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おすすめ内視鏡豆知識
Endoscopist Doctor's Knowledge
人間ドックや検診で行われる胃カメラ検査で、まれに十二指腸腺腫が発見されることがあります。多くの方は、胃カメラ検査は胃がんを発見するために行うと思っていますが、そうではありません。
胃カメラ検査は、胃だけではなく咽頭(のど)、食道、十二指腸も観察しています。
そこで、今回は十二指腸腺腫について症例を交えながら、どのような病気でどのような治療法があるのかお伝えします。
胃カメラ検査を控えている方や、毎年胃カメラ検査を受けている方は、ぜひ参考にしてください。
十二指腸は、胃からつながる消化管である小腸の一部で、胃から入ってきた食べ物をさらに消化分解する働きがあります。
胃から送られてきた食べ物と、胆嚢で作られた胆汁、膵管で作られた膵液の消化酵素とを混ぜることで、食べ物の吸収を促進させます。
胆汁や膵液など強力な消化酵素を取り込むことから、胃と同じような疾患になりやすい臓器でもあります。ただ、無症状なことが多いため知らず知らずのうちに、病状が進行しているケースも珍しくありません。
近年は、胃カメラ検査の普及やカメラ技術の向上から、十二指腸の疾患も発見される機会が増えてきています。
十二指腸腺腫とは、十二指腸にできる腫瘍性のポリープです。腺腫は、良性の腫瘍でがん化する可能性は低く、10年単位の長い年月をかけて数%ががん化するといわれています。
正常な十二指腸の粘膜はピンク色で、腺腫になった粘膜は白っぽくなっていることが多いです。早期の場合は、ほぼ平らで変化がみられないことが多いため発見しづらいのが特徴です。
胃カメラ検査で十二指腸腺腫が発見されても、病変の大きさや形・患者の年齢など総合的な判断により、治療するか決定します。
ガイドラインでも、「十二指腸腺腫は治療対象であることを弱く推奨する」となっており、すべての病変を積極的に治療する方針ではないのです。
1つ目の症例は、数年前に胃カメラ検査によって、十二指腸腺腫が見つかった患者のものです。数年前から十二指腸腺腫を指摘されているものの、形や大きさに変化がないため経過観察をしているケースになります。
十二指腸腺腫は良性のポリープであるため、形や大きさに変化がなく周りの臓器に影響がない場合には、経過観察をします。
しかし、がん化する可能性がゼロではないため、毎年胃カメラ検査(内視鏡検査)での詳細な観察が必要になります。また、経過観察中でも変化がみられれば、治療方針を再検討することがあります。
十二指腸腺腫は良性のポリープではあるものの、比較的大きい場合には内視鏡治療を選択するケースもあります。この症例は内視鏡治療を選択しました。それはポリープの形態や大きさによっては、がん化する可能性が強くなるからです。
胃カメラ検査では生検を行い、がん化の可能性が高いかどうかの確認をします。
胃カメラ検査で十二指腸を観察する場合、腹部の違和感を感じやすいです。そのため、当院では鎮静剤を用いて楽に検査ができるよう工夫しています。
胃カメラ(胃内視鏡)検査では、胃だけではなく上部消化管と呼ばれる食道や十二指腸の状態も観察します。また、近年は鎮静剤を用いることで耳鼻咽喉科の専門領域である、咽頭の観察も標準化しています。
消化器内科クリニックの胃カメラ検査であれば、咽頭・食道・胃・十二指腸を観察し、各部位の病変を早期に発見できる可能性があります。
胃カメラ検査を受ける主な理由は、下記の3つです。
・気になる症状がある
・人間ドック、健康診断、検診
・治療後などの経過観察
胃カメラ検査がどんな時に行われ、どんな意味をもっているのかを知ることで少しイメージが変わるかもしれません。
おなかの気になる症状がある場合には、胃カメラ検査を行うことがあります。胃カメラ検査を行う可能性がある症状をまとめてみました。
・胃酸が逆流してくる
・黒い便が出る
・胸やけがある
・腹部やみぞおちの痛みが長期間続いている
食後に胃酸が逆流する場合には、逆流性食道炎の疑いがあります。また黒い便が出るなど便に異常がある場合には、食道・胃・十二指腸などの上部消化管の出血が疑われることがあるのです。
問診で症状を確認した上で、胃カメラ検査で疑われる病変がないかを内視鏡医は観察します。病変が発見されれば、原因を確認し治療法を模索する流れとなるのです。
定期健診で胃カメラ検査を受ける場合には、症状がないため胃カメラ検査をためらう方もいるでしょう。胃カメラ検査は、がんなどの異常を早期に見つけ、早期治療につながることもあります。早期胃がんであれば、内視鏡治療で切除できるケースもあるので、体にも金銭的にも負担が少なくて済みます。
健康診断で胃カメラ検査が勧められる異常所見をまとめてみました。
・血液検査で貧血を指摘された
・ABC検診でA以外の判定が出た
・胃レントゲン検査で慢性胃炎を指摘された
このような指摘を受けた場合には、できるだけ早く胃カメラ検査を受けることをおすすめします。
すでに胃カメラ検査などを行っており、十二指腸腺腫など悪性ではないと判断された病変がある場合や治療が完了している場合には、経過観察のために胃カメラ検査を行います。
経過観察を行う代表的なケースをまとめてみました。
・ピロリ菌除菌成功後の胃粘膜の観察のため
・萎縮性胃炎など慢性胃炎がある場合
・がん治療後
・十二指腸腺腫などの定期的な経過観察が必要な病変がある場合
現時点では問題ない病変であっても、時間が経過することで病変ががん化する恐れがある場合や、悪化する恐れがある場合には、毎年胃カメラ検査を受けましょう。
人間ドックや健康診断、検診などで、胃カメラ検査を経験したことがある方の中には、悪いイメージを持っているかもしれません。「喉が苦しかった」「嗚咽が止まらなかった」「あまりにもつらく検査が中断してしまった」など、嫌なイメージを払拭するにはどうしたら良いのでしょうか。
胃カメラ(胃内視鏡)検査で、患者の多くが「苦痛」と感じるものは3つあります。
・スコープが喉の奥を通過するときの「オエッ」となる反射
・検査中、喉にスコープが触れている圧迫感
・胃の中を空気で膨らますため苦しさや腹部の膨張感
特に多くの方は、「オエッ」なることから、胃カメラ検査が長く苦痛な時間になるイメージが強いのではないでしょうか。
これらを軽減するために、胃カメラ検査を受ける時に鎮静剤を使用するかどうかがポイントになります。
鎮静剤を使用すると検査後に、約1時間休んでから帰宅する必要があります。また、患者に合わせた量の鎮痛剤を使用してもらうには、経験や技術を持った医師の検査をうけられるかということもポイントです。
鎮静剤を使用する医療機関の場合は、検査後に休憩できる専用の部屋などが確保されているかも確認しましょう。
胃カメラ検査は、臓器の状態を画像を見ながら観察できる検査です。近年、多くの医療機関で胃カメラ検査を手軽に受けられるようになりました。
胃カメラが捉えた画像を観察する医師の経験値によって、見つけられる病変も変わります。また、胃カメラの操作についても、観察すべき部位を把握していなければ、見つけられる病変も見逃してしまうケースがあるのです。
これは、医師の技術力や経験により差がでます。総合病院など大きな病院を信頼している方も多くいますが、胃カメラ検査においては専門医であり経験が豊富な方が、より安心だといえます。
苦痛なくスムーズな胃カメラ検査を受けたいと考えた場合には、経験豊富で技術を持った内視鏡医を見つけることが大切です。
今回は胃カメラ検査で、まれに発見される十二指腸腺腫について事例を紹介しました。
胃カメラ検査が、胃以外にも上部消化管である食道・十二指腸をはじめ咽頭の観察も可能であることを知っておけば、気になる症状があった場合に役立つでしょう。
また、胃カメラ検査を行う場合に知っておきたいポイントからどんな医療機関、どんな医師を選択するべきかも理解できたかと思います。
これらを参考に苦痛の少ない胃カメラ検査を受け、早期発見・治療につなげることが大切です。
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