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おすすめ内視鏡豆知識
Endoscopist Doctor's Knowledge
最近、日本で増加傾向にあるのが「大腸がん」です。
実は、大腸がんは予防できる病気です。
そして、ほかのがんと同様、早期発見、早期治療できれば大腸がんになっても長生きできる可能性があります。
最近では、男性はおよそ11人に1人、女性はおよそ13人に1人が、一生のうちに大腸がんになるという報告があります。がんによる死亡数でも胃がんを抜いて第1位(2位は肺がん)になりました。大腸がんは女性のがんによる死亡数の第1位です。
また、がんの中で大腸がんにかかる人(罹患数)が一番多くなっています。
大腸がんは、大腸(結腸+直腸)にできる悪性腫瘍です。発生する部位によって、結腸がん(盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)と直腸がんに分かれます。S状結腸がんと直腸がんが多くなっています。
良性のポリープの一部ががん化して発生する大腸がんが一番多くなっています。割合は少ないのですが、正常粘膜から直接発生する大腸がんもあります。最近では一部の非腫瘍性の「過形成性ポリープ」と言われるポリープからのがん化もあることがわかってきました。
大腸がんは次第に大腸の壁に深く侵入(浸潤)し進行していきます。粘膜下層までのがんは、「早期大腸がん」と分類されますが、それより深く侵入すると「進行大腸がん」と分類されます。進行していく過程で大腸の壁の外まで広がり、がん細胞がまき散らされたり、あるいは大腸の壁の中のリンパ液の流れに乗ってリンパ節に転移したり、血液の流れにのって肝臓、肺など別臓器に転移したりします。
大腸がんが心配だけど、何歳から心配すれば良いのか?心配ですよね。
基本的に市区町村の大腸がん検診では、「便潜血検査」が行われており、「40歳以上」が対象となっています。
40歳以上にがんが増加傾向にあるため、40歳からとなっていますが20歳代、30歳代で大腸がんにならないわけではありません。
そして、これはあくまでも市区町村の無料検診として行われているものであり、40歳以上しか大腸がんの検査を受けてはいけないというわけではありません。
また、検診というのは無症状の健康な人を対象としたものであり、すでに便秘、下痢、腹痛、腹部膨満感、血便などがある方は大腸カメラを検討しましょう。
当院では20歳代の大腸がんはまだいませんが、30歳代の大腸がんは数年に1人いらっしゃいます。人によっては「そんなに稀なら私は大丈夫!!」と思う方もいるかも知れませんし、「私がその1人になったらどうしよう!!!!!!!!!」 と思う方もいるかも知れません。
30歳代の大腸がんの方はほぼ無症状で、たまたま受けた会社の健康診断に便潜血検査が含まれており、陽性となり受診されました。
*大腸がんが発見されてから2年間治療されましたが、大腸がんが原因で亡くなりました。
初期の大腸がんでは、症状がない場合が多いです。直腸がんなど肛門に近いほど血便に気づくことがあります。
大腸がんが大きくなり、進行するにつれて症状が少しずつ出現します。ほとんど症状がでないため、症状が出てから大腸カメラ検査をして進行がんで発見される場合も少なくありません。
次のような症状があれば、特に要注意です。
・血便:赤い血液、赤黒い血液が便に付着、ペーパーに付着、便器に付着など
・便通異常:下痢と便秘の繰り返し、便が細い、便が残る感じ、便の量が少ない
・腹部症状:腹痛、おなかが張る、しこりが触れる
・原因不明の貧血:出血源がわからない貧血の場合は大腸がんを疑います。血便のように見た目ではわからない量の出血が持続することで貧血になります。
・原因不明の体重減少;ダイエットをしているつもりがないのに体重がどんどん減る場合は悪性腫瘍の可能性があります。全身の検索が必要になります。
大腸がんの検査には、「便潜血検査」、「大腸カメラ検査」、「大腸CT検査」、「PET検査」、「カプセル内視鏡検査」などです。
一番行われているのは、便潜血検査です。
*詳細は、こちらをご覧ください。
当院では、上記の「大腸がんの症状は?」の項目でお話したようにあまり症状がでないため、積極的に大腸カメラ検査を受けることをお勧めしています。
大腸カメラ検査は内視鏡を肛門から挿入して、全大腸を観察します。病変があった場合は、生検や内視鏡治療がその場で行えます。メリットは直接観察できるため、診断が迅速にでき、またその場で治療ができることです。デメリットは便潜血検査に比べて、費用が掛かること、病院受診をしなければいけないこと、わずかですが合併症があることです。
*当院の大腸内視鏡検査の特徴はこちら
大腸がんの治療は、「内視鏡治療」「外科的治療」「抗がん剤治療」に主に分かれます。
●内視鏡治療
大きさや形によって、治療法が異なります。
当院では、日帰りでのポリペクミー、EMR(内視鏡的粘膜切除術)が可能です。
ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)は基本的に入院が必要となり、専門施設での治療となります。
写真①は当院で日帰り内視鏡治療が可能であった「早期大腸がん」です。日帰り内視鏡治療で完治しました。
*写真➀
写真②のポリープはサイズが大きかったため、入院してESDが行われました(早期大腸がんでした)。ESDで完治しました。
*写真②
写真③は肛門にかかる病変であり、専門施設でまずESDが行われましたが粘膜下層深部浸潤がんであったため、後日に外科的手術が行われました。
*写真③
写真④は当院でEMRしましたが、病理で粘膜下層深部浸潤がんでありリンパ節転移、他臓器転移のリスクがあるため、後日に外科的手術が行われました。
*写真④
●外科的手術
写真⑤は見た目ですぐに進行がんとわかるため、内視鏡治療の適応外です。
専門施設で外科的手術が行われました。
一部の進行がん症例では、追加で抗がん剤治療が必要となります。
*写真⑤
●抗がん剤治療
手術で全部のがんを取り除いた場合でも、再発の可能性があります。再発を防ぐために、手術後に抗がん剤を使用する術後補助化学療法を行うことがあります。
術後補助化学療法が推奨されるのは、ステージⅢの患者さんですが、一部の再発の可能性が高いと判断されたステージⅡの患者さんでも考慮されます。
治療法にはいくつかあり、患者さんのがんのステージや病理組織、年齢やライフスタイルなど様々な因子を考慮して最適な治療法が選択されます。
術後補助化学療法により十分な再発予防効果を得るために、通常6ヵ月間の治療が推奨されています。
入院や定期的な外来通院が必要となります。
外科的治療になるような進行がんでは、外科手術に続いて抗がん剤治療を行う場合もあります。その時は、さらに通院、入院を必要とし、プラスで数十万円の医療費がかかります。
身体的負担、精神的負担、金銭的負担などを考慮すると、日帰りで治療できる内視鏡治療で完治する早期大腸がん(写真①)のうちに発見することが重要です。
大腸がんは最近増加傾向です。進行してしまうと命を落とす危険があります。
しかし、早期発見早期治療を行うことで完治ができます。
症状がある場合、便潜血検査で陽性になった場合は大腸内視鏡検査を受けましょう。
当院では、「安全に苦しさと痛みに配慮した内視鏡検査を提供する」「見逃しのない高精度な観察を行う」をモットーに大腸内視鏡検査を行っています。
これまで培ってきた経験を活かして、高精度な内視鏡検査、治療を行うように努めています。消化器内視鏡学会の専門医である医師が、どのような内視鏡操作を行えば苦しさと痛みに配慮した大腸内視鏡検査になるのかを熟知しています。安心してお受けください。
そして個々の患者さんに最適な種類の鎮静剤を、最適な量を投与して検査をしています。
まずはお気軽にご相談ください。