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大腸がんは何歳から注意すべき?大腸がんの原因と予防法を解説

  • がん

日本では、大腸がんが性別問わず増加傾向にあり、大腸がんで亡くなる方も少なくありません。初期の大腸がんは自覚症状がほとんどなく、血便などの症状が出て医療機関を受診したときには、すでに進行しているケースも多くあります。

大腸がんは年齢を重ねるごとに増加していく傾向がありますが、何歳頃から注意が必要なのかご存じでしょうか?大腸がんは何歳から気をつけるのが良いのか、なりやすい人の特徴と大腸がんの予防法について解説します。

1. 大腸がんは何歳から注意が必要?

癌

大腸がんにかかわらず、がんといえば年齢を重ねた人がかかるものといったイメージがあるかもしれません。しかし、がんは若い人でも発症する恐れがあります。

医療の進歩とともに、さまざまながん治療薬も開発されていますが、日本人の死因トップはがんです。がんの中でも特に大腸がんで亡くなる方が多いため、大腸がんに注意すべき年齢の目安を知っておきましょう。

1-1. 大腸がん健診は何歳から?

会社や自治体で実施される大腸がん健診の対象年齢は、40歳以上です。また、健診では便潜血検査が実施されています。便潜血検査は無症状の健康な方を対象としており、大腸がんの死亡率を低下させると認められています。

1-2. 大腸がんを気をつける目安の年齢は?

大腸がん

大腸がんを気をつける目安の年齢は30歳頃です。大腸がん健診の対象年齢は40歳以上ですが、40歳以下の年代は絶対に大腸がんにならないというわけではありません。数はそれほど多くはありませんが、20代や30代でも大腸がんになる人はいます。

例をあげると、便潜血検査で陽性という結果が出た30代後半の方は、特に気になる症状はありませんでした。しかし、大腸カメラ検査を行った結果、上の写真のような大腸がんが見つかりました。しかも初期の段階ではなく手術が必要な進行がんだったのです。

大腸がん健診は40歳以上を対象としていますが、40歳以下の人が受けてはいけないという意味ではありません。日本では大腸がんが増加しているので、30歳頃から意識していきましょう。

2. 大腸がんと遺伝の関係性

家系図

大腸がんの発生要因はいくつかありますが、遺伝によって発症するケースもあります。生まれたときから遺伝子の一部に異常があることによって、大腸がんが発生するのですが、これらは大腸がん全体の約5%程度といわれています。

2-1. 遺伝性大腸がんとは?

遺伝性大腸がんとは、生活習慣や環境によるものが原因ではなく、生まれもった遺伝子が影響している大腸がんです。血縁者に大腸がんに罹患した人がいる場合はもちろんですが、それ以外にもいくつかの特徴があります。

・若い年齢で大腸がんに罹患した血縁者がいる
・何度も大腸がんに罹患した血縁者がいる
・大腸がんだけではなく、大腸に関連するその他の臓器(胃・子宮など)のがんに罹患した血縁者がいる

上記に当てはまる血縁者がいる場合、遺伝性大腸がんを疑いますが、必ずしもこれらの条件に当てはまったから家族性大腸がんというわけではありません。

2-2. 家族性大腸ポリポーシス(家族性大腸腺腫症)

遺伝性大腸がんにはいくつもの種類があります。その中でも代表的なのが「家族性大腸ポリポーシス」です。家族性大腸ポリポーシスは、大腸に数百〜数千個以上の腺腫ができ、そのまま放置しておくと、約90%の方が60歳頃に大腸がんを発症するといわれています。

家族性大腸ポリポーシスは、大腸がんになる前に大腸を切除するのが標準治療とされており、保険診療で治療が受けられます。家族性大腸ポリポーシスの手術は大腸の状態によって手術の種類や摘出する大腸の部位は異なりますが、いずれにしても大腸がんの予防的な大腸切除といえるでしょう。

大腸切除と聞くと、仕事をはじめとした社会生活に大きな影響がでないか気になる方も多いと思います。手術の種類によって多少違いがありますが、一般的にはどの手術法が選択されても社会生活に大きな問題はないと考えられます。

ただし、個人差はありますが、手術後はトイレに行く回数が増加するケースはあります。将来的な大腸がんの発生リスクなどを考えて、主治医と相談しましょう。

2-3. 遺伝性非ポリポーシス大腸がん(リンチ症候群)

遺伝性非ポリポーシス大腸がんとは、一般的な大腸がんよりも若い50歳未満で発症した場合に疑われる遺伝性の大腸がんです。リンチ症候群とよばれることもあります。

以下の条件に当てはまる場合、この病気が疑われます。

・親子などの近い血縁者に3人以上、大腸がんに罹患した人がいる
・大腸がんの罹患者が、2世代以上にわたる
・大腸がんと診断された血縁者の中に、50歳未満の人がいる

遺伝性非ポリポーシス大腸がんは、発症した場合は通常の大腸がんに準じた外科的切除を行います。

3. 大腸がんと生活習慣の関係性

メタボな男性

遺伝性大腸がんの割合は大腸がん全体の約5%程度とそれほど多くなく、多くの大腸がんの原因は、生活習慣と大きな関係があります。大腸がんになりやすい人には、生活習慣の中で共通点が多くみられます。

3-1. 飲酒

生活習慣の中でも飲酒は、大腸がんのリスクを確実に上げるといわれています。アルコールの中に含まれているエタノールと、その代謝物であるアセトアルデヒドには発がん性があります。

日本での調査では男性で、アルコール摂取量が日本酒換算で1日量で平均1合以上2合未満の人は、全く飲酒しない人に比べて、大腸がんの発生率が1.4倍、1日量で平均2合以上の人は、2.1倍でした(日本酒1合と同じアルコール量は、焼酎で0.6合、泡盛で0.5合、ビールで大ビン1本、ワインでグラス2杯(200ml)、ウイスキーダブルで1杯です)。

また、日本人と欧米人を比較すると、同じ飲酒量でも日本人のほうが大腸がんの発症リスクが高いといわれています。

飲酒量を減らすことは、大腸がんの予防に効果的といえるでしょう。

3-2. 肥満

肥満は大腸がんだけではなく、さまざまな生活習慣病を引き起こすリスクが高いといわれています。大腸がんの場合は、肥満はもちろんですが、やせすぎている場合もリスクが高くなるといわれています。暴飲暴食や無理なダイエットには注意が必要です。

健康を維持するためには、適正体重を維持するよう心がけましょう。適正体重の目安はBMI値です。BMI値は以下の数式で計算できます。

BMI値=体重(kg)÷(身長(m)の2乗)

日本では18.5未満が低体重、18.5以上25未満が普通体重、25以上が肥満と定義されています。

BMI値が25以上の方は食生活を改善して、適度な運動を習慣化し、普通体重まで体重を落とすように心がけましょう。

3-3. 喫煙

喫煙も大腸がんのリスクを上げる原因の一つです。たばこの煙には多くの発がん性物質が含まれています。喫煙者だけではなく、その煙を周りの人が吸ってしまう受動喫煙でも、大腸がんの発生リスクを上げると考えられています。

喫煙している人は、できる限り禁煙するようにしましょう。

3-4. 食生活

食生活も、大腸がんの発生リスクに大きな影響を与えています。特に牛や豚、羊などの赤身の肉やソーセージやベーコン、ハムなどの加工肉は、大腸がんのリスクを上げるといわれています。

これらの食品を食べすぎないように心がけ、食事の際は、食物繊維を積極的に摂取するようにしましょう。

4. まとめ

医者

大腸がん健診は40歳以上が対象になっていますが、若い世代でも大腸がんに罹患するリスクはあります。大腸がんに注意するべき年齢の目安は30歳頃です。特に若い世代の方でも、血縁関係が近い親族に大腸がんに罹患した人がいる場合は、遺伝性大腸がんの可能性も考慮し医療機関に相談されることをおすすめします。遺伝性疾患の専門外来を設けている医療機関もあります。

大腸がんを予防するためには、大腸カメラ検査を定期的に受けることが大切です。また、便秘や下痢、膨満感など大腸の不快な症状が継続的にある方は、市販薬だけに頼らず、一度医療機関を受診しましょう。

自分で「いつものことだから」とそのまま放置しておくと、気づいたときには大腸がんが進行しているケースも少なくありません。大腸がんの怖いところは、初期であれば自覚症状がないことです。

大腸がんが気になる方や、40歳以上でこれまでに大腸カメラ検査を受けたことがない方は、一度大腸カメラ検査を受けましょう。最近では、苦痛を軽減するなどの配慮をしてくれる医療機関も多くあるので、まずは医師に相談しましょう。

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