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Endoscopist Doctor's Knowledge
喉の違和感によって「もしかしたら食道がんかもしれない」と不安を覚えている方もいるのではないでしょうか?実は、喉の違和感や異物感、痛みに悩んでいる方は意外に多くいらっしゃいます。長引く症状で生活に支障をきたすケースもあります。
喉に違和感がある場合、実は胃酸の逆流が食道だけではなく咽頭にまで到達しているかもしれません。
喉の違和感がどのようにして起こるのか、また、喉の違和感や異物感を解消するための治療薬について解説します。
違和感や痛みは、その方にしかわからない感覚です。違和感以外にも異物感や食べ物のつかえ感を覚えている方もいます。また、「喉に何かがひっかかっている」と訴えるケースもあります。
喉(咽頭)の違和感や異物感は、実は逆流性食道炎に関連している症状の可能性が高いです。
私たちの体は、口から咽頭、食道入口部、食道、胃と消化器が続きます。逆流性食道炎は、胃酸が胃の入口である噴門部から食道のつなぎ目に逆流することで起こる病気です。
胃酸が逆流することで起こる主な症状が胸やけですが、さらに食道や食道入口部まではい上がってくると、咽頭の異物感やひっかかり、違和感の症状が出ます。
まずは胃カメラ検査で実際に咽頭がん、食道がんなどの悪性の腫瘍性病変がないこと、逆流性食道炎が起きているかを確認することが重要ですが、胃酸逆流症状のある方が実際に胃カメラ検査を受けても4割位の方しか胃と食道のつなぎ目に発赤を伴うような逆流性食道炎を認めません。6割の方が症状のみ、つまり非びらん性の胃食道逆流症と考えられています。ただし、胃酸が食道や食道入口部まではい上がってくるかを直接確認するpHモニタリング検査があります。
pHモニタリング検査とは、細いチューブを食道から胃にかけて挿入し、食道内のpHをセンサーを用いて直接測定することで胃酸の逆流の有無を確認する検査方法です。胃酸の逆流だけではなく、食道の圧力も測定できます。
食道の圧力を測定することは、食道の運動機能が把握でき、実際にどの程度胃酸が逆流しているかを明確にできます。pHモニタリング検査によって、食道ではなく喉まで胃酸がはい上がっていることも確認できます。
胃酸が食道や喉まで逆流していれば、胃酸の刺激によって粘膜が障害されていると判断できます。
しかし、逆流が確認されても、実際に胃カメラで咽頭や食道の粘膜を観察すると赤みや異変、病変が見られないことがあります。では、なぜ喉の違和感を訴えるのでしょうか?実は、これは食道の知覚過敏なのです。
「知覚過敏」と聞くと、歯の症状を思い浮かべる方も多いかと思いますが、食道にも知覚過敏があります。喉の異物感や違和感を生み出している原因と考えられています。
食道知覚過敏の症状を理解しておくと、喉の違和感の原因を明確にするヒントになるかもしれません。
食道知覚過敏は、少ない胃酸に対して食道が敏感になり、胸やけや違和感などを覚えます。
少量の胃酸の逆流が食道粘膜まで達することをくり返すと、炎症にもならない少量の胃酸の逆流に対して実際の10倍以上の異物感や違和感として、強い症状を感じるようになります。
食道に知覚過敏が起きているのかを確認するには、胃カメラでは診断できないためpHモニタリング検査が重要になります。
また胃酸が、食道や食道入口部ではなく口腔内まで逆流するケースがあります。その場合は、口の中に酸っぱさを感じます。
食道知覚過敏がある場合には、まずは逆流性食道炎に準じて胃酸をしっかり抑える薬を服用することから治療がスタートします。胃酸の逆流を抑制すると、多くのケースで喉の違和感や痛みは解消されます。
胃酸の分泌を強力に抑制する薬には、PPIとP-CABがあります。
PPIとは、プロトンポンプ阻害薬のことです。胃酸分泌を行うプロトンポンプの働きを阻害し、胃酸の分泌を抑えます。効果を発揮するのに数日かかります。PPIには、エソメプラゾール(商品名ネキシウム)、ランソプラゾール(タケプロン)、ラベプラゾール(パリエット)、オメプラゾール(オメプラール)があります。ランソプラゾール、ラベプラゾール、オメプラゾールにはジェネリック医薬品が多数発売されています。
P-CABとは、カリウムイオン競合型酸ブロッカーのことです。P-CABもPPIと同じように胃酸分泌を抑える効果があります。PPIに比べ、P-CABは数時間で効果を発揮するので、症状や症状の出るタイミングによって、PPIとP-CABを使い分けます。現在P-CABは、ボノプラザン(商品名タケキャブ)しかありません。
PPIやP-CABを服用しても症状が治まらないケースでは、精神的な問題まで考え治療が必要になります。不安が強いことで症状が出ている場合は、向精神薬の処方を考えなければならないケースもあるのです。
胃酸を抑え食道や食道入口部への逆流がなくなっても、喉の違和感や異物感が消えないケースがあります。
心理的・精神的要因によって炎症や腫瘍などがないにもかかわらず喉の違和感を覚えるときに疑う疾患は下記の2つです。
・咽喉頭神経症
・咽喉頭異常感症
咽喉頭異常感症は、ヒステリー球とも呼ばれることがあり、ストレスなどが原因で喉の違和感が生じやすくなることがわかっています。また、咽喉頭神経症も、神経的な働きに症状が現れます。
ただし、詳細なメカニズムが明らかになっていないため、治療方法や症状はかかりつけ医と相談し、進めるケースが多くみられます。
まじめ、責任感が強いなど比較的ストレスをため込みやすい方が咽喉頭神経症になりやすいようです。
咽喉頭神経症・咽喉頭異常感症は、実際に咽頭や食道に炎症や異物がないにもかかわらず、違和感や異物感などの症状があります。
治療薬として「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」という漢方があります。
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)は、気分が塞ぐ、咽喉・食道部に異物感がある、動悸、めまい、嘔気の症状がある場合に処方され、精神的なことから起こる症状の緩和が期待できます。
それでも症状が治まらない場合には、マルファやマーロックスなどの液体の薬を使用します。マルファやマーロックスなどは、食道粘膜に付着し胃酸の中和作用により胃酸の刺激から直接粘膜を守ります。
食道知覚過敏や咽喉頭神経症、咽喉頭異常感症である場合は、喉の違和感を長い期間覚えているケースがほとんどです。期間にすると、数か月前、数年前から悩んでいるという方もいます。
数日前から喉の違和感や痛みがある場合は、物理的な刺激により食道粘膜が傷ついている場合が多いです。魚の骨が食道に刺さったことによるものは、小さい骨が原因によるものであれば1週間ほど経過すれば痛みも違和感も解消します。
「喉の違和感だけで」と受診を躊躇せず、消化器内科で相談してみることが解決につながるかもしれません。もし、長い間喉に違和感がある場合には受診しましょう。
喉の痛みや違和感があることから、多くの方が耳鼻科を受診します。しかし、耳鼻科を受診し喉頭鏡検査を受けても異常や病変が発見されないケースがほとんどです。
耳鼻科医によっては、喉頭鏡検査で異常が見られない場合に「食道への胃酸の逆流」を疑われて消化器内科への受診をすすめる場合があります。
もし「異常なし」と診断され助言もないまま喉の違和感が残っている場合は、消化器内科の受診をおすすめします。
喉の違和感や異物感を訴える患者さまに対して、消化器内科医は真っ先に食道への胃酸逆流を疑います。それと同時に、咽頭がんや食道がんがないことを確認します。特に食道入口部に、炎症やがんがないかがポイントになります。
咽頭がんや食道がんを確認するためには、胃カメラ検査を行うのが一般的です。胃カメラ検査でがんが発見されなければ、胃酸や腸液の逆流によるものと推測します。
喉の違和感・異物感で注意したいのは、錠剤のような小さなものも飲み込めない、飲んでも吐いてしまうなどの症状です。咽頭や食道は、細い管のような組織です。がんなどの異物があると、小さなものの飲み込みも困難になります。
食べ物や飲み物の飲み込みがしづらい、または飲み込めない場合には、消化器内科を受診し、精密検査を受けるようにしましょう。
喉に違和感がある場合には、胃酸が食道や咽頭、口腔内まで逆流していることが関連しています。
炎症が起きない程度の少量の胃酸逆流でも、食道知覚過敏によって、症状を強く感じるケースもあります。また刺激がないにもかかわらず症状が強い場合には、咽喉頭神経症、咽喉頭異常感症の恐れがあります。
食道知覚過敏は、内服薬により胃酸をしっかり抑えることで解決する場合が多いですが、咽喉頭神経症や咽喉頭異常感症のように不安からくる症状の場合は、精神的な治療が必要になるケースもあるのです。
喉の違和感を訴えている方の多くは、数か月から数年単位で症状があります。耳鼻科を受診しても、原因不明と言われてしまえばさらに不安が強くなり症状の悪化も懸念されます。
喉に違和感がある方は、ぜひ消化器内科を受診し相談してみてください。胃カメラ検査を含めた精査と、症状緩和のための内服薬の調整で症状が緩和することが期待されます。
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