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おすすめ内視鏡豆知識
Endoscopist Doctor's Knowledge
一般的に大腸がん検診は、便潜血検査です。便に潜血(血液が微量に混ざっている)が確認された場合、大腸内視鏡検査を行い、大腸ポリープや大腸がんがないか調べます。
もし大腸ポリープが発見されたら、がんになっていないかやどんな治療が行われるのか不安になるのではないでしょうか?
大腸ポリープは、大きさや状態によって治療法が異なります。切除する場合、内視鏡で治療ができるのか、それとも外科的手術が必要なのか気になるのではないしょうか?
近年、食生活の変化などにより、日本人の大腸がんの罹患率は上昇しているのが現状です。
今回は、身近な病気になりつつある大腸ポリープが内視鏡で治療できるのかを詳しく解説します。
大腸ポリープには大きく分けて2つの種類があります。がん化するリスクが高い「腫瘍性ポリープ」と、がんになるリスクが低い「非腫瘍性ポリープ」です。最近では「非腫瘍性ポリープ」でもがん化のリスクがあることがわかってきました。
がん化のリスクがあると判断された場合は切除の適応となります。多くの大腸ポリープは、内視鏡で切除できます。大腸ポリープや大腸がんの切除には外科的手術もありますが、内視鏡による治療と比べると身体的にも精神的にも負担が大きいため、内視鏡治療が可能な場合は内視鏡治療が優先されます。
大腸ポリープの内視鏡治療法にはいくつかの種類がありますが、代表的なものは3つです。どの治療法が適切であるかは、大腸ポリープの病変の形や大きさによって判断されます。
ポリペクトミーは、小さな平坦なポリープや隆起したポリープの切除時に行われます。「スネア」と呼ばれる高周波電流が流れるリング状の細いワイヤーを使用します。そのスネアを大腸ポリープの根元に引っ掛けてギュッと締め付け、高周波電流でポリープを焼き切るのです。
ポリペクトミーは高周波電流で焼き切って切除しますが、高周波を使用せず、そのままスネアを引っ掛けて切除する「コールドポリペクトミー」という方法もあります。コールドポリペクトミーは、内視鏡治療の中でも特に安全といわれていますが、がんを疑わない15mm未満のポリープに適応されることが多いです。
EMRは主に茎のない平坦もしくは隆起した形をしている大腸ポリープの切除時に行われます。ポリープのある粘膜の下に、生理食塩水などの薬剤を注入して、ポリープを浮き上がらせます。浮き上がった部分の根元にポリペクトミーと同じようにスネアを引っ掛け、少しずつワイヤーを締めて高周波電流を流し、焼き切る方法です。
EMRは短時間で治療でき外来での治療も可能ですが、比較的大きなポリープを切除するのは難しいため、ポリープを分割して切除する必要があります。ただし、分割して切除すると、ポリープの一部を取り残してしまうなどのリスクがあるので、基本的にはポリープの大きさが20mm以下のポリープを対象としています。
ESDは大きなポリープや薬剤でポリープが浮き上がらない場合に行われます。ESDは、電気メスを使用して切除する方法です。
最初に切除するポリープ周辺の粘膜にマーキングします。マーキング後、切除する部分の粘膜の下に生理食塩水やヒアルロン酸ナトリウムなどの薬剤を注入して、ポリープを浮き上がらせます。浮き上がった粘膜ごと病変と一緒に電気メスで剥離するように切除します。
EMRで対応できないような大きなポリープも切除できますが、EMRと比較すると熟練した医師の技術が必要で、治療時間がやや長くなる治療法です。基本的には入院治療となります。
すべての大腸ポリープや大腸がんが内視鏡治療の適応とは限りません。一般的に「良性のポリープ」「リンパ節への転移の可能性がほとんどなく、内視鏡を使って一括で切除できるがん」が適応とされています。
がん化する前の大腸ポリープやがんであっても粘膜だけにがんがとどまっている場合は、リンパ節へ転移しているリスクはないため、切除すれば完治が可能です。
しかし、大腸内視鏡検査を行った際に見た目ですぐにがんが粘膜下層の深くまで浸潤していると判断できる場合は、リンパ節まで転移している恐れがあるので、大腸の一部と周囲のリンパ節の切除が必要です。このような場合は、外科的手術が検討されます。
一般的に安全といわれる内視鏡治療ですが、ごくまれに「偶発症(ぐうはつしょう)」を発症することがあります。偶発症とは、医療上の検査や治療の際にある一定の割合で偶然生じる症状をいいます。
内視鏡治療における偶発症の代表的なものは、大きく3つあります。
大腸の内視鏡治療でもっとも多いのが出血です。ポリープの切除中や切除直後に出血する場合もあれば、治療後から数時間後もしくは1週間後などに起こる場合もあります。出血すると止血するための処置が必要です。処置の方法はさまざまですが、ほとんどの場合、内視鏡で止血が可能です。
穿孔とは大腸の壁に穴があいてしまうことです。ポリープを切除する際に、まれに穴があいてしまうことがあるのですが、切除中にあいた小さな穴であれば、すぐに穴をふさぐ処置が行われます。
穴があいたままだと、便などが漏れ出て腹膜炎を引き起こし、手術が必要となることがあります。穴をふさいだあとは、数日間の絶食や抗菌薬の点滴投与が行われます。
出血や穿孔だけではなく、数日間発熱したり、痛みを伴ったりする場合があります。
大腸ポリープの大きさや状態によって、行われる内視鏡治療の方法は異なります。日帰りや1泊入院、数日の入院など治療にかかる期間も異なります。しかし、どの方法であっても内視鏡治療を行った場合は、1週間程度は出血などの偶発症を発症する恐れがあるので、なるべく腹圧がかからないように意識して安静に過ごすようにしましょう。
・スポーツ
・ジョギング
・サウナ
・温泉
・遠くへの旅行、出張
上記のような行動は、体にかかる負担も大きく、腹圧がかかる恐れがあります。遠い場所にいるといざとなったときに対応できない場合があります。
また、食べ物にも注意が必要です。
・アルコール
・香辛料など刺激の強いもの
・脂っこいもの
上記のような食べ物は控えるようにして、治療後1週間程度は胃腸にやさしい食事を心がけましょう。
大腸ポリープの多くは、自覚症状はありません。特に小さなポリープの場合は、無症状でありポリープができていることに自分で気づくことは難しいのが現状です。
しかし、なかには自覚症状を感じて受診される方もいます。大腸ポリープの場所が肛門近くの場合、血便が出たり、粘液のようなものが便に付着したりします。
大腸ポリープはそのままにしておくと大腸がんになるものもあるため、早期発見が大切です。自覚症状を感じにくいため、定期的に便潜血検査や大腸内視鏡検査などを受けることで、早期に大腸ポリープやがんを見つけられます。
また定期的な検査だけではなく、日頃から大腸ポリープやがんの発生リスクを下げるために生活習慣や食生活を改善するようにしましょう。
大腸がんの危険因子とされているものは以下のものです。
・過度のアルコール
・赤身肉
・喫煙
・野菜などの繊維質の不足
・過体重
・運動不足
できることからはじめて、大腸ポリープやがんの予防を心がけましょう。
大腸ポリープやがんの早期発見には、大腸内視鏡検査を定期的に受けるようにしましょう。また、大腸ポリープが見つかった場合は、検査や治療方針についてしっかり相談できる専門医に相談することが大切です。
大腸ポリープの病変によって、治療法は異なります。特に自覚症状がない大腸ポリープやがんの場合は、経験豊富な医師に診断してもらい、適切な治療を受けることが重要です。
大腸ポリープが心配、大腸内視鏡検査をこれまで受けたことがないという方は、まずは専門医のいる医療機関を受診し、気になることを相談してみましょう。
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