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おすすめ内視鏡豆知識
Endoscopist Doctor's Knowledge
「食べ物がつかえる感じがする」
「食べ物を食べているときに、これまで感じたことのない違和感がある」
「胸焼けがする」
このような症状が長期間続く方は、食道がんのリスクがあるかもしれません。初期の食道がんは自覚症状がほとんどないため、症状がある場合は食道がんが進行しているケースも多くあります。
近年、食の欧米化や生活習慣の乱れなどによって、食道がんも増加傾向にあります。食道がんの早期発見・早期治療には、定期的に胃カメラ検査を受けることが大切です。胃カメラと呼ばれますが、食道も観察できます。
また、より精度の高い胃カメラ検査を受けるためには、胃カメラ検査をどのような医療機関で受けるかも重要となります。
この記事では食道がんの原因や症状、治療法について解説します。
食道がんとは、食道にできる悪性腫瘍です。国立がん研究センターが発表したがん統計によると、2018年に食道がんと診断された数は25,920例で、そのうち男性が21,353例、女性が4,566例です。
2020年の食道がんの死亡数は、男性が8,978人、女性が2,003人、合計10,981人、2009年~2011年の5年相対生存率は男性が40.6%、女性が45.9%、全体で41.5%と発表されました。
食道とは、咽頭と胃をつなぐ管状の臓器です。食道は、口に近いほうから「頸部食道」「胸部食道」「腹部食道」と呼ばれており、周囲には気管や心臓・大動脈・肺などの臓器と背骨に囲まれています。
食道の役割は、粘膜から粘液を出しながら、食道と胃のつなぎ目にある下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)とよばれる筋肉が食道の壁を動かし、口から食べたものを胃にスムーズに送ることで、消化機能はありません。また、胃の中の食べ物が逆流しないような構造になっています。
食道の壁は、食道の内側から順に以下の5つの層から構成されています。
・粘膜上皮(ねんまくじょうひ)
・粘膜固有層(ねんまくこゆうそう)
・粘膜筋板(ねんまくきんばん)
・粘膜下層(ねんまくかそう)
・固有筋層(こゆうきんそう)
粘膜上皮・粘膜固有層・粘膜筋板は、まとめて粘膜とよばれており、固有筋層は外膜に覆われています。
食道がんは食道に悪性腫瘍ができる病気で、転移しやすいがんです。食道がんに罹患する男女比は約6:1と男性に多く、60歳代〜70歳代で好発する傾向があります。
日本では食道がんの約半数が、食道の中央部分である胸部食道にできるケースが多く、その次に多いのがもっとも胃に近い部分にあたる腹部食道です。
食道がんは、食道の粘膜の表面からでき、粘膜の下層まで浸潤しているものを表在食道がん(ひょうざいしょくどうがん)、腫瘍が粘膜内にとどまっており、転移のない場合は早期食道がん、粘膜下層よりも深く浸潤すると進行食道がんと分類されます。
食道の粘膜からできたがん細胞は、徐々に粘膜の深い部分へと広がり、気管や大動脈など周囲の臓器にまで広がっていきます。これを浸潤(しんじゅん)といいます。また、リンパ管や血管にがん細胞が侵入すると、リンパ液や血液とともに全身に流れていき、肺やリンパ節・肝臓などその他の臓器へと転移するケースも少なくありません。
食道がんの主な原因は、飲酒と喫煙です。日本では食道がんの約90%以上が粘膜の表面にできる扁平上皮がん(へんぺいじょうひがん)です。扁平上皮がんは、飲酒と喫煙がもっとも重要な危険因子とされているので、食道がんと強い関係性があるといえるでしょう。
早期食道がんは、嘔吐や何かが詰まっているような感じがするなどの自覚症状がほとんどありません。そのため、自覚症状がある場合は、すでに食道がんが進行しているケースも多くあります。
食事の際に食べ物が詰まりやすいからと水で流し込んでいる方は、原因不明の食道の機能異常である食道アカラシアのケースもありますが、このような症状がある場合、食道がんが進行しているケースが多いです。
食道がんが進行するにつれて、以下のような症状が出現します。
飲食物を食べたり飲んだりしたときに胸の奥がチクチクと痛み、熱いものを飲み込んだときにしみるといった違和感を覚えるケースがあります。これらの症状は一時的に消失する場合もありますが、このような症状がある場合は注意が必要です。
がんが進行して大きくなると、食道の内側が狭くなります。そうなると、飲食物が喉につかえているような感じがあったり、実際に飲食物がつかえて、軟らかいものしか食べられなくなったりします。
また飲み込みづらさから食べ物を水で流し込んでいる場合も、食道がんが進行しているリスクが高くなります。
さらにがんが大きくなると食道を塞いでしまい、水も唾液も飲み込めなくなります。飲食物を飲み込めなくなると、当然固形物も喉を通らなくなるので、食事量が減り体重が減少していきます。
3か月間に体重が5キロ〜6キロ減少した場合は、注意が必要です。
がんがさらに進行すると、食道の壁を侵食し周囲にある肺や背骨・大動脈などに広がっていきます。がん細胞が広がってしまうと、食道周辺の胸や背中に痛みを感じます。
また、がん細胞が気管や気管支に転移すると咳がでます。
その他にも食道のすぐそばに声を調整する神経があるため、この神経ががんに侵されると声がかすれます。声がかすれると耳鼻咽喉科を受診する方も多いと思いますが、咽頭そのものには腫瘍や炎症が見られないため、見落としのリスクが考えられます。
食道がんは早期の場合、自覚症状がないため、早期発見・早期治療を行うためには、胃カメラ検査が大切です。胃カメラ検査が、食道がんの早期発見の重要なポイントといえます。
早期で食道がんが発見される方は、食道がんを疑って検査をするのではなく、他の病気の疑いがあり胃カメラ検査をしたときに偶然見つかるケースが多くあります。
また胃カメラ検査の中でも、NBI機能を搭載した高画質の胃カメラ検査を受けるのが望ましいです。
NBIとは、日本語で狭帯域光観察といいます。NBIは最新の内視鏡技術で、2つの短い波長の光によって、粘膜の細かな表面の様子や毛細血管をくっきりと映し出す技術です。
がん細胞があると、その周囲の正常な粘膜の表面にある模様や毛細血管との違いが浮かび上がって見えるので、これまでNBIがないときに見逃されていた病変を発見できるのです。
特に咽頭がんや喉頭がん・食道がんはこれまで見つけにくいとされていたため、これらの早期がんの発見に欠かせない技術となっています。
自覚症状があって胃カメラ検査を受けた結果、良性の場合は原因不明の食道の機能異常である「食道アカラシア」のケースもまれにあります。しかし、食道がんが発見されることも少なくありません。
診断がついたときには、すでに食道がんのステージ4で手術ができず抗がん剤や放射線治療をしても命を落としてしまうというケースも少なくありません。
高画質の胃カメラ検査とNBIを併用することで、食道がんを早期発見ができれば、30分から1時間程度の内視鏡手術で治療ができ、抗がん剤や放射線治療の必要がない場合もあります。
食道がんは早期の場合、自覚症状はありません。そのため、食べ物がつかえる感じや違和感があったときには、進行している場合が多いです。
食道がんに限らず、がんは早期発見・早期治療が基本です。食道がんは見逃されやすいがんの一つであることから、早期発見・早期治療するためには、NBIを搭載した胃カメラ検査が重要なポイントとなります。
胃カメラ検査は、苦しくてつらいといったイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、胃カメラ検査は適切な鎮静剤を使用することで、身体的・精神的な負担を軽減できます。
胃カメラ検査を楽に受け、そして正確な診断を得るためには、医療機関の設備や実績などを調べておくと良いでしょう。胃カメラ検査と一括りに言っても、医療機関によって処置や鎮静剤の使用などは異なります。
健康的な毎日を送るためには、定期的な検診が大切です。食道がんの早期発見・早期治療のために、定期的に胃カメラ検査を受けましょう。
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