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おすすめ内視鏡豆知識
Endoscopist Doctor's Knowledge
「最近、胃もたれするようになった」
「胃の調子がいつも悪い」
この症状は、年齢のせいかなと思われる方も多いのではないでしょうか?最近ではSNSや雑誌などでも「肌年齢」「腸年齢」「脳年齢」などのように、「胃年齢」という言葉も耳にするようになりました。
年齢を重ねると、体は少しずつ老化していきます。胃も年齢とともに老化していくように思えますが、胃の老化は加齢だけが影響しているわけではありません。
今回は気になる胃の年齢についてと、胃の老化の原因やその対処法について解説します。
胃の年齢を言い当てることはできません。胃の見た目は、ピロリ菌に感染しているかどうかで決まります。
ピロリ菌に感染した胃の粘膜は、ごつごつしており慢性の胃炎が発症した状態です。これを萎縮性胃炎(いしゅくせいいえん)といいます。
胃の年齢や老化を気にするよりも、ピロリ菌に感染しているかどうかを確認することが大切です。
胃は年齢とともに老化していくといわれていますが、胃の老化は個人差が大きく、年齢を重ねても胃の粘膜がピンク色で、厚みがある健康的な状態の方も多くいます。
一般的にピロリ菌といわれていますが、正式名は「ヘリコバクター・ピロリ」です。ピロリ菌は一度感染すると、除菌するまで胃に生息し続け、長期間感染した状態で放置しておくと、どんどん胃の粘膜が荒れ、胃にさまざまな症状を引き起こします。
ピロリ菌に感染すると、さまざまな胃の不調や病気を引き起こします。ここではピロリ菌の感染が原因となる、3つの疾患についてご紹介します。
胃炎は「急性胃炎」と「慢性胃炎」の2つに分けられます。
急性胃炎は、精神的や身体的なストレスや解熱鎮痛剤などの薬剤、香辛料やアルコールなど胃に刺激が強い飲食物、食中毒などが原因で発症します。
慢性胃炎は、ピロリ菌の感染が原因で発症するケースが多く、胃の粘膜が慢性的に炎症を起こしている状態です。ピロリ菌の感染が確認された胃の中でよく見られる萎縮性胃炎(いしゅくせいいえん)も慢性胃炎のひとつです。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、ピロリ菌の感染が原因と考えられています。ピロリ菌に感染すると、胃の粘膜に炎症が起き、胃壁に傷がつき深くえぐれたような状態になります。
胃がんは、胃の粘膜内にがん細胞ができる病気です。胃がんの原因はピロリ菌感染が主です。それに加えて喫煙や高塩分食などの生活習慣や食習慣が影響していると考えられています。
ピロリ菌が胃の中に生息しているか調べるためには、さまざまな検査方法がありますが、胃カメラの使用の有無によって、その検査方法は異なります。
胃カメラを使用する検査方法は、以下の3つです。胃カメラを使ってピロリ菌の検査を行う場合は、組織採取と同時に胃の中を確認できます。
培養法は、胃カメラを使って胃の粘膜を採取し、その粘膜をピロリ菌が発育しやすい環境下で5〜7日培養します。
もし採取した粘膜にピロリ菌が生息していたなら、培養によって増殖するため、ピロリ菌に感染していると判断できます。
一方、培養してもピロリ菌が確認できなければ、ピロリ菌には感染していないと推測されます。
迅速ウレアーゼ試験法は、ピロリ菌が持っている尿素を分解する酵素「ウレアーゼ」を検出することで、ピロリ菌が生息しているかどうかを調べる検査です。
ピロリ菌には尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解する性質があり、採取した粘膜に試薬を投与してアンモニアの反応があれば、ピロリ菌がいると判断できます。
組織鏡検法は、胃の粘膜の組織標本に色をつけ、顕微鏡でピロリ菌が生息するか確認する検査です。
胃の中の状態を確認する必要がないと判断されたときは、胃カメラを使わない方法でピロリ菌の有無を確認できます。
尿素呼気検査は、尿素を含む検査薬を服用し、服用前後の呼気に含まれる二酸化炭素の量を比較してピロリ菌の有無を確認する方法です。迅速ウレアーゼ試験法と同じ原理で、ピロリ菌が持つ尿素を、アンモニアと二酸化炭素に分解する性質を利用したものです。
ピロリ菌に感染していると尿素が分解されるため、呼気に含まれる二酸化炭素量が増えます。一方、ピロリ菌に感染していない場合は、二酸化炭素はほとんど含まれていません。
胃の粘膜を採取する必要がなく、簡単に行え、さらに精度が高い検査方法です。
抗体検査は、血液中や尿中にピロリ菌の抗体があるかを調べる方法です。ピロリ菌に感染すると、体の中ではピロリ菌に対抗するために抗体をつくります。つくられた抗体は血液や尿に排出されるため、その抗体量を測定してピロリ菌の感染の有無を確認します。
便中抗原測定は、便中にピロリ菌の抗原が排泄されているかどうかで、ピロリ菌の感染の有無を確認する方法です。
一般的な検便と同じような方法であるため、簡単に検査を受けられます。
ピロリ菌の感染が確認された場合は、除菌を行います。ピロリ菌の除菌治療は、1週間内服薬を服用します。胃酸の分泌を抑制する薬剤と抗生物質が2種類、処方されます。
1週間、薬を服用した後、胃の中のピロリ菌が除菌できているか判定する検査を行うことが大切です。除菌の判定方法は、尿素呼気検査が多いですが、医療機関によっては便中抗原測定が採用されている場合もあります。
除菌治療をした方の約8-9割は1回で除菌に成功するといわれていますが、除菌ができていないケースもあります。そういった場合は、薬剤を変更して二次除菌が必要です。
ピロリ菌の除菌に成功すれば、胃がんや胃潰瘍などの病気を発症しないわけではありません。ピロリ菌の感染期間が長い方は、胃の粘膜が正常な状態に戻るまでに時間がかかります。
健康的な胃を保つための3つの対処法をご紹介します。
食事と胃には密接な関係があることは、みなさんもおわかりいただけると思います。食事を食べずに長期間、胃の中が空っぽの状態が続くと、胃酸が過剰に分泌され、胃が荒れる原因となります。
また、よく噛まずに早食いの傾向がある方は、胃に大きな負担がかかり、胃痛や胃酸過多を引き起こし、胃食道逆流症の原因にもつながります。よく噛んで、腹八分目を心がけましょう。
食事内容にも注意が必要です。胃がびっくりするくらい熱いものや冷たいもの、辛いものや味の濃いものは、胃粘膜の炎症の原因となります。栄養バランスのとれた食事は、健康にはかかせません。胃を若く健康に保つためにも、食生活の見直しが大切です。
喫煙が体に与える影響は、肺だけではありません。
タバコを吸うと血管が収縮して、血流が悪くなります。胃にも血管があるため、タバコの影響によって胃の血流量が減少し、胃粘膜に酸素が足りなくなり、胃の運動機能や抵抗力の低下を招きます。
また喫煙は交感神経を興奮させるため、自律神経のバランスが崩れ、胃の動きに影響を与えます。なるべく禁煙するように心がけましょう。
ストレスがまったくない人は少ないと思います。しかし過度のストレスは、胃の消化機能を低下させ、胃粘膜を弱らせてしまう恐れがあります。
ストレスを上手に発散させることが大切です。ストレス解消法は、人それぞれ異なりますが、自分の好きなことに集中したり、リラックスタイムを設けたり、お気に入りのアロマを使用したりと、上手に自分に合った方法でストレスをこまめに解消しましょう。
胃の年齢は若い方がいいですよね。しかし胃の見た目や機能は、年齢よりもピロリ菌の感染の有無が大きな影響を与えます。
胃の不調が続くと、精神的にも身体的にも大きな負担がかかり、ひどいときには日常生活を送るのも一苦労といったことも少なくありません。
胃の老化を防ぎ、健康的な状態を保つためには、定期的に胃カメラ検査を受けることをおすすめします。自分の体のメンテナンスとして、胃カメラを受けていきましょう。
いつまでも若々しくいるためには、胃の不調を改善し、今回ご紹介した対処法を試してみてくださいね。
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