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内視鏡検査が上手い病院を見つけるコツとポイントを解説

  • 内視鏡について

内視鏡検査によって小さな病変を見つけ、早期に対応することでがんが完治可能な時代になりました。一方、従来通りの内視鏡検査を行って痛い、苦しい思いをしている方も多くみられるのが現状です。近年、鎮静剤を用いることで苦痛を軽減して内視鏡検査を受けられる施設も増えてきています。

私たち内視鏡専門医は、多くの患者さまに率先して内視鏡検査を受けていただき、がんから命を守りたいと考えています。

そこで今回は、内視鏡検査が上手い病院を見分けるコツとポイントを解説します。

1. 内視鏡検査について

胃カメラ

内視鏡検査は、先端に小型カメラ(CCD)を搭載した細長い軟性鏡を口や鼻、肛門から挿入し、食道、胃、十二指腸、大腸などの粘膜を観察して病変や異変がないかを観察する検査です。

内視鏡検査は、胃カメラ、大腸カメラといわれることもあり、胃カメラの場合は、口または鼻から軟性鏡を挿入し食道、胃、十二指腸を観察します。一方、大腸カメラは、肛門から軟性鏡を挿入し大腸の一番奥である盲腸から上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸まで観察します。

内視鏡検査では、軟性鏡の先端から空気を入れ臓器のひだを十分広げ観察するため苦痛を伴うことがあります。苦痛がなくとも空気が入ることで腹部の張りが起こり、気分が悪くなる方もいます。

空気の代わりに二酸化炭素ガスを使用することで、ガスの吸収が10倍程度促進され検査後の腹部膨満、腹痛が軽減します。内視鏡検査を行っている全ての施設で二酸化炭素ガスを使用しているとは限りませんので、事前にホームページなどをチェックして調べておくのがよいでしょう。

1-1. 内視鏡検査でわかる病気

内視鏡検査は、消化管といわれる臓器にかかる病変や異変を見つけるために行います。主な病変は「がん」を見つけることです。また、大腸に関してはがん化する前のポリープの発見や治療も可能です。

それ以外にも、食道は逆流性食道炎、胃であれば慢性胃炎や胃潰瘍など胃の不調を伴う疾患、大腸であれば潰瘍性大腸炎やクローン病などの難治性炎症性疾患、虚血性腸炎などの診断が可能です。

内視鏡検査は、大腸であれば、よほど大きなポリープでなければその場で切除してしまうことができます。ただし、胃のポリープは、がん化する可能性の低いポリープは切除する必要がないため経過観察で十分なケースもあります。

また、がんが疑わしい病変が見つかれば組織を一部採取する生検を行い、がんかどうかの診断を行います。早期がんであれば内視鏡治療が行える可能性がありますが、内視鏡で切除しきれないと判断される場合は外科手術による治療が検討されます。

1-2. 内視鏡検査でなければ見つけられない病変

健康診断には、胃のバリウム検査や便潜血検査が含まれるケースがあります。

胃のバリウム検査では胃のポリープや潰瘍、進行がんの有無を、また、便潜血検査は、進行大腸がんが疑われる所見の有無を確認します。

胃のバリウム検査も便潜血検査も病変の確認ではなく、疑いの有無を確認するための検査であり、明確な病変は発見できません。そして病気を確定診断するための生検検査も出来ません。したがって、精密検査としてやはり内視鏡検査を受けなければなりません。

2. 内視鏡検査を受ける病院を選ぶポイント

検便キットと聴診器

内視鏡検査を受ける病院を選ぶには、大きく分けて3つのポイントがあります。

・鎮静剤の使用の有無
・内視鏡検査施設の設備
・医師の技術

上記のポイントを見極め、病院や医師を選ぶことが大切です。

2-1. 鎮静剤の使用の有無

内視鏡検査には、胃カメラと大腸カメラがあります。胃カメラの場合は、口または鼻から内視鏡を挿入します。また、大腸カメラは肛門から内視鏡を挿入します。

内視鏡検査でいちどつらい経験をしたことがある方の中には「二度と受けたくない」と思われている方もいるかもしれません。

胃カメラにおいては、内視鏡が喉を通過するため嗚咽や反射が起き気分が悪くなるケースや、胃が空気によって膨らむため腹部に圧迫感を覚えることも少なくありません。

また、大腸カメラにおいては、大腸がねじれている場合などは、カメラを通すために空気を入れながらねじれを直すため、かなりの苦痛を伴う場合もあります。

胃カメラや大腸カメラの苦痛を緩和するには、鎮静剤を使用することが一番です。鎮静剤を用いることで、痛みを感じることなく検査を終えることができるのは、患者さんにとっても利点ですし、医師もじっくり病変や異変の有無を確認できます。

2-2. 内視鏡検査を受ける施設の設備

内視鏡の技術は、日々進化しています。医師の内視鏡挿入技術もさることながら、内視鏡カメラの技術の進化によって見つけにくかった病変も見つけやすくなったことは事実です。

昔主流であった内視鏡は、硬性鏡(ファイバースコープ)といわれ硬い筒で覗いているようなものでした。現在は、電子スコープとなり画像を電子的にモニターに映し出しリアルタイムで観察できるようになりました。

内視鏡は、ビデオスコープといわれる比較的柔らかい内視鏡本体の先端に付いたレンズと、レンズが捉えた画像を映し出すためのビデオ本体から成り立っています。

内視鏡は、レンズを通して捉えた光をCCDによって電気信号に変え、外部機械に送ることで画像信号に変換し画像がモニターに映し出される仕組みです。

早期で病変を見つけるには高繊細なハイビジョンの画像が重要であり、高性能レンズと高性能CCDを搭載した最新の内視鏡を使用しているかという点も病院選びのポイントになるでしょう。健診や人間ドックでよく行われている経鼻内視鏡は、内視鏡自体が細いため反射が出やすい口ではなく、鼻からの挿入で行われます。しかしながら、内視鏡が細い分カメラ部分の性能が劣っており描出される画像は決して高画質ではありません。

内視鏡の進化をイメージしやすくするために、患者さんへお伝えする一例があります。ブラウン管テレビとスーパーハイビジョンテレビとどちらが鮮明に見えるでしょうか?答えは、スーパーハイビジョンテレビですね。

テレビと同様に内視鏡もよく見えすぎるカメラの方が、小さな病変であっても診断しやすくなります。現在は、カメラの性能だけではなく、内視鏡本体の性能も向上しているため早期がんを発見できることもより可能になったといえるのです。

実例をあげると、オリンパス社のNBIは、特殊な光で内面表層の毛細血管など病変を発見するために色合いを変え強調し鮮明に表示させるモードがあります。また、FUJIFILM社のLCIは、レーザーを用いて血管や粘膜の色調を変化させることで凹凸などのコントラストを強調する画像変換が可能です。

内視鏡の技術が進化して高性能化しても、使う側の医師が内視鏡の操作を熟知していなければ意味がありません。そのため設備がそろっているだけではなく、最新の内視鏡を使った検査や診断、治療の実績を確認することも病院選びのポイントになります。

2-3. 検査を行う医師の技術

内視鏡検査を行う医師が、どのような実績を持っているかである程度の技術を知ることができます。実績を確認することで、内視鏡が上手いかどうかも推測できるのです。

具体的には、どこで、何年、どのような診療や治療をしてきたかを確認します。

当然内視鏡検査の実績や治療実績が多い医師は、さまざまな病変を目にしているため、些細な病変にも気づきやすくなるでしょう。また、クリニックレベルにおいては一般内科医が内視鏡検査をしている場合と、消化器内科専門医が内視鏡検査をしている場合でも当然、経験してきたことが大きく異なってきます。

また、総合病院などでは、外来で診察した医師と内視鏡検査を行う医師が違うケースが多くみられます。この場合は、内視鏡検査当日の検査直前にしか内視鏡検査をする医師を確認できないため、事前に医師の実績を確認できません。

やはり外来で問診や内視鏡検査の手配をした医師が、そのまま内視鏡検査も行うケースが望ましいです。そのためには、やはり消化器内科専門医がいる内視鏡専門施設などを選択することもひとつといえます。

内視鏡検査実績と治療実績の多い医師を選ぶことがポイントですが、医師の年齢にも注目したいです。医師も人であり、歳を重ねることで視力の低下は避けられません。40代~50代であれば問題がない場合でも60代~70代になってくることで、動体視力が落ちることも考えられます。

また、60代~70代の医師は、老眼によって画面が見えづらくなっている可能性も高くなります。画面によって病変を見つける内視鏡検査において、内視鏡の技術と経験をフルに活用できる医師の選択がポイントになるでしょう。年齢にすると、30代後半〜40代、50代前半がおすすめです。

この年代をおすすめするのは、24歳で医学部卒業後、国家試験に合格し医師になり、後期研修を経て30歳になります。ここから専門医のトレーニングがスタートするため、30代後半~40代、もしくは50代前半の医師は、経験数が多く診断技術もあり、もっとも内視鏡検査に長けているといえます。

3. 施設選びのポイントを確認する方法

医師と看護師

内視鏡検査を受けるうえで、選びたい施設のポイントをいくつか解説しましたが、ポイントにあてはまる施設をどのように探したらいいのでしょうか。

書籍などに載っているような医師は症例数が多く実績はありますが、実際それらの医師に検査をお願いすることは難しいケースや検査までに時間が掛かる場合も多いです。ポイントに沿った施設や医師を探すには、人のネットワークを利用することがおすすめです。

まずは、受診しているかかりつけ医に相談するのもひとつの方法になります。医師に「先生だったらどちらの先生に検査や治療をしてもらいたいですか?」と具体的に踏み込んで相談することもいいでしょう。

もし、かかりつけ医の答えに納得ができない場合は、30代後半から50代の内視鏡専門医のいる施設を受診し、外来で対応してくれた医師に同じ質問をしてみてください。

治療を受ける側として聞きにくい質問かもしれませんが、医師も最善の治療や検査をしたいと考えている方ばかりです。きっとあなたの質問に対して真摯に対応してくれる医師もいると思います。

4. まとめ

薬を飲む

内視鏡検査が上手い病院を選ぶポイントは、下記の3つです。

・鎮静剤を使用する
・高性能レンズと高性能CCDを搭載した最新の内視鏡の設備がある
・内視鏡検査実績と治療実績が豊富な30代後半から50代前半の医師が在籍している

これらの条件を満たす病院を探すのは、容易ではありません。現在はネットが発展し情報も多く入手できる時代ですが、内視鏡検査が上手い医師を知っているのは同じ内視鏡専門医です。

内視鏡検査を受けたい旨をかかりつけ医に相談し、よりよい施設や医師を探しましょう。

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