考えられています。
通常の胃がんは50代を目安に増加傾向にあり、80代がピークといわれ男性の罹患率が高いです。一方、スキルス胃がんは女性や若年層である20代でも発症することがあります。つまり、胃がんは高齢の疾患というだけではなく、ピロリ菌に感染している胃では、若い女性でもなる可能性があります。
痛みがなく初期症状などがないといわれている胃がんですが、痛み以外の違和感によって受診し胃がんを発見するケースもあります。
普段とは違う違和感や胃がんにつながるサインを見逃さないことが、胃がんの早期発見につながるのです。
これからお伝えする症状に当てはまる場合は、迷わず胃カメラなどの検査を受けることをおすすめします。
過去にピロリ菌感染があり、除菌治療を受けたことがある方の中には「胃がんリスクがなくなった」と思っている場合もあるかもしれません。しかし、ピロリ菌を除去しても約3~5割の方に胃がんのリスクが残ります。
ピロリ菌によって作られた萎縮性胃炎によって、胃の粘膜が薄くなった状態は元に戻ることはありません。がんができやすい状態はそのまま残るのです。
ピロリ菌を除去してからも胃がんのリスクを考え、年に一度の胃カメラ検査を受けるようにしましょう。
普段通りの食事をしているにもかかわらず、胃もたれが続く場合や症状がひどいときには検査をした方がいいでしょう。また、みぞおち周辺に痛みがある場合も同じく検査することをおすすめします。
これらの原因から考えられるものは、胃炎・機能性ディスペプシアなどの機能性異常、胃潰瘍・胃がんなどの器質性異常が有る場合です。
1、2日で症状がなくなる場合には様子をみる程度でいいですが、繰り返し症状が出る、数日間続く場合には早めに受診し検査するようにしましょう。
胃がんが進行してくると、吐き気や嘔吐などの症状が出てくる場合があります。吐き気があって食事がとれない、食べると嘔吐してしまうなどの状態が続くときは胃に何等かの異常があると考えれます。
胃がんの場合は、がんが大きくなることで食べ物が胃に入ることができない状態や食べ物が入らず押し戻ってしまう通過障害が起きるのです。また嘔吐したものに血が混ざったり黒い便が出る場合は、食道・十二指腸・胃から出血をしている可能性があります。
血液と胃酸が混ざると黒く変色するので、黒い嘔吐物や黒い便が出た場合は迷わず胃カメラ検査を受けましょう。
胃がんを含むがんの原因は「刺激」です。
塩分などの刺激によって、胃の粘膜が荒れてしまうことでがんができやすくなるといわれています。
ただ、胃がんは初期症状や痛みがほとんどなく、発見されたときには進行し転移している場合が多いです。
症状よりも今までにない「違和感」から、胃がんや胃の病気を発見することができることを覚えておきましょう。
症状が現れにくいがんだからこそ、1年に1度胃カメラ検査を行なうことが大切です。
胃がんは、早期で見つかれば完治も可能な病気です。早期で見つけるためにも定期的に胃カメラ検査をしましょう。
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