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Endoscopist Doctor's Knowledge
「宿便を出すと痩せる」「サプリメントや下剤で、腸内デトックスができる」という話を耳にし、宿便を出すために漢方薬やダイエット茶、サプリメントを継続して使用している方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ドラッグストアやインターネットサイトでも、ダイエットや宿便を排出するための数多くのサプリメントやお茶などさまざまな商品が販売されています。
宿便を出すと痩せると思われるかもしれませんが、実は宿便の排出を目的としたサプリメントや下剤では、宿便をすべて出すことはできません。
また、宿便を排出するためのサプリメントや下剤を継続して飲んでいる方の腸内は、本来の色とは異なり、真っ黒になっているケースが多くみられます。
長期間下剤を服用していると、下剤を服用しないとなかなか便が出ず、結果的に便秘が悪化したり、腹痛などさまざまな症状を引き起こす危険性もあります。
この記事では、宿便とはどのような便であるのか、継続的にサプリメントや下剤を服用する際の注意点について解説します。
宿便とは、大腸にある憩室(けいしつ)に詰まったり、腸内に残っている便です。憩室とは、食道や胃・十二指腸・小腸・大腸など消化管の壁に圧がかかり、消化管壁の一部が外側に突出したポケット状のくぼみです。イメージしやすいようにいうと、消化管壁にできた穴ぼこのようなものです。
宿便を排出するために、サプリメントや下剤を服用する方も多くいらっしゃいます。サプリメントや市販の下剤は排便を促すため、すっきり便が出たような感覚はありますが、実際には、腸内の便を全部出すことはできず、腸内に大量の便が残っているケースが多くみられます。
宿便が出ても痩せるわけではありません。宿便の排出を目的としたサプリメントや市販薬を飲めば、多少便が排出されたり、脱水気味になるので体重が減ります。しかし、ほとんどの場合、体内の水分が減り脱水気味になることで一時的に体重が減ったように感じるだけで、実際に痩せるわけではありません。
体重が減ると脂肪が減ったように思いますが、これらのサプリメントや市販薬では脂肪は減りません。商品によっては、脂肪を燃焼させる成分が多少配合されているものがありますが、その配合量はごくわずかであるため、内臓脂肪を減らす効果は期待できません。
ダイエットを目的としたサプリメントや市販薬の多くには、脂肪を燃焼させる成分はほとんど配合されておらず、一般的には以下のような下剤が配合されているケースが多くあります。
センナとは、アフリカ原産の生薬で、ヨーロッパでは古くから下剤として利用されています。センナの葉や実には、アントラキノンの一種の「センノシド」が含まれており、大腸に作用して便秘を解消する効果が期待できます。
センノシドは、便を柔らかくするのではなく、腸内のぜん動運動を活性化させ排便を促す作用があるので、弛緩性便秘(しかんせいべんぴ)の解消が目指せます。
大黄とはタデ科の多年草で、根茎の外皮を取り除き乾燥させたものが下剤として使用されています。便秘解消に使われており、その強い薬効から「将軍」と呼ばれる代表的な漢方薬です。
ダイエットが期待できるといわれる「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」にも、大黄が配合されているので、防風通聖散も下剤の一種といえるかもしれません。防風通聖散は医療機関の処方薬としても、市販薬としてもありますが、どちらにおいても大黄が入っているため、下剤と思ってよいでしょう。
サプリメントや市販薬に下剤が配合されているなら、それ以外のものであれば継続して使用してもいいのか気になる方も多いと思います。
昔から体によいといわれているアロエを煎じて飲んでいる方もいますが、実はアロエも注意が必要です。アロエを飲んでいると快便で、元気になると話される方もいます。しかし、アロエも下剤の一種と考えられます。
アロエで快便になっているのは、下痢になっているからです。実はアロエを継続的に摂取している方の腸内には便が残っており、その便が増えて腸の動きが悪くなるという悪循環になるケースも少なくありません。
宿便を排出させるサプリメントや下剤を服用している方の腸内は、真っ黒になっていたり、腸内に炎症があったりといくつかの特徴があります。
大腸メラノーシスとは、本来ピンク色をしている大腸の粘膜に色素が沈着して黒っぽくなった状態をいいます。センナや大黄などの刺激性の下剤を長期にわたり飲み続けた方に多くみられる症状です。
大腸メラノーシスは、メラニン色素による色素沈着ではなく、リポフスチンと呼ばれる物質によって起こります。
刺激性の下剤を長期間服用すると下剤に対して耐性がつき、腸が黒くなり動きも悪くなり、下剤の量を増やさないと便が出にくくなります。
①便が出ない
②下剤の量が増加
③大腸メラノーシスが悪化
④排便が困難
⑤腸の神経の動きが悪化
⑥排便がさらに困難な状況
⑦お腹が張る
⑧浣腸
上記のような悪循環になりかねません。
便秘を引き起こす大腸メラノーシスは病気ではありませんが、便秘は大腸がんの原因の一つでもあるため大腸メラノーシスの改善が必要です。
虚血性大腸炎は、なんらかの原因で大腸の細い血管に血流障害が起きて、大腸に炎症が生じ、腹痛や血便が起こる病気です。虚血性大腸炎の約8割は、下行結腸(かこうけっちょう)に発症します。
虚血性大腸炎の一番の原因は、脱水ですが、生活習慣の乱れなどが原因で起こる高血圧や糖尿病、慢性的な便秘なども関連しています。便秘が続くと、大腸の粘膜への血流が低下し、腹痛や下痢を引き起こします。頻回に下痢でトイレに行っても、またトイレに行きたくなり、激しい腹痛と多量の血便から救急車を呼ぶ方も少なくありません。
大腸カメラを行うと、腸壁に便がへばりついていることが多く、粘膜には発赤(ほっせき)や浮腫・びらん・潰瘍が認められるケースが多くあります。
S状結腸軸捻転症は、大腸内のS状結腸が腸間膜(ちょうかんまく)を軸として、根本から捻れてしまい、便が通過しにくくなり通過障害を引き起こす病気です。
お腹の張りや痛みなどの症状が出ます。S状結腸が長いことや、長期間の便秘が原因と考えられています。
大腸メラノーシスは、便通を改善し下剤を服用しないようになると、半年ほどで改善します。
大腸メラノーシスの患者さんが、生活習慣を改善し下剤の服用をやめて1年経過後、大腸カメラ検査をすると、腸内がきれいなピンク色に戻っているケースも多くあります。
宿便が排出できるといわれているサプリメントや市販薬を継続的に服用していると、大腸メラノーシスの改善は難しいのが現状です。最初はつらいかもしれませんが、なるべく下剤に頼ることなく、便通を改善することが大腸メラノーシスを治すためには大切です。
宿便を排出できる・痩せるといわれているサプリメントや市販薬を服用すると、すっきり便が出ているような感じがするかもしれませんが、実際は腸内に便が残っています。
これらのサプリメントや下剤を服用していると、一時的に体重は減りますが、そのほとんどは、体内の水分であったり排便されたことによるものです。脂肪が燃焼して痩せたわけではないので、注意が必要です。
さらに服用を長期間続けると、大腸メラノーシスや虚血性大腸炎などさまざまな腸の不調を引き起こします。また、下剤を服用しないと排便ができず、下剤の量が増えたり、慢性的な便秘になったりと悪循環を招きます。
腸内の便を空っぽにするためには、大腸カメラ検査を受けるようにしましょう。大腸カメラ検査の下剤は、憩室に入っている便以外は、すべて排出できます。そのため、腸内をリセットできるといえます。
大腸カメラ検査は、大腸がんや大腸ポリープの早期発見に大切な検査です。大腸がんは食生活の変化によって、日本でも増加傾向にあります。大腸がんは、早期発見・早期治療によって、死亡率を低下させられます。
健康な毎日を送るためには、生活習慣の見直しや健康診断が大切です。大腸カメラ検査も現在では鎮痛剤の使用などにより、検査による身体的・精神的な負担を軽減できるようになっています。
ぜひ、定期的に大腸カメラ検査を受けて、腸の健康を守りましょう。
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