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おすすめ内視鏡豆知識
Endoscopist Doctor's Knowledge
魚の小骨がのどに刺さったときに、「ご飯を丸のみして押し流せばいい」と聞いたことはありませんか?もしかすると、過去に魚の小骨がのどに刺さってご飯を丸のみして、骨が取れたという経験をされた方もいるかもしれません。
また、小骨なら取れると思い、無理に指で取り除こうとしたりしていませんか?
魚の小骨といっても大きさはさまざまですが、重要なのは小骨が刺さって食道の壁を突き破っているかいないかです。魚の骨がのどや食道に刺さると、場合によっては命に関わるケースもあります。
医学的観点からの対応としては、経過観察をして、のどに違和感や痛みが長期的に残り治らない場合には医療機関を受診することを考慮してください。
今回は、魚の小骨がのどに刺さるリスクについて解説します。
咽頭異物とは、のどに魚の骨などが刺さったり取れなくなったりした状態です。
特に魚の小骨が刺さりやすい部位は、口蓋扁桃(こうがいへんとう)です。口蓋扁桃は扁桃腺(へんとうせん)と呼ばれることもあります。口蓋扁桃に刺さった場合は、口を開ければ刺さっているのが確認できます。
その他にも、舌の奥の部分である舌根扁桃(ぜっこんへんとう)や、食道の手前ののどの部分である下咽頭(かいんとう)に、魚の骨が引っかかるケースが多く見られます。のどの奥のほうは、口を開けても見えないため自分で取ることは困難です。
魚の小骨が刺さった場合、のどに違和感や痛みなどの不快な症状が現れます。昔からご飯の丸飲みや放置しておいたら溶けるといわれて、信じている方もいると思いますが、どちらも体にとっていい影響はなく、症状を悪化させる原因にもなります。
また、指で明らかに取れるような場所であれば、注意しながら指で取り除いてもいいですが、指が届くかどうか微妙な場所や1回で取れなかった場合は、自身で取るのは控えましょう。無理に取ろうとすると周囲の粘膜を損傷させてしまい炎症を引き起こす原因になります。
小さな骨であっても、小骨が突き刺さった場所によっては、以下のようなリスクが高まるので注意が必要です。
小さい骨は、内視鏡カメラでも見えません。ただし、鯛の背骨など大きな骨を飲み込んだあとのどに突き刺すような痛みや違和感がある場合は、実は危険な状態に陥る可能性があります。
考えられることとしては、魚骨によって食道壁を貫通してに粘膜に穴が開き、縦隔炎を起こしているケースです。縦隔は、食道の外側裏にあり、左右の肺と心臓を補うための空間です。
縦隔炎とは、食道に穴が開くことで口腔内にいる常在菌が直接的に縦隔に侵入し、炎症が広がった状態です。縦隔は閉鎖空間であり血流に乏しいので抗生剤が効きにくく、縦隔炎が重篤になった場合には、命を落とす危険もあります。
ご飯を丸飲みして取れた小骨は、食道から胃、小腸、大腸を通って、最終的には便として排出されるケースが多いです。しかし、その過程でそれぞれの臓器が損傷される可能性があります。
小骨によって臓器が損傷されると、粘膜が傷つき潰瘍ができたり、穴が開いて腸管穿孔することも考えられます。またご飯を丸飲みしなくても、胃酸によって小骨が溶けるといわれる場合もありますが、骨がすべて消化されるわけではないため、重大な事態を引き起こしてしまうケースもあるので、注意しましょう。
大きな骨がのどに刺さってしまった場合には、無理に刺激を与えずに、内視鏡カメラやレントゲン、CT検査などが行える大きな病院ですぐに精密検査を受けるようにしましょう。
決して、ご飯を飲み込んで無理に押し流そうとせずすぐに医療機関を受診すべきです。
どの魚にも小骨はありますが、特に注意が必要な魚はいくつかあります。魚の中でも骨が太くて硬いといわれるのは、タイやブリ、サバなどです。これらの魚の骨がのどに刺さったからといってご飯を丸飲みすると、食道を傷つけるだけではなく、ときに食道に穴をあけてしまう場合もあります。
その他にもサンマやイワシ、ウナギなどは比較的骨は小さいといわれていますが、こうした魚の小骨ものどに刺さりやすいため、注意が必要です。大きな骨の場合は、食べる際に注意するため、口の中に入れるリスクは低いですが、小骨の場合、知らない間に口の中に入り、のどに刺さるリスクが高くなります。
医療機関では、まずは内視鏡を使って状況を確認します。のどの粘膜に小骨が刺さっている状態が確認できれば、鉗子(かんし)を使用してのどに刺さった魚の小骨を摘出します。もし魚の小骨を飲み込んでしまい、どこに骨があるのかが不明なときは、まず先にレントゲン撮影やCTで検査をするケースが考えられます。
胃や腸に魚の小骨などの異物があると判明した場合は、胃カメラや大腸カメラでの内視鏡治療が考慮されますが、胃などの消化管に穴が空く穿孔(せんこう)の所見が認められると外科的手術が必要な事がほとんどです。
魚の小骨が刺さってから数日経過して以下のような症状がある場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
・咽頭痛が続く
魚の小骨が取れれば、咽頭痛はすぐに治まります。しかし、痛みが継続している場合は骨がまだ刺さったままである可能性が考えられます。
・熱が出たり、首が腫れる
魚の小骨が刺さったまま様子を見ていて、発熱したり首が腫れるなどの症状が見られる場合は、傷口に細菌が感染し膿が溜まって膿瘍を形成しているケースがあります。魚の骨が奥深く刺さっていると内視鏡的に摘出するのは困難であることが予想されるので、緊急で手術が必要になる場合があります。
魚の小骨が刺さらないようにするためには、よく噛んで食べることです。焼き魚はもちろん刺し身やフライなど調理法にかかわらず、魚を食べるときは骨があるかもしれないと注意して食べることが大切です。
魚だけではありませんが、誤嚥を予防する意味でも、よく噛んで食べましょう。特に高齢の方は食べているときに骨があるとわかったとしても、飲み込むのをやめる咽頭反射機能が低下しているので、そのまま飲み込んでしまうリスクがあります。
また、子どもは扁桃が大きく、骨が刺さりやすいので、魚を食べるときは、魚の骨をなるべく取り除くか、骨が少ない魚や骨を処理した魚を選ぶとよいでしょう。
健康のためにはカルシウムを積極的に取ることは大切です。しかし、カルシウムを取るためにのどに刺さるリスクがある魚の骨を食べる必要はありません。カルシウムは、小魚や海藻、牛乳、乳製品、緑黄色野菜にも多く含まれています。
中でも牛乳はカルシウムの吸収率がよいですが、食物繊維や豆類に多く含まれているフィチン酸やほうれん草に含まれるシュウ酸は、カルシウムの吸収を阻害します。
一方、カルシウムの吸収を促進する栄養成分は、ビタミンDや乳糖、ガゼインホスホペプチドです。ビタミンDはきのこ類や魚などの動物性食品、乳糖とガゼインホスホペプチドは乳製品に多く含まれています。カルシウムをとるときは、これらの食品と一緒に食べるようにしましょう。
ひと昔前であれば、魚は骨ごと食べるのがいいとされていましたが、小骨がのどに刺さるリスクを考えると避けたい行為です。栄養のために積極的に骨ごと魚を食べる方もいるかと思いますが、リスクが高いため止めたほうがいいでしょう。
魚の骨せんべいなど食べやすく加工してあるものでも、骨が刺さるリスクはあるので、食べる場合は加工していない魚の骨と同じように注意しましょう。
もし、カルシウムをとりたい場合にはカルシウム製剤がありますし、健康食品としてのカルシウムのサプリメントや他の食品で補うことをおすすめします。
魚の小骨が刺さったとき、昔からご飯を丸飲みすればいい、自然に溶けるといわれています。しかし、一般的に常識と思われがちな行為も、医学的に見ると危険な行為だったという場合があります。
魚の小骨が腸管に刺さったままの状態で放置しておくと、炎症を起こしたり、腸管の壁に穴が空いて手術が必要になったりするケースもあります。また、過去に魚の骨を飲み込んでそのままになっており、じつはそれが原因で腸の不調が起こっていたケースもあります。
大腸は第二の脳といわれるほど重要な役割を担っています。また複雑な器官であるため、下痢による脱水症状も、水分補給をせずに放置することで命の危険が伴います。また、魚の小骨が思わぬ炎症を招いてしまうこともあります。
脱水や小骨がのどに刺さることだけではなく、体に関する異常や症状があるときにはかかりつけ医に相談し、自己判断をしないようにしましょう。
胃や大腸はデリケートな臓器であるため、気づかない炎症が進んでいることもあります。検査や治療方針が相談できる専門医がいる医療機関で精査し、必要であれば内視鏡検査を受けましょう。
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