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Endoscopist Doctor's Knowledge
国立がん研究センターの調査によると、2019年には全国で年間26,382例(うち男性21,719例、女性4,663例)が食道がんと診断され、2020年には10,981人(うち男性8,978人、女性2,003人)が死に至っています。また5年相対生存率(2009~2011年)は41.5%、年齢階級別罹患数では、男女比は約6:1と圧倒的に男性がかかりやすくく、さらには60代・70代で発症しやすい(全体の約70%)がんとされています。
この食道がんは、かなり早期に発見できないと内視鏡治療ができないがんと言われています。内視鏡治療であれば、1時間程度の内視鏡治療、1週間程度の入院で完治となりますが、内視鏡治療適応外の病変となると、手術や放射線治療、抗がん剤などが必要となり、数か月から数年にわたる治療が必要となってしまいます。さらに進行してしまうと食道がんが原因となり亡くなる場合もあります。
今回は、食道がんについて詳しく見ていくとともに、食道がんにかからないために今すぐできる予防法について見ていきます。
食道がんには「扁平上皮がん」と「腺がん」の2つがありますが、日本人の場合は約90%が扁平上皮がんであると言われています。
まず扁平上皮がんですが、これは食道の粘膜を構成する扁平上皮から発生するがんです。
ちなみに扁平上皮とは、体の表面や食道といった内部が空洞となる臓器にあり、食道以外では皮膚や口内、膣、肛門、子宮頸部などにも見られます。
扁平上皮がんの危険因子には、飲酒と喫煙が挙げられており、両方を行うことでよりリスクが増加します。
お酒を飲んですぐに顔が赤くなる人(フラッシャーと言います)、また以前顔が赤くなっていた人の方がそうならない人より食道がんのリスクが高いと言われてます。これについては日本人のおよそ40%が該当すると言われているので、飲酒には注意が必要です。
それ以外の危険因子として、熱い飲料や食事、緑黄色野菜・果物の摂取不足なども発症要因であると言われていますが、さきほどの飲酒や喫煙に比べるとリスクは高くありません。
一方の腺がんですが、こちらは腺細胞ががん化したものです。日本では発症が10%以下とされていますが、欧米では増加傾向にあり、約50%~60%の人が腺がんにかかっていると言われています。
腺がんは、逆流性食道炎による下部食道の慢性持続的な炎症によってできるバレット上皮から発生します。発症要因としては、逆流性食道炎自体や逆流性食道炎のリスク因子などが関係していると言われているため、逆流性食道炎の予防対策や治療が必要です。
逆流性食道炎の発症要因は、バレット食道、高脂肪食や過食、寝る前の食事、肥満、喫煙などが報告されています。なかでも、バレット食道とは、逆流性食道炎などにより炎症を起こした食道の扁平上皮部分が胃の円柱上皮に置き換えられた状態のもので、食道がんのリスクが高いと言われています。
食道がんは、初期の段階で自覚症状がほとんどありません。そのため、胃カメラ検査によって偶然にがんを発見することで気付くか、ある程度がんが進行したのちに自覚症状が現れるようになってから気付くこととなります。
食道がんが進行すると、次のような症状が現れてきます。
・食べ物がつかえる
・胸に違和感がある
・声がかすれる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
食べ物がつかえるということは、食道がんなど食道に何らかの障害物があることが考えられます。なお、食べ物がつかえるといった症状が現れてくるのは、がんがある程度進行したあととなります。
食べ物が食道を通らなくなると食べたものを吐きだしてしまうこともあり、それに伴って食べること自体ができなくなってくると体重も減少していきます。
口に入れた食物が食道を通過する際、胸に違和感がある場合には、食道がんの疑いがあります。人によって受ける感覚は異なりますが、しみるように感じる人もいれば胸が熱く感じる人もいます。
このような症状は比較的がんが進行してから生じます。そのため、少しでも胸に違和感があるようなら、早急に内視鏡検査を受診することをおすすめします。
声がかすれたとしても、ほどんどの人は食道がんであると意識することはないでしょう。おそらく「風邪かな?」といった程度で内科もしくは耳鼻科を受診するのではないでしょうか。しかし、食道がんが原因で声がかすれている場合、かなりがんが進行した状態の可能性があります。
なぜ食道がんになると声がかすれるかというと、声を出すための反回神経(左右の声帯を動かす神経)が食道に隣接しており、食道がんの進行により周囲のリンパ節に転移すると、反回神経に麻痺が起こって声帯がうまく使えなくなるためです。
耳鼻科では声のかすれが治らないという場合には、消化器内科を受診して詳しい検査を受けるようにしましょう。
食道がんを予防するために行うことは、「飲酒や喫煙をしない」ということにつきます。受動喫煙によるリスクもあるため、禁煙により家族や友人を食道がんから守ることもできるかもしれません。
また、高脂肪食や過食、寝る前の食事、肥満、喫煙といったリスク因子を持つ人は、生活習慣の改善が必要です。「太り過ぎない」「食べ過ぎない」「飲み過ぎない」「適度な運動を行う」などが食道がん予防にはおいては非常に高い効果をもたらします。
なお60代、70代といった人、すでに食道がんになっているかもしれない人の場合、予防策よりも胃カメラ検査を受診するなどを行い、食道がんの早期発見を目指しましょう。
食道がんは、早期の場合だと自覚症状がありません。そのため、早期発見および早期治療には、胃カメラ検査はとても重要です。健康診断で受診することが多い胃レントゲン検査では、内視鏡治療ができる早期食道がんは発見できません。
早期で食道がんが発見される人は、食道がんを疑って検査するのでなく、他の病気の疑いがあって胃カメラ検査を受診した際、偶然に見つかるといったケースが数多くありますので、とにかく胃カメラ検査を受けることを心掛けましょう。
胃カメラ検査を受診する施設も非常に大事です。検査で使用されるカメラの画質が良くなければ早期の食道がんを見つけるのは非常に難しいです。理想は、NBIという機能を搭載した高画質の胃カメラ検査が受診できる施設が望ましいです。
ちなみにNBIとは「Narrow Band Imaging」の略で、日本語だと狭帯域光観察と呼ばれますが特殊な光を照らして粘膜表層の毛細血管やそのパターンなどが協調して鮮明に表示される観察技術のことを言います。
食道がんは初期の自覚症状がないため、知らないうちに食道がんにかかってしまっている可能性もあります。もし食べ物を飲み込みづらく感じたり、声のかすれといった症状を感じた場合には、すぐに消化器内科を受診して、胃カメラ検査を行いましょう。
普段より健康診断で胃カメラ検査を行っている人はまだしも、そうでない人も定期的に胃カメラ検査を受診することをおすすめします。
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