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Endoscopist Doctor's Knowledge
近年、日本では大腸がんの罹患率や死亡率が、増加傾向にあります。大腸がんの発症に深くかかわる大腸ポリープがある方には、共通する特徴があると考えられています。その一つは、飲酒です。
飲酒は、円滑なコミュニケーションやストレス発散に役立つ場合があります。しかし、大腸ポリープをはじめとするさまざまな病気を予防するためには、アルコールとの上手な付き合い方を知ることが大切です。
飲酒以外にも、普段何気なくとっている食事や生活習慣が、大腸ポリープの発生リスクを高めているケースがあります。
この記事では、大腸ポリープと飲酒の関係性と大腸ポリープの発症リスクを軽減するための、食生活のポイントを解説します。
飲酒は大腸ポリープや大腸がんの発症に関係すると考えられます。WHO(世界保健機関)の評価や国立がんセンターでは、飲酒はがんの原因といわれており、大腸がんもその中の一つです。
がんの発症と原因の関係性で確実といわれているものには以下のものがあります。
・大腸ポリープとアルコール
・食道がんとアルコール
・胃がんとピロリ菌
・肝臓がんとB型・C型肝炎ウイルス
などがあるように、がんには何か特定の要因があるということがデータで出ています。
飲酒習慣は大腸ポリープや大腸がん、食道がんとの関係性が確実であるといわれています。
飲酒するとアルコールが口から入り、食道や胃、小腸、大腸、肛門などの消化管を通り、消化や吸収、排出されます。
一般的にアルコールは胃で約20%、大腸で約80%が消化、吸収されているため、アルコールを習慣的に摂取していると、消化液の増加や神経が過敏になり、ポリープができやすい環境を引き起こしてしまうのです。
大腸ポリープとは、大腸の粘膜層にできたイボのような隆起物です。大腸ポリープは自覚症状がほとんどありませんが、まれに肛門近くにポリープができていると、血便や便に粘液状のものが付着するなどの症状が見られるケースもまれにあります。
大腸ポリープは、大きく分けて2つの種類があります。
腫瘍性ポリープは、大腸ポリープの中でもよく見られる種類で、良性腫瘍と悪性腫瘍の2つに分けられます。
良性腫瘍は「腺腫(せんしゅ)」といい、大腸ポリープの約80%を占めます。腺腫をそのままにしておくとがん化するケースがあり、腺腫が大きいとさらにがん化のリスクが高くなる傾向にあります。
治療が必要な腺腫の大きさの目安は、一般的に5mmです。治療が必要かの判断は医師が行いますが、5mm以下であっても将来がん化する可能性のある腺腫の場合は、治療の対象となることが多くあります。
悪性腫瘍は「がん」です。がんと診断された場合は、粘膜内に留まっている場合は内視鏡治療が選択できますが、粘膜下層以下の深層にがんが及ぶ場合は外科手術などで腫瘍を切除する治療が必要です。
非腫瘍性ポリープは、腫瘍性ポリープに該当しないポリープをいいます。その種類は、炎症性ポリープ・過形成性ポリープ・過誤腫性ポリープ・その他に分けられます。
どの種類もがん化するリスクは少なく、治療の必要性もない場合が多いですが、大きさによっては切除対象となる場合もあり、また出血などの症状が見られたときも治療が必要となるケースがあります。
・炎症性ポリープ :潰瘍性大腸炎やクローン病など腸の重度の炎症後にできるポリープ
・過形成性ポリープ:組織の変化でできるポリープ
・過誤腫性ポリープ:正常な組織の過剰増殖によってできるポリープ
大腸ポリープができやすい方には、いくつかの共通する特徴があります。内視鏡検査の経験が多い医師からすると、検査前におおよそ大腸ポリープがあるかないかが予測できるほど、共通する特徴があるのです。
肥満傾向の方は、大腸ポリープが発症するリスクが高いと考えられます。肥満の指数を表すBMI(Body Mass Index)が高い方ほど、大腸ポリープがあるという研究結果が報告されています。
BMIの計算式は、体重(kg)÷(身長(m)x 身長(m))です。
BMIは18.5〜25未満が正常値で、25以上は肥満と診断されます。肥満体型の方は、大腸ポリープができている割合が高いといわれています。
日常的に糖質を過剰に摂取して肥満傾向にある方は、大腸ポリープができているケースが多い傾向にあります。糖質は、タンパク質、脂質とともに三大栄養素の一つとされており、健康維持にとって欠かせない栄養です。
しかし、糖質の過剰摂取は肥満の原因となります。例えばラーメン屋で、ラーメン・ビール・ライスを注文する方や、麺と米を一緒に食べる習慣がある方は、糖尿病や中性脂肪高値、大腸ポリープがある確率が高い傾向にあります。
ラーメンのスープを飲み干す行為は、脂質や塩分を摂り過ぎてしまい、さらに食欲がわいて食べ過ぎの原因となります。また、アルコールの中でも特にビールや日本酒には糖質が多く含まれているため、習慣的にこれらを飲んでいる方は、糖質を過剰摂取している可能性が高いです。
このような食生活・飲酒習慣がある方は、見直しや改善が必要です。
大腸ポリープを予防するには、生活習慣の見直しや改善が大切です。それでは、毎日の生活の中でできる予防対策をご紹介します。
大腸ポリープの予防には、第一に食生活を見直しましょう。自宅では自炊などで、栄養バランスのよい食事を意識しやすいですが、外出先ではメニュー選びに困る方もいらっしゃると思います。
外出先で糖質を控えようと定食を注文するとライスがついてきたり、手軽に食べようと思うとうどんやラーメン、そばなどの麺類になったりと、糖質中心の食事になりがちです。
糖質を控えたいときは、コンビニを上手に活用しましょう。糖質を控えた食事をとるなら、食物繊維が豊富な野菜サラダやタンパク質が多く含まれるサラダチキンなどがおすすめです。最近では低糖質のパンや惣菜などもあるため、糖質をある程度コントロールしやすくなっています。
また丼ものを食べるときは、ライスを豆腐に変更するなどの工夫もできますし、牛丼であれば牛皿とサラダを選び、ライスをつけないメニューにするとよいでしょう。
毎日飲酒している方に明日からやめましょうと伝えても、突然禁酒するのはむずかしいかもしれません。糖質の過剰摂取を軽減するためには、糖質が低いアルコール飲料を選ぶようにしましょう。
糖質の少ないものは、焼酎やウイスキー、ブランデーなどです。ただし、糖質が少ないからといって飲み過ぎるのは禁物です。適量の目安は以下のとおりです。
・ビール:中瓶1本(500ml)
・日本酒:1合(180ml)
・焼酎:0.5合(90ml)
・ウイスキー:60ml
・ワイン:2杯(240ml)
また、肝臓に過度な負担がかからないように、飲酒しない「休肝日」を設けるようにしましょう。休肝日とは、1週間のうちに何日か、まったくお酒を飲まない日をさします。休肝日を設ければ、肝臓を休ませる以外にも、アルコールの総摂取量を減らせます。
適度な運動は、大腸ポリープの予防だけではなく、健康的な体づくりにもなります。息が上がるようなハードな運動を続けるのではなく、ウォーキングや軽いジョギング、ストレッチなどを継続して行うようにしましょう。
運動をする時間が取れない方は、日々の生活の中で積極的に体を動かすと軽い運動ができます。階段を使ったり、早歩きや体を大きく動かしたりするのもおすすめです。
大腸ポリープは自覚症状がほぼないため、定期的に大腸内視鏡検査を行うようにしましょう。大腸ポリープができているのに気づかずそのままにしておくと、大腸がんになるリスクが高くなります。
大腸内視鏡検査は、大腸ポリープなどの病変を早期発見するのに有効です。検査を受ける頻度は、過去に大腸ポリープを切除した経験がある方は1〜2年に1度、大腸ポリープがない方は3〜5年に1度です。
大腸ポリープががん化するまでには、平均3〜10年かかるといわれているため、大腸ポリープがない方は、期間を長めにとってもよいとされています。しかし、毎年実施される健康診断は生活習慣病の早期発見のために受けるようにしましょう。
また大腸ポリープの治療経験の有無に関係なく、血便の自覚症状があるときは、すぐに医療機関を受診するのが大切です。
大腸ポリープと飲酒には大きな関係があることは確実です。大腸ポリープができる原因は飲酒だけではありませんが、飲酒によって糖質の過剰摂取や肥満のリスクが高まり、結果として大腸ポリープができやすい腸内環境になってしまうのです。
飲酒する際は、糖質の低いアルコール飲料を選び、適量を守るようにしましょう。また、食生活を見直すのも効果的です。麺類やおにぎり・サンドイッチなど糖質の高いもので、さっと食事を終わらせるのではなく、健康を意識して食事を選ぶことが大切です。
私たちの体は、食べ物でできているといっても過言ではありません。食事は自分への投資ともいえるのではないでしょうか。飲酒をする際は、適量を守り、休肝日を設けて、上手にアルコールと付き合いましょう。
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