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胃がんの早期発見をサポートするインジゴカルミンとは?

  • がん
  • 検査

胃がんに限らず、がんは早期発見・早期治療が大切です。そのために、健康診断を毎年欠かさず受けている方も多いのではないでしょうか?

ただ初期の胃がんの場合、自覚症状がほとんどなく、また胃カメラ検査をしても、病変が不明瞭な場合も少なくありません。

医師の目で見ても、胃がんの所見かどうか判断が難しい場合に使われるのがインジゴカルミンです。

この記事では、インジゴカルミンがどのようなときに使用されるのか、使用したあとの注意点、胃カメラ検査の詳細について解説します。

1. インジゴカルミンとは?

インジゴカルミン

インジゴカルミンとは、消化器官の内視鏡検査で使われる青色の色素剤です。胃や小腸・大腸内の内視鏡検査で使用されています。

たとえば、胃の不快な症状がある際に、胃カメラ検査で病変の有無を確認します。胃カメラ検査は胃がんや胃潰瘍などの発見に有効な検査ですが、初期の胃がんの場合、目で見ただけでは簡単に病変を確認できないケースがあります。

医師が胃カメラ検査を行う際にもっとも恐れているのが、病変の見逃しです。そこで、病変を見逃さないために使用されるのが、インジゴカルミンです。

胃カメラ検査でインジゴカルミンを散布すると胃の粘膜の凹凸が明瞭になり、病変がわかりやすくなります。インジゴカルミンは、人体に対して大きな影響はありません。

胃の粘膜の写真
胃の粘膜の写真

2. インジゴカルミンを使用する色素内視鏡とは?

男性医師

色素内視鏡検査とは、内視鏡検査の中の一つで画像強調観察に分けられます。色素内視鏡検査の中に「色素散布コントラスト法」があります。

インジゴカルミンを使用した胃カメラ検査は、「色素散布コントラスト法」に分類されます。

色素散布コントラスト法は、散布した色素が凹凸部分にたまる性質を利用して、粘膜表面の凹凸や色調の変化を強調して病変を見つける検査です。

2-1. 検査後の注意点

内視鏡検査でインジゴカルミンを使用した場合に、注意点があります。

インジゴカルミンを使用しても、特に人体には大きな影響はないとされていますが、検査後、唾液や便、尿が青色になるケースがあります。何も知らないと驚くかもしれませんが、検査後の一時的なものなので心配する必要はありません。

3. その他の色素内視鏡検査

胃カメラ

インジゴカルミンを使用した色素散布コントラスト法以外にも、色素液を使用した検査があります。検査をしたい部位や病変によって、使用する色素剤は異なります。

3-1. ヨード法

ヨード法は反応法の一種で、ルゴールとよばれる色素剤を使用する検査です。主に、食道がんの検査に使われます。

通常、ルゴールは褐色ですが、病変がない組織に散布すると、食道上皮のグリコーゲンと反応して黒褐色に変化します。しかし、食道上皮に異常がある場合、グリコーゲンの量が変化するため、褐色からあまり色が変わらなかったり、変色しなかったりします。

ヨード法

がん以外にも、炎症があるとルゴールが反応しないケースもあります。

ルゴールを使用したときは、注意が必要です。ルゴールは刺激性があるため、多少の胸の不快感を感じることがあります。その症状に個人差はありますが、数時間~1日続く場合があります。

4. 胃がんを早期発見した方が良い理由

癌

胃がんは早期発見されれば、治る可能性が高くなるといわれています。がんの進行度を示すステージは1~4に分類されており、数字の数が小さいほど進行度が低いことを意味します。

公益財団法人がん研究振興財団が発表した「がんの統計2022」によると、ステージ1の胃がん患者の5年生存率は95.9%だそうです。早期発見されれば、治癒できる可能性が高くなるということです。

5. 胃がんの初期症状

胃痛の男性

胃がんは早期の段階では、自覚症状はほとんどありません。しかし、胃がんが進行していくといくつかの症状が出現する場合があります。

代表的な症状は以下のとおりです。

・胃痛
・胃の不快感
・胃の違和感
・胸やけ
・吐き気
・食欲不振

これらの症状は胃がん特有のものではなく、胃炎や胃潰瘍などによっても引き起こされます。

また、胃がんの場合、かなりステージが進行しても、これらの自覚症状が出ないケースもあるため、注意が必要です。

進行性胃がん
*全く症状がないまま発見された進行胃がん

6. 胃がんを早期発見するためには?

レントゲン写真と医師

初期の胃がんは自覚症状がないため、胃に不快な症状が出現したときには、すでに進行している場合があります。胃がんを早期発見するために大切なのは、定期的に胃がん検診を受けることです。

胃がん検診には、いくつかの方法があります。

6-1. 胃X線検査

胃X線検査とは、レントゲン検査です。しかし骨などのレントゲン検査とは異なり、胃の場合は中身が空洞なため、造影剤と胃を膨らませる役割を持つ発泡剤を飲む必要があります。

発泡剤を飲むとゲップが出そうになりますが、正確な検査のためには我慢が必要です。また膨らませた胃の粘膜に造影剤が付着するように、検査時は仰向けやうつぶせ、左右など検査員の指示にしたがって、体を動かさなければいけません。

レントゲンで胃の内部を撮影するためには、前日の夜から、食事や飲み物の制限が必要です。

6-2. 胃カメラ検査

胃カメラ検査は、胃内視鏡検査と呼ばれており、小型の内視鏡カメラがついた細い管を口から挿入し、食道や胃、十二指腸を観察する検査です。口から入れる検査を経口内視鏡検査といいます。鼻から挿入する検査の場合は、経鼻内視鏡検査です。

どちらの検査も直接、カメラが捉える画像から、凹凸のある病変や出血などを確認していきます。

しかし、凹凸がほとんどない病変については、目で見ていても判断が付きにくいケースがあります。そういったときは、インジゴカルミンを使用して、判断が難しい病変を見逃すことなく、的確に検査を行います。

胃カメラ検査は、内視鏡を入れるときに痛みなどの苦痛を伴うため、鎮静剤を使用することがあります。そのため、薬剤アレルギーや持病がある方は、医師に事前に伝えておく必要があります。

また、胃カメラ検査を受けることへの不安から精神的負担が大きい方に関しても、鎮静剤を使用する医療機関があります。胃カメラ検査を行う際は、このような配慮をしてくれる医療機関で受けると、胃カメラ検査へのハードルが低くなるでしょう。

6-3. ピロリ菌の検査

ピロリ菌とは、胃の粘膜に生息するらせん形をした細菌です。胃の中は強い酸性なので、細菌は生息できません。しかしピロリ菌は、ウレアーゼという酵素を出して胃の中の尿素を分解するため、ピロリ菌の周辺が中和され、アルカリ性となり生息できているのです。

ピロリ菌の生息を確認するために、胃カメラ検査を行うわけではありませんが、胃カメラ検査がきっかけでピロリ菌が生息していることを知る方も多くいます。

胃カメラ検査では胃の内部を観察できるため、胃カメラ検査のタイミングでピロリ菌の感染が疑われる場合は、血液検査や組織検査などでピロリ菌の検査を行います。ピロリ菌が生息していると判明した場合は、服薬による除菌治療が行われます。

7. まとめ

検診イメージ

インジゴカルミンは、胃がんの早期発見・早期治療のために大切な役割を果たしている色素剤です。胃カメラ検査の際に、判断がしづらい小さな病変も見逃さないために、医師が使用する場合があります。

人体に大きな影響はありませんが、使用後は青い尿や便が出る場合があることを知っておくと安心ですね。

初期の胃がんには自覚症状はほとんどありませんが、早期治療を行えば、治る可能性が高い病気です。早期に胃がんを発見するためには、定期的な胃がん検診が大切です。

これまで胃カメラ検査を受けたことがないという方は、ぜひ胃カメラ検査を受けましょう。医療機関によっては、検査を受ける際の苦痛や不安を軽減してくれます。事前に医師に相談して、自分に合った医療機関で胃カメラ検査を受けましょう。

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